BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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可愛い男は意地悪な愛情で従者から恋人へと堕とされる

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「ふ……うぅっ。ん、ふ、うむぅ……っ」

こんな状況は、明らかに間違っている。そう頭では思っているのに、男は赤いギャグボールを噛まされた口から漏れる唸りを最小限に抑え続けている。
自分の主である存在が下す命令には、遵守を貫くべきである。数十年という時を執事として生きる中で身に着けた常識を、この数ヶ月の間に生まれた非常識な関係の中で培われた隷属の意識と合わせて継続しながら、男は自由を奪われた裸体が無自覚に行おうとする身悶えも可能な限りに制御し続けている。
全ては、自分と執事として扱い、最愛の存在としても扱う主の為。自分よりも二回り以上年下な、こちらに背を向けて仕事に集中している青年主の為だ。

「ん、もぉっ……うふっ、むうぅぅ……!」

左右の手首に嵌められた黒革製の枷から伸びた鎖を、自分を拘束し可愛がる目的を持って作製された器具へと接続された男が、飲み込めない唾液をだらしなく胸元へと滴らせつつ甘く歪んだ鳴き声を零す。
手枷の鎖を結合されている部分を宙に支えている土台の部分と左右の足首に装着された黒革の枷を短い鎖で遊び無く繋がれた男が、閉じられなくされ同時につま先立ちを強いられた足を苦しげに震わせながら、あらゆる行動を制限された裸体をくねくねと悩ましげに踊り狂わせる。
無論、幾ら裸体をよじらせても手足を縛める拘束達は外れてなどくれない。鉄棒に似た見た目を有する自分専用に作られた器具に四肢を囚われている裸体を男がどんなに悶えさせても、腕を頭上に運ばされ恥部を露出させられた姿からは離れられない。
今の自分に取れる選択肢は、年下の主が用意した悪趣味な責め具が生成する悦楽に悶え苦しむことだけ。ポンプを用いて吸い出した乳首とその周辺の肉を内蔵されたブラシの振動で絶えず摩擦するドーム状の器具と、左の太ももに黒いベルトで括り付けられたリモコンからの電力と指示を受けて小刻みに震え続ける亀頭の真下に巻かれたベルト型の器具と、常に過敏な前立腺を抉る形状を持ち休み無く自身を震わせている尻穴へとねじ込まれた器具が生み出す、決して絶頂は認めない勢いで注がれる微弱な雄と雌の快感に翻弄させられることだけ。
そんな惨めで恥ずかしい事実を思い知らされながら生殺しに心と身体を擦り減らされる。その甘く苦しく、何故か心地良い地獄にただただ掻き乱されていた男は霞む視界を覆った物体に遅ればせながら気付いて蕩けきった顔を上げ、いつの間にか自分の前に立っていた主に不明瞭な言葉で許しを請い始めた。

「おぅ、ううひへ、くあはい……こんあお、ひゃめ、えふぅっ」

ギャグボールに歯を立てる力も失った口から更なる唾液と共に疲弊しきった声を溢れさせつつ、男が年上としての矜持も忘れた態度で責めの終わりを懇願する。その様子を独占しつつ意地悪な笑みを浮かべた青年は、幼き日から憧れ恋慕を募らせていた自分専属の執事である年上の男が一生懸命に救いを欲しているという情報に充足を抱きながら、ギャグボールを下にずらし余裕たっぷりの声音で問いを浴びせた。

「○○さん、どう許して欲しいの? 何が駄目なの? ちゃんと言ってくれないと、どうしたら良いのか分かりませんよ?」

主の青年が幼き時に口にした自分の言葉を真似た問いが、男を追い詰めていく。
いつしか自分よりも背が伸び美しく成長した主が上から降らせてくる問いかけが、他の者は知らない邪悪な笑みと合わせて男に逃げ場が無いことを思い知らせていく。
今思考に募らせている答えを口にしても、それは主に却下されより無慈悲で熱烈な甘い加虐の燃料とされるだけだ。かといって主が求めているであろう答えを口にしても、それはご褒美と称した強烈な快楽の攻撃を叩き込まれ己の立場を忘れる程の至福を味わわされる結果となってしまう。
主と執事という本来のあり方を理性で否定しても、淫らに苛まれる。長時間に渡って焦らし抜かれた裸体を絶頂に導いて欲しいという本能を剥き出しにした願いを示したら、一層甘ったるく苛烈に愛される。
何をしても、何を返しても、抵抗を封じられた身体ではその後の展開を受け入れさせられるしか無い。幸せ色の絶望に絶句している年上の可愛い男の反応をしばし満喫した青年は、十秒程経過しても荒い呼吸を繰り返すばかりで返答らしい返答を行えなかった男に対して欲望を携え黒さを深めた笑みを注ぎながら、男自身が過去に放った咎めの言葉を引用しつつお仕置きを宣言した。

「黙っていたら分からないですよ? 尋ねられたら、何かしらの返事はきちんと行って下さい。それも出来ない駄目な○○さんには……もっともっと苦しんで貰いましょうね」
「ひ、らめっ、□□様……んむぅぅっ」

硬く無機質なギャグボールとは全く違う青年主の唇が、男の口を塞ぐ。引き結ぶ力も生殺しによって消失させられた男の口が青年の舌に割り開かれ、そのまま内側をねぶられつつ唾液を流し込まれていく。

「んっ、んぐ、むぶぅっ」

後頭部に回された主の手で頭部を反らせないようにされながらもたらされる情熱的な口付けが気持ち良い。長年仕えた執事としての自分を年上として男としての自分と一緒に破壊されている自覚があるのに、自ら舌を絡め返し流し込まれる唾液を夢中で嚥下してしまうくらいに気持ち良い。
そうして今日も確実に自分だけの可愛い存在へと嬉しそうに陥落していく男への恋情を滾らせながら、主である青年は男が無意識に振ることで発生した男根の動きを躱す位置に己の身体をずらし射精に紐付いた刺激だけは認めないよう残酷に気を払いつつ、愛しい男を執事から恋人に堕とす為の焦らしを追い打ちで与えていくのだった。
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