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Extra.2 壊されるほどに
Act.2-04
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「あ……んんっ……も……っと……」
いつになく動きが緩慢で、激しさを催促する。なのに、衛也君は全く応えてくれない。
「もっと……お願い……」
「『もっと』どうしたいんですか?」
私の上で動きながら余裕でいる衛也君が、また憎らしく思えてくる。
私は衛也君の首の後ろに両腕を絡め、衛也君を出来る限りの力で引き寄せる。
「衛也君が、いっぱい……欲し……の……」
「どんな風に欲しいんですか?」
「私が、壊れる……ぐらい……」
「――ほんとに、いいんですね?」
衛也君の問いに、私は何度も頷く。自分が幼児になったようで滑稽だけど、それぐらい、衛也君に激しく抱かれたかった。
衛也君は一度腰を引き、それから強くぶつけてきた。本当に中が壊れるのではないかと思えるほど突かれ、一瞬、私の意識が飛びそうになった。
「あ……んんっ……あぁ……っ……」
こういう時、自分の喘ぎ声が他人の嬌声のように聴こえるのだから不思議だといつも思う。でも、喉の奥の痺れるような感覚で、確かに自分が声を上げているのだと確信する。
「もり……やく……っ……いいの……っ……あん……っ……」
「俺も……ですよ……夕純さん……」
肌と肌をぶつけながら、衛也君は休むことなく律動を繰り返す。衛也君自身が私の花芯を出入りするたび、ぬめりを含んだ卑猥な音が部屋に響く。じわりと熱を感じ続けていたから、きっと、敷布団の上には愛液が滴り落ちているかもしれない。
衛也君に攻められ続け、どれほど絶頂を迎えたか分からない。私が限界に達したことが分かっても、衛也君の身動きは留まることがない。
「い……あぁ……っ……また……イッちゃ……!」
衛也君の激しさに、涙が零れ落ちる。何度も達して、さすがに意識が朦朧とし始めてきた。
その時、衛也君の腰の動きが急激に速度を増した。
「そろそろ……俺も……」
どうやら、衛也君も限界のところまできたらしい。腰を打ち付け、乾いた音を響かせていたと思ったら、律動がようやく止まった。
私の中から、衛也君自身がゆっくりと引き抜かれる。そして、放心状態の私の側で衛也君はコンドームの後処理をし、それを済ませてから私の秘所もティッシュで拭ってくれる。情けないと思いつつ、けれども、そんな衛也君のさり気ない優しさが嬉しいから、ついつい無言で甘えてしまう。
ようやく落ち着いてから、衛也君はいつものように私に腕枕をする格好で横になる。
私はそのまま、衛也君の胸板に顔を埋める。肌にはうっすらと汗が浮かび、耳を寄せると、トクトクと鼓動の脈打つ音が聴こえてきた。
「お疲れ様」
ずっと動き続けていた衛也君にねぎらいの言葉をかけてみる。口にしてからすぐ、こんな言い方も変だな、とすぐに気付いたけれど。
案の定、衛也君は肩を揺らしてクツクツ笑っている。「ありがとうございます」とおどけた調子で私に答え、額に軽く唇を押し付けてきた。
「夕純さんこそ、だいぶお疲れじゃないですか?」
「どうして?」
顔をもたげ、不思議に思いながら衛也君を見つめると、口元に笑みを湛えている彼と目が合った。
「肩が凝るほど仕事に没頭していたでしょう? ほんとにカチカチでしたよ」
「三十路だもの。身体のあちこちにガタがきててもおかしくないわ」
「トシは関係ないでしょ。夕純さんは真面目過ぎるんです」
衛也君は、少し怒ったような口調で続けた。
「何事も一生懸命に取り組む夕純さんは素敵だし尊敬してます。けど、ちょっとは手を抜くことも時には必要ですよ? 高遠課長だって、夕純さんが無理することを望んでいないです。実際に面と向かって言われてたじゃないですか」
「でも、中途半端にするのが嫌だから……」
「そこで無理して倒れたりしたら、誰が一番責任を感じますか?」
