BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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掌握された裸体は無から湧き上がる火照りで嬲られる

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親指同士が触れ合う距離で床に手の平を密着させ、腕を限界まで伸ばし上半身を支える。肩幅に開いた状態でつま先を床に着け、腕と同じように足を可能な限りに伸ばして下半身を支える。
そんな格好を一糸纏わぬ裸体で取らされた男にはもう、自分に惨めな姿を強いた敵達に対する怒りを抱く気力さえ残されてはいない。真後ろに向かって丸出しの恥部を無防備に晒す屈辱の姿勢を保たされているはずの男はもはや、憎き敵達に向かって誇りを捨てた哀願を紡ぐことすらも認められていない現状にただただ絶望を募らせることしか出来はしない。
非道な敵達の手で体内へと注入されたナノマシンを自らの血流に乗せる形で全身に配備され、ありとあらゆる行動を外部から掌握出来る残酷な拘束をもたらされた哀れな男は己の物だというのに命令を一切聞き入れてくれない裸体に打ちひしがれながら辱められるだけの存在だ。
表情すらも操作され瞬きと鼻呼吸の頻度を変化させる程度の自由しか許されていない無様な男は、悲鳴すらも上げられぬ口を間抜けに震わせながら為す術無く敵の支配下に置かれた心と身体を弄ばれるしか無い。ナノマシンを通して意に染まぬ強烈な発情を全身へと引き起こされた男は、はしたなく体積を増した乳首が跳ね痛々しく勃起した男根が淫猥な蜜を垂れ流し尻穴が滑稽な収縮を繰り返しながら腸液を滲ませる様を鑑賞の輪を作って自分を愉しむ敵達の思惑に沿った生殺しの地獄で、どうすることも出来ぬまま際限無く狂わされ続けるしか無いのだ。

「ふふっ、本来だったら今頃この部屋は君の情けない絶叫がうるさいくらいに響いているんだろうねぇ」
「イかせてください、気持ち良くしてください、って恥知らずに鳴き喚く声が聞けないのは残念だけど、それはそれで想像が掻き立てられて堪らないよ」
「全く、堪らないよ。無言で、愉快な格好で静止しているのに恥ずかしい場所はいやらしいお汁をだらだらと溢れさせている。そんな君が本当ならどれだけ聞き応えのある声で慈悲をねだっていたのか……そう考えるだけで愉悦と興奮が何処までも膨らんでいくよ」

自分を囲む敵の男達が、好き勝手に侮蔑を浴びせてくる。自らを慰める選択肢すらも封じた敵達が、痴態を嘲笑いつつ心を容赦無く切り刻んでいく。
その追い打ちに先程以上に濃く救いの無い現実を一層強く意識した絶望を湧き上がらせながら、男は非道なナノマシンの力で自身の物でありながら他人の所有物へと堕とされた肉体を嬲る無から誘発された発情に苦しみつつ、その発情が引き寄せる快楽への渇望とこの状況に対する恐怖や戦慄に幾ら苛まれても壊れられぬようナノマシンによって制御された心に、実際に今自分が思っている物なのかすらも分からなくなった助けてを虚しく浮かばせていくのだった。
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