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Case17.氷の女王①
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発言の真偽を間違えれば冤罪を生む。そうならないために、異なる証言であれば尚更、真偽を見分けなければならない。
「想定外の事態が起こった場合、私もですが、警察が対応します。ですよね?」
東さんを見上げて尋ねると、彼は強く頷いた。
「事件は必ず解決します。少しの間お待ちください」
堂々とした彼の言葉に触発されて、私も強く頷いていた。
ーカイリ『氷の女王』第1章ー
※
舞い上がった氷が照明に反射し、宝石のように輝いた。氷上から湧き上がる音は、喧騒を沈めるほどに美しさを纏っている。会場を包む音楽は、観客に曲名が分からなくとも、演技に合わせて人々にその世界を見せつけているようだった。
「綺麗ですね~」
海里は独り言のように呟いた。声音には高揚が混じっている。
そして、そんな彼の声とは正反対に、どこか苛立ちの混じった声が答えた。
「いや、綺麗だけど・・・・どういうつもり?」
「え?」
美希子は不審な目つきで海里を睨んだ。彼はあっけらかんとして、彼女の問いには答えず、彼女の隣にいる龍へと視線を移す。
龍は軽く溜息をつき、呆れ一色の表情を浮かべた。
「俺だって聞きてえよ、江本。何で俺とお前と美希子がーースケート大会を観に来てるのかってな」
※
数日前、海里から龍に電話がかかって来た。事件の捜査中でもないのに珍しいと思いつつ、龍は何気なく通話ボタンを押した。
「どうした?」
『あ、東堂さん。1週間後、暇ですか?』
「1週間後? 最近、働き過ぎだって言われてるから休暇を取ったが・・・・何だ? 一緒に出かけましょう、なんて言うんじゃないだろうな?」
龍は冗談めかして尋ねたが、海里の返事は意外なものだった。
『はい。お時間があるなら』
「は?」
龍は突拍子もない声を上げた。まさか本当にそんな話だとは思いも寄らなかったのだ。
警察と小説家兼探偵という、曖昧な関係でしかない自分たちが、なぜ共に出かけるのか。訳の訳の分からない言動に龍は頭が痛くなった。海里は気に留めず続ける。
『先日、少しは休むように言われて編集者さんからスケート大会のチケットを頂いたんですよ。本来、その方と別の編集者さんと行く予定だったんですが、お2人が来れなくなってしまって。1人で行くのも気が引けるので、一緒に来て頂けませんかね?』
「何で俺なんだ?」
『他の小説家の方を誘うわけには行きませんし、何か起こった時のためにも、警察である東堂さんといた方が良いかと』
何か起こる=事件だと分かり、龍は呆れながら返答する。
「縁起でもないことを言うな。だが、チケットは3枚なんだろ? 無駄にしたくないなら、あと1人誘わないといけないじゃないか。俺たちの共通の知り合いを誘うとして、アテはあるのか?」
『まあ、一応』
「誰だ?」
龍の言葉に海里はすかさず答えた。
『美希子さんです。東堂さん、お知り合いなのでしょう?』
※
「・・・・という感じのやり取りでしたけど」
「そんなことを聞いてるんじゃなくて、何で私を呼んだのかって聞いてるの。私、あなたと1回しか会ってないよね?」
美希子は詰問した。海里は何食わぬ顔顔で答える。
「お聞きしたいことがあるので」
「は?」
不審な表情をする美希子に対して、龍は何かを察したらしかった。
「おい、江本ーー」
その時、会場を暗闇が包んだ。かかっていた音楽も止まり、美しさが消える。
同時に、抑え込まれていた喧騒が解き放たれたかのように会場が騒がしくなった。スタッフの状況確認と思わしき話し声も聞こえ、作業へ移ろうとしている。
だが、彼らの動きを封じるかのように、銃声が響いた。
