BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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無駄に許しを請う正義達の前で男は淫獄の接近を嬉々として伝える

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最初の内は、二人共元気良く唸り私に怒りを示しながら、拘束と生殺しからの脱出を試み続けていた。
自分達の体格に合わせて作られた巨大な金属製の拘束台をどんなに軋ませても、自由は取り戻せない。台の機構によって口へと押し込まれた男根型の枷に歯を立てつつ暴れに暴れても、四肢を斜めに引き延ばした状態を強いられている無様な裸体はその格好から抜け出せはしない。
そんな事実を嫌というくらいに理解させられながらも、二人は私に対する反抗を瞳と唸りで表現しつつ、愉快な試行錯誤を諦めとは無縁な態度で繰り返していた。
その面影は、今や跡形も無く消え去っている。自身の裸体を間抜けな姿に保たせる拘束と一体化した床に置かれている箱型の土台部分から伸びたコードの先にある淫猥な器具による非常に微弱な振動を快楽の弱点へと注がれる責めを、口を貫いた偽の男根の先端から分泌される強力な淫薬の強制的な摂取と共に与えられている男達はもはや拘束との格闘も叶わず、私への怒気を発していたのが嘘のような惨めで情けない哀願を披露することが精一杯の状態へと陥っている。

「んっ、んもっ、もごぉっ」
「あぉっ、うぅ、ふむぅぅっ」

私を睨んでいた目から許しを請う意思を大粒の涙として零しつつ、二人が縛められた裸体に狭い範囲で腰を振らせながら出口の見えない焦らしからの解放を希求する。
透明な半球状をした器具に吸い出され、その器具内に用意された柔らかな羽根の緩慢な回転によって乳輪ごともどかしく捏ねられている乳首を可能な限りに突き出している二人。腸内で空気を送り込むことによって膨張し自力では幾ら力んでもひり出せない状態となったアナルプラグが延々と生み出す足りない刺激を嫌がり、根元と亀頭の真下に巻き付けられた黒いベルトに内蔵されたローターの弱すぎる刺激のせいで絶頂に至ることも萎えた状態に戻ることも出来ずにいる男根を襲う本能由来のイきたいと残りわずかな理性が紡ぐイかされたくないに際限無く狂わされながら、淫欲を溜め込まされ続ける地獄に悶絶する二人。
その実に滑稽な私だけの玩具達が×字に飾られた裸体を無意味に踊らせる様子を愉しみながら、私は心も身体も限界が近付いている二人に、責めを施す前に言い渡した慈悲の到来が迫っている事実を遠回しに伝え始めた。

「捜査員さん達? 十、九、八、七」
「ふぶっ……? んもぉっ!?」
「あぉっ、うぉっ! むぐぅぅぅーっ!!」

数字を逆に数え始めた私に困惑していた二人が、遅れてその意図に気付き戦慄の反応を見せる。
気高き捜査員らしからぬ恐怖の感情を剥き出しにしながら、私の遊び道具に堕ちた男達が裸体をみっともなくじたばたとこれまで以上の勢いで暴れさせ始める。
無論、足掻きの熱量を引き上げたところで何も変化は生まれない。生殺しの加虐を加えられる前に告げられていた全ての淫具が全力での快楽責めを開始する瞬間に怯えつつ手足に力を込めても、二つの裸体は私好みの格好で飾られたままくねくねと悶えるばかりだ。

「六、五、四、三」
「あぉぉっ! むぎゅぅぅっ!!」
「ふーっ! ふぶぅぅぅーっ!!」

嚥下させられた淫薬の効果で火照らされ、決定打の無い悦楽で火照りを増幅させられた。そのまま高まりきった乳首と尻穴と男根を本気で淫らに嬲られ出したら、間違い無く正気ではいられない。
逃げなければならない。
手に取るように分かる焦りと破滅を拒めぬ絶望を糧にしたなりふり構わない命乞いを二人一緒に観客である私へと捧げる。そんな捜査員さん達を満喫しながら私は淡々と数字を、新年の到来よりも大きな意味を持つ愉快で見応えのあるイき地獄の開始となる時を伝える数字を、半狂乱になってありとあらゆる手を尽くす何処にも逃れられぬ裸体達の前で口にしていくのだった。
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