事後の甘いひと時であるはずなのに、何故、私は衛也君に説教されているのだろう。そもそも、こんな時に仕事の話を持ち出すこと自体がどうかしている。
「――ここで仕事の話はしないで……」
とうとう耐えられなくなって、私は衛也君から離れて背を向けた。普段ならともかく、セックスが終わってから説教なんてあんまりだ。しかも、頑張っていることをこれほど責められるなんて。
しだいに息苦しさを感じた。目の奥からは涙が溢れ、嗚咽も漏れる。
と、背中越しに私の身体は大きなもので包まれた。
「ごめんなさい」
私を抱き締めながら、衛也君が耳元で謝罪してくる。
「あなたの言う通り、ここで言うべきことじゃなかったですよね。でも、これだけは分かって下さい。――俺は、あなたに何かあったら……、どうにかなってしまうほど不安で堪らないんです……」
衛也君の声は春のせせらぎのように、優しく心に染み込んでくる。優し過ぎて、私の心を痛いほど締め付ける。
「こっち、見てくれませんか……?」
恐る恐る問われる。
私は少し考え、でも、衛也君の温もりがもっと欲しくて素直に従う。
衛也君は哀しげに笑みながら、私の頬に伝った涙を唇で拭ってくれた。そして、ゆっくりと滑らせ、私に深く口付ける。
「もっと、夕純さんを壊していいですか……?」
衛也君から紡がれた言葉に、私は少し躊躇ってから頷く。
「私を、壊してしまって……」
これが引き金となり、衛也君の中の枷が外れた。
「――後戻りはしませんからね?」
衛也君はそう口にし、新たにコンドームに手を伸ばす。
期待と不安、半々の気持ちを抱えながら、私はコンドームを着ける衛也君を見つめる。
衛也君が再び、私の中へと入ってくる。何度も馴らされていたから、挿れられる瞬間も圧迫感は全く感じなかった。
衛也君は容赦なく私を攻め立てる。両脚を持ち上げられると深い所まで突かれ、何も考えられなくなってしまう。
「あんっ……あぁ……っ……!」
激しい律動の中、衛也君が切なげに口にした。
「俺も……壊れそう……」
薄らぐ意識の中で、私の耳に吐息と混ざり合って静かに響いた。
【壊されるほどに - End】
いつになく動きが緩慢で、激しさを催促する。なのに、衛也君は全く応えてくれない。
「もっと……お願い……」
「『もっと』どうしたいんですか?」
私の上で動きながら余裕でいる衛也君が、また憎らしく思えてくる。
私は衛也君の首の後ろに両腕を絡め、衛也君を出来る限りの力で引き寄せる。
「衛也君が、いっぱい……欲し……の……」
「どんな風に欲しいんですか?」
「私が、壊れる……ぐらい……」
「――ほんとに、いいんですね?」
衛也君の問いに、私は何度も頷く。自分が幼児になったようで滑稽だけど、それぐらい、衛也君に激しく抱かれたかった。
衛也君は一度腰を引き、それから強くぶつけてきた。本当に中が壊れるのではないかと思えるほど突かれ、一瞬、私の意識が飛びそうになった。
「あ……んんっ……あぁ……っ……」
こういう時、自分の喘ぎ声が他人の嬌声のように聴こえるのだから不思議だといつも思う。でも、喉の奥の痺れるような感覚で、確かに自分が声を上げているのだと確信する。
「もり……やく……っ……いいの……っ……あん……っ……」
「俺も……ですよ……夕純さん……」
肌と肌をぶつけながら、衛也君は休むことなく律動を繰り返す。衛也君自身が私の花芯を出入りするたび、ぬめりを含んだ卑猥な音が部屋に響く。じわりと熱を感じ続けていたから、きっと、敷布団の上には愛液が滴り落ちているかもしれない。
衛也君に攻められ続け、どれほど絶頂を迎えたか分からない。私が限界に達したことが分かっても、衛也君の身動きは留まることがない。
「い……あぁ……っ……また……イッちゃ……!」
衛也君の激しさに、涙が零れ落ちる。何度も達して、さすがに意識が朦朧とし始めてきた。
その時、衛也君の腰の動きが急激に速度を増した。
「そろそろ……俺も……」
どうやら、衛也君も限界のところまできたらしい。腰を打ち付け、乾いた音を響かせていたと思ったら、律動がようやく止まった。