「え・・・・⁉︎」
喧騒が一層大きくなる直前、会場の明かりがついた。そして、ほぼ同時に女性の甲高い悲鳴が響く。悲鳴につられてスケートリンクを見た海里たちは、凄惨な光景に言葉を失った。
スケートリンクは真っ赤に染まっていた。先ほどまで氷上を舞っていた選手が、顔と首を何かに貫かれ、絶命していたのだ。顔の原型はなく、肉片さえ見当たらない程に。
流れる血は留まる所を知らず、白銀のリンクを真っ赤に染め続けていた。
海里は呆然とスケートリンクを見つめたまま、独り言のように呟く。
「一体、何があったと言うんですか? 10秒にも満たない、この一瞬にーー」
※
「警察です。全員その場から動かないでください」
龍は警察手帳を出し、会場にいる全員に待機を命じた。スマートフォンを取り出し、捜査一課への出動願いを出す。海里はその様子を目で追いながら、美希子の様子を気にかけた。
「私のことは気にしないで。これくらい大丈夫」
「これくらいって・・・・」
海里は再びスケートリンクを見た。
被害者の頭と首は無いに等しく、そこから流れ出る血は尋常でない量だ。脳味噌の破片らしきものが、目を凝らすと散らばっているのが分かる。とても、17歳の少女が耐えられるとは思えない光景である。
しかし、美希子は強がっているように見えなかった。異様とも言える彼女の言動は、目の前の光景以上に残酷な光景を知っていると言わんばかりであった。
「東堂警部!」
「早かったな」
現場に到着した龍の部下たちも、思わず後ずさった。あまりにも凄惨な死体に、彼らも驚きを隠せなかったのだ。
龍は観客席から立ち上がって部下たちの元へ行き、すぐに指示を出した。彼らは龍の指示に頷きつつ、美希子の存在に気がつくと頭を下げた。彼女が頭を下げ返すと、彼らは急足で捜査を始めた。
「被害者は三波佐和子さん、19歳。演技中に停電した際、銃声と共に死亡したと考えられる。死因は狙撃か何か・・・・穴が空いてるから、大きい銃弾かな? 遺体の損傷を見るに、犯人はよほど彼女に恨みでも持ってたんだろうね」
捜査が始まった数分後、美希子が呟いた。海里は苦い顔をする。
「美希子さん。冷静に分析してる場合じゃないでしょう」
「何で? あなたがいつまで経っても何も言わないから、代わりに私の見解を述べただけ」
「そうではなくて、あなたが見るような光景じゃないんですよ」
「平気だって言ってるじゃん」
現場で軽口を叩く2人を見て、龍はため息をついた。他の刑事たちも、肝が据わり過ぎだと思ったのか呆れている。
龍は現場の保存を部下に頼み、言葉を続けた。
「観客は一先ず置いておき、この大会の出場者から調べる。選手控室はどこだ?」
「あちらです。江本さんもどうぞ」
「ありがとうございます。美希子さん、あなたはここにいてください」
「はーい」
2人は部下の案内で選手控え室へ行った。扉を開けると、怯えた表情をした選手たちの姿があった。
「捜査一課の東堂です。被害者・三波佐和子さんについてお話し頂けますか。それと、事件発生時の行動」
「・・・・三波さんは、“氷の女王”って呼ばれていたんです」
少しの沈黙の後、か細い声が聞こえた。龍は声のした方へ視線を移して反問する。
「氷の女王?」
「はい。綺麗で、演技も上手くて、性格も良くて・・・・。これ、彼女の写真なんですけど、どうぞ。
あ、私、湯元英美と言います」
そう言って、三波の後輩・湯元英美は写真を見せた。小柄で、控えめな雰囲気が漂っている。彼女のスマートフォンを受け取った龍は、納得したように頷く。
「確かに、整った容姿をされていますね。
では、質問を変えます。三波佐和子さんは、見ての通り何者かに殺害されました。理由に心当たりは?」
「ふんっ。どうせ、恨み妬みでしょ? 顔だけで売れてるって、みんな言ってるもの」
海里は眉を動かし、声を発した女性を見た。
