BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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哀れな男は屈服の方向へと追い詰められる

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男は、自分一人しかいない部屋の中で必死になってもがいていた。頭部に被せられた黒い布で作られた全頭マスクの下で眉根を寄せながら硬く丸めた布を詰め込まれた口で唸り声を上げつつ、男は床に置かれた薄桃色のマットの上で拘束のみを着せられたうつ伏せの裸体をもがかせていた。

「うぅーっ……! ふぅっ、んぐっ、むぅ、んむぅぅぅっ……!」

自身の唾液で濡れそぼった口内の布を強く噛み締め、露わになっている肌に汗の粒を伝わせながら、男は拘束から抜け出そうと試行錯誤を繰り返し続ける。だが、その試行錯誤の成果は全く見えない。
幾ら顔をマットに擦り付けても頭部をすっぽりと包み込むマスクは脱げず、男は視界を取り戻す事はもちろん、言葉を封じている布を吐き出す事も出来ない。左右の手足に一生懸命に力を込めても、後ろに回した手で足首を掴んだ状態を強制している幾重にも巻き付けられた黒色のガムテープは剥がせず、男は立ち上がる事はおろか足を伸ばす事も、指一本を伸ばす事も出来ない。
視界を塞がれ、言葉を奪われ。両手両足の自由も取り上げられた無抵抗の状況。そんな状況に裸体を追いやられた無様な男は、自分に拘束を与えた者が残した苦悶にただただ苛まれるしか無い。

自分を淫らなペットとして買い取った富豪の男が巻き付けた赤い首輪の重みを感じる度に自分の今の立場を再認識しながら、男は躾と称して尻穴にたっぷりと注ぎ込まれた淫薬が生み出す気が狂いそうな程の疼きに追い詰められるしか無いのだ。

「んっ、んふっ、うぅぅぅっ!」

疼きに疼いている尻穴を何とかして慰められないか。そう考えて男は裸体をじたばたともがかせ、くねらせ、うつ伏せになったり仰向けになったりして尻穴に刺激を加えようと試みた。その試みがどうやっても上手くいかない事を悟ると、男は大きな声で唸ったり、うつ伏せの体勢でマットに男根を擦り付けたりして尻穴の疼きを誤魔化そうとした。
もちろん、それらの行動には何の意味も無い。そんな事をしても尻穴の疼きは無くならず、和らぎもしない。
苦しみを減らす為に男が取った行動は全て、男を疲弊させるだけの結果となり。疲弊した男は強くなる一方の尻穴の疼きに精神と肉体を苛まれながら、自分を買った富豪の思惑通り、屈服の方向へと追い詰められていく。

「んー! むぅ……んむ、むぅ、むぶぅぅ……っ」

荒い呼吸を行いながら、疲れ切っている汗に濡れた裸体をぴくぴくと震わせながら、男は憎かったはずの富豪に対して哀願の感情を抱き。尻穴への刺激をおねだりしたい一心で、富豪が早く部屋に戻る事を求めていた。
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