BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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正義は誰にも気付かれぬまま所有者の自宅へと運ばれる

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傍から見たら、それは銀色をしたただのアタッシェケースにしか見えない。
それの取っ手を左手に持ち歩いている男が都会によくいるサラリーマンの風貌をしていることも相まって、周囲の者はアタッシェケースの異常に誰一人として気付いていない。
その事実に一人胸の内でほくそ笑み、湧き上がる興奮と男根の膨張を必死に抑えている男の帰宅が何十分に渡って続いただろう。それなりに混んだ電車を用い、バスも使い、期待に胸を膨らませながら夜道を歩く帰宅の果てに男はマンションの自室へとようやく到達し、ソファーに腰掛けつつテーブルに置いたアタッシェケースを満面の笑みで開いた。
そうして現れたのは、ケース内部の大半を埋め尽くす箱型をした白い装置と、その装置中央に存在する四角いくぼみの中へと睾丸と共に飾られた無様で無防備な男根だった。

「捜査員さん、お疲れ様。俺の家はアジトから結構遠いから暇だったでしょ?」

嘲りと愉悦を剥き出しにした言葉を、男が衣服を緩めつつ嬉々として浴びせる。
だが、それに対して捜査員と呼ばれた側である男は何一つとして反応を示さない。己の裸体の大部分を本来の体積と質量を無視して収納する悪趣味な機構を有した装置に封じ込められた捜査員は、自分を運搬する行動が終了したことも分からぬまま、自らの声しか聞こえない装置内の暗闇で救いを欲する絶叫を上げつつ装置内部へと続く穴に根元を緩く絞め上げられる形で丸出しとなった男根を情けなくぷるぷると踊らせるばかりだ。

「ふふっ、もしかして俺に運ばれてる間そうやって一生懸命に頑張ってたのかな? 自力じゃどうやってもそこから出られやしないのに、絶対に許さないぞーって暴れてたのかな? 惨めで可愛いねぇ」

悪である自身の組織に捕らわれ、滑稽な姿へと作り変えられた捜査員の努力を堪能しながら、男が口角を更に吊り上げる。捜査員捕獲に尽力した功績に対する褒美として捜査員自身を自分専用の愉快な玩具として総帥に求め認められた悪の幹部に位置する男が、抑える必要の無くなった勃起に達した己の男根をズボンのファスナーを下ろすことで露出させながら、装置中央のくぼみに陳列された間抜けな正義の男根を透明な強化ガラス製の仕切り越しに眺めつつ加虐の欲望を滾らせていく。
その欲望を堪える理由など、悪の男には欠片も無い。この捜査員はもう、自分を愉しませ悦ばせる痴態を望まれるがままに披露するだけの物品でしか無い。
そんな情報を改めて噛み締めながら、悪の男は丸出しの男根を取り囲むかのように配置されたスライド式のスイッチの内の一つに右手を伸ばしつつ、聞こえていないことを承知で一方的に嬲られる玩具としての生活の最初を彩る責めの内容を捜査員に伝えた。

「こんなに惨めで可愛い捜査員さんは、もっと惨めで可愛くしてあげないとねぇ。今から装置を弄って、何処にも逃げられないその身体をめちゃくちゃに発情させてあげるよ。勃起したおチ〇チンがここの仕切りにぶつかるくらいに発情させて、我慢しきれずに仕切りにおチ〇チンを擦り付けながらみっともなく精液をそこに撒き散らさせてあげる。きっと、最高に惨めで可愛くなれるよ。良かったね、捜査員さん?」

もうすぐ、狭い範囲で必死に男根を跳ねさせて快楽を汲み取る捜査員を味わえる。自身が飾られた空間を限界まで張り詰めさせられた男根から放出した精液で汚し、透明な仕切りに付着した精液を自身の男根で拭き取っていく捜査員を満喫出来る。
その事実を悠然とした勝利の態度で噛み締めながら、悪の男は自身の要求を認めてくれた偉大な総帥への感謝と敬意を抱きつつ、自分だけの捜査員を淫獄に突き落とすスイッチを右の親指で上へと運んでいくのだった。
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