「・・・・あなたは?」
「東野ユーリ。佐和子とは幼馴染みで、フィギュアは同時期に始めたわ」
「そうなんですね。しかし東野さん、恨み妬みと仰いましたが、そんなに酷いのですか?」
「ええ」
海里の質問に東野はあっさり頷いた。幼馴染みという割には、あまり仲良さげには見えない。海里は更に尋ねる。
「なぜあんな残忍な殺し方を選んだのか・・・・正直疑問に思いませんか?」
「そう? あの子の存在を消し去りたいっていう、犯人の思いじゃない?」
これ以上は無駄だと思ったのか、海里は質問を変えた。
「あの停電の間、皆さんはどこで何を?」
「順番待ちよ。あの子が初めに踊って、次に湯元。3番目が・・・・今ちょっといないけど、芝田っていう男。で、最後が私」
東野は淡々と説明した。その言動からは悲しみなど一滴も感じられない。海里は眉を顰めた。
その時、ゆっくりと選手控え室の扉が開き、1人の青年が入って来る。
「すみません、遅れました」
「遅い。どこ行ってたのよ、芝田」
「あはは・・・・腹痛が治らなくて」
奇妙な言い訳をしながら部屋に入ってきたのは、細身で面立ちの整った青年だった。彼は芝田桔平と名乗り、湯元と東野の横に腰掛けた。
海里は遅れた言い訳を内心気にしつつ、すかさず尋ねる。
「早速ですが、三波佐和子さんが亡くなった時、どこで何をしていましたか?」
「僕はここで順番を待っていました。仲間内で演技はよく見ていますし、普段から順番待ちの時は、控え室にいるので」
「なるほど。三波さんが殺される理由に心当たりは?」
「ありませんね。彼女は誰からも好かれていましたから」
東野とは正反対の意見だった。海里は目を細め、信じるか否か以前に、人によって三波という人間の捉えられ方が違うことは理解できた。
「ありがとうございます。私たちは引き続き現場を調べますので、皆さんはここにお留まり下さい。何かあれば警察が対処します。ですよね?」
海里は龍に視線を移した。龍は頷く。
「我々も捜査のために時間が必要です。不安が拭えないことは承知していますが、皆さんの疑いが晴れ次第お帰り頂きますし、事件も、必ず解決します。少しの間お待ちください」
「想定外の事態が起こった場合、私もですが、警察が対応します。ですよね?」
東さんを見上げて尋ねると、彼は強く頷いた。
「事件は必ず解決します。少しの間お待ちください」
堂々とした彼の言葉に触発されて、私も強く頷いていた。
ーカイリ『氷の女王』第1章ー
※
舞い上がった氷が照明に反射し、宝石のように輝いた。氷上から湧き上がる音は、喧騒を沈めるほどに美しさを纏っている。会場を包む音楽は、観客に曲名が分からなくとも、演技に合わせて人々にその世界を見せつけているようだった。
「綺麗ですね~」
海里は独り言のように呟いた。声音には高揚が混じっている。
そして、そんな彼の声とは正反対に、どこか苛立ちの混じった声が答えた。
「いや、綺麗だけど・・・・どういうつもり?」
「え?」
美希子は不審な目つきで海里を睨んだ。彼はあっけらかんとして、彼女の問いには答えず、彼女の隣にいる龍へと視線を移す。
龍は軽く溜息をつき、呆れ一色の表情を浮かべた。
「俺だって聞きてえよ、江本。何で俺とお前と美希子がーースケート大会を観に来てるのかってな」
※
数日前、海里から龍に電話がかかって来た。事件の捜査中でもないのに珍しいと思いつつ、龍は何気なく通話ボタンを押した。
「どうした?」
『あ、東堂さん。1週間後、暇ですか?』
「1週間後? 最近、働き過ぎだって言われてるから休暇を取ったが・・・・何だ? 一緒に出かけましょう、なんて言うんじゃないだろうな?」
龍は冗談めかして尋ねたが、海里の返事は意外なものだった。
『はい。お時間があるなら』
「は?」
龍は突拍子もない声を上げた。まさか本当にそんな話だとは思いも寄らなかったのだ。
