BLエロ小説短編集

五月雨時雨

文字の大きさ
53 / 1,394

一時的な救いを欲して男は乳首を間抜けに捏ね回す

しおりを挟む
自分を拉致した悪に向けていた怒りと憎しみの感情は、乳首を苛む残忍な苦悶によって惨めな哀願へと上書きされてしまった。
必ず報いを受けさせてやる。激しい反抗の意思によって紡がれていた忍耐は休み無く乳首を嬲る無慈悲な感覚に屈して蕩け堕ち、保ち続けた我慢を反転させたなりふり構わぬおねだりの思いを捕らわれた男から引きずり出していた。
男にはもう、頭上で手首を一まとめにし左右をきっちりと揃えさせた足首をきつく括る金属製の器具と格闘を試みる気力さえ残されていない。手足を上下に引き延ばした体勢を強要する器具によって裸体を台の上で仰向けに縫い付けられた男はもはや、縛めからの解放ではなく乳首を追い詰める地獄の緩和を願うことしか考えられない。
理性を削ぎ落とされ、正気を喪失する程の残忍な拷問に陥落した今の男は、口を塞ぐ黒い球状の枷の穴から唾液と共にくぐもった哀願の唸りを溢れさせつつ許しを請う、惨め極まりない存在でしか無いのだ。

「おっ、おえあい、ひあふうぅ……! ひくう゛ぃ、はわふ、いひっへ、ひゃわってぇぇ……っ!!」

真っ赤に充血し、じくじくと疼き、冷酷な敵達の手で塗り込まれた薬品の効果で気が狂うような痒みを発生させられている乳首を眺めながら、男がその痒みを紛らわす刺激を不明瞭な言葉で希求する。
台に背面を密着させられた裸体をくねくねと踊らせ少しでも痒みを誤魔化そうと涙ぐましい努力を重ねながら、男は誤魔化すどころか余計に意識する羽目となった痒みに脳を掻き乱されていく。

「あえは! はふへへぇっ!! ひくぶぃ、おはひくあうぅぅぅっ!!」

どんなに騒いでも、その悲痛な声に即応する者はいない。一人きりの部屋で幾ら救いをねだっても、間抜けな声は部屋に虚しく響き渡るのみだ。

「おっ、あえあい……ぐるぅ……はふへ、へ……っ!」

このまま、自分は乳首の痒みで自我すらも破壊されるのだろうか。絶望に打ちひしがれながら、男が乳首へと向けていた視線を頭部ごと離し脱力する。
そうして全てを諦め今まで積み上げた己の霧散を受け入れ始めた男に、前触れ無く慈悲がもたらされた。

「んもぉぉっ!?」

左右の乳首を包む柔らかな感触に、男が目を剥き悲鳴を上げながらまた頭部を起こす。そして待ち望んだ展開が訪れたことを潤んだ視界で認識した男は、苦しみや怯えに歪んでいた声音を感謝と至福に染め上げつつ、台の側面から伸びたアームの先にある桃色をした四角いスポンジに乳首と乳輪を一生懸命に擦り付ける自慰を、乳首を苦しめている痒み薬を染み込ませた物であるとあらかじめ伝えられていたスポンジを利用しての痒みの一時的な緩和を、台に固定された手足を支点にして胸部を無我夢中で踊らせることで求め始めた。

「あぁ、んまっ、んぶぅぅっ! ひもひぃ、ぎもひぃっ! あいあほうごあいあふぅっ! あいあごう、もあいあぶぅぅぅっ!!」

自分を壊しこんな痴態へと走らせた敵達に捧げる感謝を発しながら、スポンジに押し当てた乳首をぐにぐにと揉み込む。スポンジがまた離れる前に乳首を可能な限りに慰めておこうと思いながら、更なる痒みの到来を承知で残酷な薬品に湿ったスポンジで乳首を捏ね回す。
そんな滑稽極まりない男が披露するこれ以上無く無様な痴態を監視カメラ越しに別室から愉しみつつ、悪の男達はたった一分のみ許された乳首への責めを必死で貪る男が離れゆくスポンジを情けなく乳首で追い気落ちしながら強まった痒みにいたぶられ出す次の地獄の開始に、たったの四分という短い時間の中で永遠にも思える痒みの地獄を味わい刺激を欲して鳴き喚く愉快な男を再度満喫出来る時の到来に、期待を膨らませていくのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...