BLエロ小説短編集

五月雨時雨

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淫らな本心は拒絶も叶わぬ形で捧げさせられる

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口の両端へと引っ掛けられた金属製のフックが、後頭部を通る形でお互いを繋ぐ黒革製のベルトの力を借りた圧迫を注ぎつつ男の口を無様に拡げさせ続けている。左右の鼻の穴へと差し込まれた口の物よりも細いフックが、頭頂部を通るように這わされ金属製の白い首輪の後部へと繋がれている黒革のベルトによる負荷を受けつつ男の鼻を間抜けな形状に変えさせ続けている。
その屈辱的な装飾を毟り取りたくても、今の男には毟り取れない。涙に潤んだ瞳で自分を拉致した男を睨むことが精一杯の状況に追いやられている男がどんなに現状を覆したいと願っても、異常な縛めを施された裸体は全く思い通りには動かせない。
嵌められた者の肉体に外部から影響を与え、ほとんどの自由を抵抗すら叶わぬ形で一方的に掌握する。そんな残酷な首輪の支配下に置かれた惨めな男はもう、眼前の男に嘲笑われるだけの怒りの言葉を閉じられぬ口から唾液と共に零しながら情けない姿勢に固められた裸体を嬲られることしか出来はしない。
悪趣味な器具によって彩られた顔面がよく見えるよう頭部を限界まで起こした状態と、首輪の力で無から引き起こされた発情由来の疼きに責め立てられている恥部をはしたなく見せ付ける自らの足首を手で掴んだ状態を同時に取らされている滑稽な男はもはや、終わり無く続くもどかしさに苛まれながらも紡ぐ反抗の態度が跡形も無く蕩け堕ちるまでの過程を敵である男に余すところ無く鑑賞されるしか無いのだ。

「へっ、へっはいひ、うう、ひゃあいぃ……! こっ、こおひへ、あうぅ……っ!!」

怒気を不明瞭に放ち、殺意を剥き出しにした声音を敵に浴びせながら、男が胸の内で陥落を否定する思いを新たにする。こんな男の思惑通りになどならないという感情を滾らせながら、男が屈服への拒絶を加速させる。
だが、幾ら気丈に堕落を遠ざけてみてもそれは敵の男に一層の愉悦を味わわせるだけだ。硬く張り詰めさせた男根を苦しげに脈動させつつ涙を流しているかのように淫蜜を絶えず垂れ流し、腸内に渦巻くむず痒いような疼きの感覚に対して悲鳴を上げているかの如く尻穴をヒクヒクと震わせながら強がってみても、その様子はソファーに腰掛けてくつろぎの体勢を取り床の上でみっともなく悶え苦しむ自分を見下ろして愉しんでいる男に黒く歪んだ充足を抱かせるだけだ。

「い、いあふう、もおへぇっ! はっ、はいほう、ひおぉっ!!」

そんな事実に気付く余裕すらも無自覚に失った男が、諦め悪く解放を要求する。首輪を通して全身の自由だけでなく命すらも握られている現状に絶望する気力も削ぎ落とされた男が、生殺しの地獄に喘ぎながら終了を求める。
無論、敵の男はそれに応えない。いつまで経っても陥落する気配の無い男が見せる愉快な忍耐に加虐心を膨らませるばかりの男は鋭くぶつけられた不完全な言葉の内容を聞き流しながら、往生際の悪い男の心を折るべく思い付いた命令を何の迷いも無く嬉々として叩き付けた。

「我慢は毒だよ? そんな立場の分かっていない言葉は禁止。ここからは、自分が本当にして欲しいことへのおねだりしかしゃべっちゃ駄目だからね?」

男の命令を感知した機械仕掛けの残忍な首輪が、装着された者にしか聞こえない音量で駆動音を立てつつ抗えぬ男にその命令への遵守を強いり出す。
堪えたくても堪えられない。認めたくないのに正直に言わされるしか無い。その冷酷な展開に打ちひしがれながら、男は反抗の裏に隠していた淫猥な願望を、疼きに疼いている男根と尻穴を慰める悦楽を恵んで欲しいという恥を捨てた淫らな哀願を、理性の制御を無視して溢れ出る本心として自身の所有者となった男に捧げさせられていくのだった。
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