警察と小説家兼探偵という、曖昧な関係でしかない自分たちが、なぜ共に出かけるのか。訳の訳の分からない言動に龍は頭が痛くなった。海里は気に留めず続ける。
『先日、少しは休むように言われて編集者さんからスケート大会のチケットを頂いたんですよ。本来、その方と別の編集者さんと行く予定だったんですが、お2人が来れなくなってしまって。1人で行くのも気が引けるので、一緒に来て頂けませんかね?』
「何で俺なんだ?」
『他の小説家の方を誘うわけには行きませんし、何か起こった時のためにも、警察である東堂さんといた方が良いかと』
何か起こる=事件だと分かり、龍は呆れながら返答する。
「縁起でもないことを言うな。だが、チケットは3枚なんだろ? 無駄にしたくないなら、あと1人誘わないといけないじゃないか。俺たちの共通の知り合いを誘うとして、アテはあるのか?」
『まあ、一応』
「誰だ?」
龍の言葉に海里はすかさず答えた。
『美希子さんです。東堂さん、お知り合いなのでしょう?』
※
「・・・・という感じのやり取りでしたけど」
「そんなことを聞いてるんじゃなくて、何で私を呼んだのかって聞いてるの。私、あなたと1回しか会ってないよね?」
美希子は詰問した。海里は何食わぬ顔顔で答える。
「お聞きしたいことがあるので」
「は?」
不審な表情をする美希子に対して、龍は何かを察したらしかった。
「おい、江本ーー」
その時、会場を暗闇が包んだ。かかっていた音楽も止まり、美しさが消える。
同時に、抑え込まれていた喧騒が解き放たれたかのように会場が騒がしくなった。スタッフの状況確認と思わしき話し声も聞こえ、作業へ移ろうとしている。
だが、彼らの動きを封じるかのように、銃声が響いた。
「え・・・・⁉︎」
喧騒が一層大きくなる直前、会場の明かりがついた。そして、ほぼ同時に女性の甲高い悲鳴が響く。悲鳴につられてスケートリンクを見た海里たちは、凄惨な光景に言葉を失った。
スケートリンクは真っ赤に染まっていた。先ほどまで氷上を舞っていた選手が、顔と首を何かに貫かれ、絶命していたのだ。顔の原型はなく、肉片さえ見当たらない程に。
流れる血は留まる所を知らず、白銀のリンクを真っ赤に染め続けていた。
海里は呆然とスケートリンクを見つめたまま、独り言のように呟く。
「一体、何があったと言うんですか? 10秒にも満たない、この一瞬にーー」
※
「警察です。全員その場から動かないでください」
龍は警察手帳を出し、会場にいる全員に待機を命じた。スマートフォンを取り出し、捜査一課への出動願いを出す。海里はその様子を目で追いながら、美希子の様子を気にかけた。
「私のことは気にしないで。これくらい大丈夫」
「これくらいって・・・・」
海里は再びスケートリンクを見た。
被害者の頭と首は無いに等しく、そこから流れ出る血は尋常でない量だ。脳味噌の破片らしきものが、目を凝らすと散らばっているのが分かる。とても、17歳の少女が耐えられるとは思えない光景である。
しかし、美希子は強がっているように見えなかった。異様とも言える彼女の言動は、目の前の光景以上に残酷な光景を知っていると言わんばかりであった。
「東堂警部!」
「早かったな」
現場に到着した龍の部下たちも、思わず後ずさった。あまりにも凄惨な死体に、彼らも驚きを隠せなかったのだ。
龍は観客席から立ち上がって部下たちの元へ行き、すぐに指示を出した。彼らは龍の指示に頷きつつ、美希子の存在に気がつくと頭を下げた。彼女が頭を下げ返すと、彼らは急足で捜査を始めた。
「被害者は三波佐和子さん、19歳。演技中に停電した際、銃声と共に死亡したと考えられる。死因は狙撃か何か・・・・穴が空いてるから、大きい銃弾かな? 遺体の損傷を見るに、犯人はよほど彼女に恨みでも持ってたんだろうね」
捜査が始まった数分後、美希子が呟いた。海里は苦い顔をする。
