BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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恥を捨てた哀願は淡々と映像に残される

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一糸纏わぬ姿へと変えられた裸体を壁に飾られた男が、言葉にならぬ声で鳴き喚きながら苦悶からの脱出を求める行動を繰り返し続けている。
自らの所持品であった衣服や拳銃、手錠や正義に属する公的機関に所属することを示す物品と共に全身を背後の壁へと縫い付けられた男が、頭部を壁に繋ぐ役割も果たしている黒い棒状をした口枷の隙間からくぐもった悲鳴と飲み込めない唾液を零しつつ、自身を拉致した犯罪組織の悪意から抜け出そうと試行錯誤を重ねている。
だが、幾ら頑張っても状況は変えられない。万歳をしているかのような形の維持を腕に強いり、恥部を無防備に露出させるかのような開脚を裸体に絶えず行わせつつ自由を奪う金属製の器具達は、男がどんなに手を尽くしても全身をまんべんなく壁へと接続した状況を解こうとはしない。
両手首と肘、そして二の腕を壁に繋げられた腕を必死に動かしても拘束は外れない。両足首と膝、加えて太ももを壁と一体化された閉じられぬ足をめちゃくちゃにもがかせてみても、それは丸出しにさせられた男根を狭い範囲で無様に跳ね回らせる結果しか引き寄せられない。
様々な選択肢を没収され、己の持ち物だった物品達と共に壁へと陳列された男はもう、憎き犯罪組織の者達が用意した悪意に為す術無く責め嬲られるだけの存在だ。己の裸体を壁を彩る芸術品のように扱われている無様な男はもはや、宙に固定された自分の全身を画角に収めるよう設置されたカメラに何もかもを撮影されながら、痴態を繰り広げることしか出来ない存在だ。
憎き悪に生きたまま捕獲され、仲間の救助も望めない悪の本拠地へと連れ攫われた男は、隠すことも守ることも不可能にされた弱点達へと与えられた非道な薬品の威力に為す術無く狂わされ正義としてのみならず人間としての尊厳も失っていく過程を悪の懐を潤し悪を愉しませる映像作品として仕立てられるだけの生物でしか無いのだ。

「んっ、もぉ、えあぁぁ……っ! あえは、あうえへ……ひゃわっへ、いじっへえぇ……っ!!」

大粒の涙をカメラに向かって垂れ流し、不明瞭な言葉で恥を捨てた哀願を溢れさせ、胸元と股間を自己主張させるように男が裸体を必死にくねらせる。
塗り込まれた箇所に強烈な疼きと淫らな火照りを引き起こす薬剤に蝕まれ真っ赤に染まって尖りきった左右の乳首と、限界まで張り詰め透明な蜜を零している男根とはしたなく素早い収縮を行っている尻穴を責め立てて欲しいと叫びながら、男が薬品にいたぶられている場所をぷるぷると滑稽に振り乱しつつ助けを半狂乱になって請う。
だがもちろん、一人きりの部屋でどんなに慈悲をねだっても意味は無い。自分を淡々と映像に残すカメラに縋り付いても、小さな駆動音しか返ってはこない。
そんな絶望に心を欠片も残さずに打ち砕かれながら、正義の男は終わりの見えない乳首と男根と尻穴の生殺しに理性を少しずつ押し潰されつつ、頭部の真横に配置された身分証に映る顔の凜々しさからは想像も付かない淫蕩な破滅へと、悪の思惑に沿って突き落とされていくのだった。
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