私の中から、衛也君自身がゆっくりと引き抜かれる。そして、放心状態の私の側で衛也君はコンドームの後処理をし、それを済ませてから私の秘所もティッシュで拭ってくれる。情けないと思いつつ、けれども、そんな衛也君のさり気ない優しさが嬉しいから、ついつい無言で甘えてしまう。
ようやく落ち着いてから、衛也君はいつものように私に腕枕をする格好で横になる。
私はそのまま、衛也君の胸板に顔を埋める。肌にはうっすらと汗が浮かび、耳を寄せると、トクトクと鼓動の脈打つ音が聴こえてきた。
「お疲れ様」
ずっと動き続けていた衛也君にねぎらいの言葉をかけてみる。口にしてからすぐ、こんな言い方も変だな、とすぐに気付いたけれど。
案の定、衛也君は肩を揺らしてクツクツ笑っている。「ありがとうございます」とおどけた調子で私に答え、額に軽く唇を押し付けてきた。
「夕純さんこそ、だいぶお疲れじゃないですか?」
「どうして?」
顔をもたげ、不思議に思いながら衛也君を見つめると、口元に笑みを湛えている彼と目が合った。
「肩が凝るほど仕事に没頭していたでしょう? ほんとにカチカチでしたよ」
「三十路だもの。身体のあちこちにガタがきててもおかしくないわ」
「トシは関係ないでしょ。夕純さんは真面目過ぎるんです」
衛也君は、少し怒ったような口調で続けた。
「何事も一生懸命に取り組む夕純さんは素敵だし尊敬してます。けど、ちょっとは手を抜くことも時には必要ですよ? 高遠課長だって、夕純さんが無理することを望んでいないです。実際に面と向かって言われてたじゃないですか」
「でも、中途半端にするのが嫌だから……」
「そこで無理して倒れたりしたら、誰が一番責任を感じますか?」
事後の甘いひと時であるはずなのに、何故、私は衛也君に説教されているのだろう。そもそも、こんな時に仕事の話を持ち出すこと自体がどうかしている。
「――ここで仕事の話はしないで……」
とうとう耐えられなくなって、私は衛也君から離れて背を向けた。普段ならともかく、セックスが終わってから説教なんてあんまりだ。しかも、頑張っていることをこれほど責められるなんて。
しだいに息苦しさを感じた。目の奥からは涙が溢れ、嗚咽も漏れる。
と、背中越しに私の身体は大きなもので包まれた。
「ごめんなさい」
私を抱き締めながら、衛也君が耳元で謝罪してくる。
「あなたの言う通り、ここで言うべきことじゃなかったですよね。でも、これだけは分かって下さい。――俺は、あなたに何かあったら……、どうにかなってしまうほど不安で堪らないんです……」
衛也君の声は春のせせらぎのように、優しく心に染み込んでくる。優し過ぎて、私の心を痛いほど締め付ける。
「こっち、見てくれませんか……?」
恐る恐る問われる。
私は少し考え、でも、衛也君の温もりがもっと欲しくて素直に従う。
衛也君は哀しげに笑みながら、私の頬に伝った涙を唇で拭ってくれた。そして、ゆっくりと滑らせ、私に深く口付ける。
「もっと、夕純さんを壊していいですか……?」
衛也君から紡がれた言葉に、私は少し躊躇ってから頷く。
「私を、壊してしまって……」
これが引き金となり、衛也君の中の枷が外れた。
「――後戻りはしませんからね?」
衛也君はそう口にし、新たにコンドームに手を伸ばす。
期待と不安、半々の気持ちを抱えながら、私はコンドームを着ける衛也君を見つめる。
衛也君が再び、私の中へと入ってくる。何度も馴らされていたから、挿れられる瞬間も圧迫感は全く感じなかった。
衛也君は容赦なく私を攻め立てる。両脚を持ち上げられると深い所まで突かれ、何も考えられなくなってしまう。
「あんっ……あぁ……っ……!」
激しい律動の中、衛也君が切なげに口にした。
「俺も……壊れそう……」
薄らぐ意識の中で、私の耳に吐息と混ざり合って静かに響いた。
【壊されるほどに - End】
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