「美希子さん。冷静に分析してる場合じゃないでしょう」
「何で? あなたがいつまで経っても何も言わないから、代わりに私の見解を述べただけ」
「そうではなくて、あなたが見るような光景じゃないんですよ」
「平気だって言ってるじゃん」
現場で軽口を叩く2人を見て、龍はため息をついた。他の刑事たちも、肝が据わり過ぎだと思ったのか呆れている。
龍は現場の保存を部下に頼み、言葉を続けた。
「観客は一先ず置いておき、この大会の出場者から調べる。選手控室はどこだ?」
「あちらです。江本さんもどうぞ」
「ありがとうございます。美希子さん、あなたはここにいてください」
「はーい」
2人は部下の案内で選手控え室へ行った。扉を開けると、怯えた表情をした選手たちの姿があった。
「捜査一課の東堂です。被害者・三波佐和子さんについてお話し頂けますか。それと、事件発生時の行動」
「・・・・三波さんは、“氷の女王”って呼ばれていたんです」
少しの沈黙の後、か細い声が聞こえた。龍は声のした方へ視線を移して反問する。
「氷の女王?」
「はい。綺麗で、演技も上手くて、性格も良くて・・・・。これ、彼女の写真なんですけど、どうぞ。
あ、私、湯元英美と言います」
そう言って、三波の後輩・湯元英美は写真を見せた。小柄で、控えめな雰囲気が漂っている。彼女のスマートフォンを受け取った龍は、納得したように頷く。
「確かに、整った容姿をされていますね。
では、質問を変えます。三波佐和子さんは、見ての通り何者かに殺害されました。理由に心当たりは?」
「ふんっ。どうせ、恨み妬みでしょ? 顔だけで売れてるって、みんな言ってるもの」
海里は眉を動かし、声を発した女性を見た。
「・・・・あなたは?」
「東野ユーリ。佐和子とは幼馴染みで、フィギュアは同時期に始めたわ」
「そうなんですね。しかし東野さん、恨み妬みと仰いましたが、そんなに酷いのですか?」
「ええ」
海里の質問に東野はあっさり頷いた。幼馴染みという割には、あまり仲良さげには見えない。海里は更に尋ねる。
「なぜあんな残忍な殺し方を選んだのか・・・・正直疑問に思いませんか?」
「そう? あの子の存在を消し去りたいっていう、犯人の思いじゃない?」
これ以上は無駄だと思ったのか、海里は質問を変えた。
「あの停電の間、皆さんはどこで何を?」
「順番待ちよ。あの子が初めに踊って、次に湯元。3番目が・・・・今ちょっといないけど、芝田っていう男。で、最後が私」
東野は淡々と説明した。その言動からは悲しみなど一滴も感じられない。海里は眉を顰めた。
その時、ゆっくりと選手控え室の扉が開き、1人の青年が入って来る。
「すみません、遅れました」
「遅い。どこ行ってたのよ、芝田」
「あはは・・・・腹痛が治らなくて」
奇妙な言い訳をしながら部屋に入ってきたのは、細身で面立ちの整った青年だった。彼は芝田桔平と名乗り、湯元と東野の横に腰掛けた。
海里は遅れた言い訳を内心気にしつつ、すかさず尋ねる。
「早速ですが、三波佐和子さんが亡くなった時、どこで何をしていましたか?」
「僕はここで順番を待っていました。仲間内で演技はよく見ていますし、普段から順番待ちの時は、控え室にいるので」
「なるほど。三波さんが殺される理由に心当たりは?」
「ありませんね。彼女は誰からも好かれていましたから」
東野とは正反対の意見だった。海里は目を細め、信じるか否か以前に、人によって三波という人間の捉えられ方が違うことは理解できた。
「ありがとうございます。私たちは引き続き現場を調べますので、皆さんはここにお留まり下さい。何かあれば警察が対処します。ですよね?」
海里は龍に視線を移した。龍は頷く。
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