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母の御魂は四つ辻に眠る 〜竹一族の記憶(五)〜
三
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「ありえない。四音を生んだ女性は、四音を産んでまもなく亡くなったんだ。名前を呼んだことはあったかもしれないが、それが記憶されているなんて虫が良すぎる」
そうだよな。父さんの言葉は正しいよ。でもさ。
「それはそうかもしれないけどさ、もしも、もしも俺が声を聴いた“何か”が、人の真似をする存在だったらどう? 母さんが俺を呼ぶ声を聴いていて、それを真似したっていう」
「都合が良いにも程があるわ。四音、あなた少し疲れているのよ。暑かったから、私か美桜の声だったのに聞き間違えたのよ。そうに違いないわ」
母様の言葉だって正しい。普通なら、そう考えるべきだ。だけど、どうしてもそれで終わらせたくない。
「聞き間違えた確信もないだろ。それに、そんなんじゃ納得できないんだよ。俺の心が、生みの母親だって言ってるんだ。直感がそう告げているんだ」
「直感を当てにするなと昔から言っているだろう。明日、賢三に話して祓いに行ってもらうから、もう忘れろ。人の弱みにつけ込むのは、怪異の十八番だ」
「だからそういうことじゃないんだって!」
思わず怒鳴ってしまった。2人は驚いているけれど、もう止められない。
俺はどうにか息を整えながら、言葉を続けた。
「わかった。声は聞き間違いでもいいよ。その可能性の方が高いから。だけど、もう1つのことは・・・・俺の産みの母親のことは納得できない。
教えてくれよ。俺、もう18だぜ? そのうち家を出ることも考えてる。何も知らずに生きていくなんて、もう無理だよ。いい機会だから、教えてくれよ」
やめろ。そんな目でこちらを見るな、四音。お前はーーあまりに彼女に似ている。
「ダメだ。そもそも、声が気のせいだと思うならその話をする理由もない。早く寝なさい。明日も図書館に行くんだろう」
「こんな気分で行けるかよ。第一、何でダメなんだよ。自分を産んでくれた人のことを知りたいと思うのは、そんなにいけないことなのか?」
「一族は、その話を封印することに決めたの。だから深入りしてはいけないの」
「何で? 当主は父さんだろ? 封印した話を掘り起こすくらいいいじゃねえか」
本当に答弁が上手くなった。賢三の影響か? いずれにせよ、私たちは過去を話すことはできない。
「当主と一族は分けて考えろ。重きを置くのは一族だ」
「父さんまでそんなこと言うのかよ。兄さんはくだらないって言っていたのに」
「また賢三か。どうして行動の指針を賢三に委ねる。自分で考えなさい」
馬鹿か、私は。委ねてなんかいないじゃないか。この子はもう、いつ独り立ちしても大丈夫なほど育ったと言うのに。都合が悪い時だけ子供扱いなど。
だが、悔いる言葉と反対に、言葉と感情は止まらない。
「考えてるから教えてくれって言ってるんじゃねえか! 第一、兄さんなら真っ向から否定したりしねえ! 絶対どうしたのって言って、俺の話を聞いてくれる! 何で2人はそうなんだよ!」
「違うから不満だと言うの? そんなの当たり前じゃない! だってあなたは、あの子たちとは違う・・・・! あなたはーー」
待って。私は何を言おうとしているの。ダメ、ダメよ。この先は、絶対に言っちゃいけないことなのに!
「私の子供じゃないんだから!」
そうだよな。父さんの言葉は正しいよ。でもさ。
「それはそうかもしれないけどさ、もしも、もしも俺が声を聴いた“何か”が、人の真似をする存在だったらどう? 母さんが俺を呼ぶ声を聴いていて、それを真似したっていう」
「都合が良いにも程があるわ。四音、あなた少し疲れているのよ。暑かったから、私か美桜の声だったのに聞き間違えたのよ。そうに違いないわ」
母様の言葉だって正しい。普通なら、そう考えるべきだ。だけど、どうしてもそれで終わらせたくない。
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思わず怒鳴ってしまった。2人は驚いているけれど、もう止められない。
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「わかった。声は聞き間違いでもいいよ。その可能性の方が高いから。だけど、もう1つのことは・・・・俺の産みの母親のことは納得できない。
教えてくれよ。俺、もう18だぜ? そのうち家を出ることも考えてる。何も知らずに生きていくなんて、もう無理だよ。いい機会だから、教えてくれよ」
やめろ。そんな目でこちらを見るな、四音。お前はーーあまりに彼女に似ている。
「ダメだ。そもそも、声が気のせいだと思うならその話をする理由もない。早く寝なさい。明日も図書館に行くんだろう」
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