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6話
迎えに来たから、とりあえず帰るわ
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帰りを待ってたのかな?じいさんは境内へ下りてきた。
俺と咲弥もじいさんの方へ歩み寄る。
「少しは、落ち着きましたかな?」
最初に見た時の、あの穏やかな笑みをしたじいさんがそこに居た。
「・・・まぁ、少しはな・・・・。」
って、ちょっとだけ苦笑いして応える。
「暫くは、ここに居ても構わんのじゃが・・・・」
そう言いながらじいさんは俺の少し後ろに控えている咲弥を見やった。
じいさんの心遣い、有難く胸の内に留め、咲弥は言う。
「この軀・・・もし何かあるようなことがありましたら、その弔い・・・お頼み致します。」
その意味するところ、ニュアンス的にも俺も理解できた。
三人の間に、沈黙の領会が漂う――。
境内の周りには、樹齢何百年って感じの圧倒するような木々が生い茂っている。青々と緑を湛えている木々の間からは夕闇が落ちてきていた。
蜩の声が響き渡る――
もうすぐ、闇が全てを包み込む。
「・・・・それでは・・・。」
運転席の窓を開けてそう挨拶しながら、咲弥がじいさんに軽く頭を下げる。
その助手席には、俺も。
「気をつけて・・・・。」
じいさんの見送りを後に、俺たちを乗せた黒いLEXUS (LS460)は静かに走り去った。
道は右に左にと弧を描くように下りのカーブが続いていた。
さっきから微かに耳に届くくらいの音量で、今流のR&Bの曲が流れてる。
(・・・へぇ―・・・思ってたイメージと違う。)
相変わらず車内は静かだ。
「・・・あんた、R&B系の曲・・・好きなんだ・・・・。」
不意にそんなことを聞いてみた。
「え?あ・・・まぁ・・・。ご存知ですか?」
「まぁね・・・・。」
そんな何気ない会話だけど、この息が詰まりそうな空間が少しは和んだ気がした。こんな静かすぎる空間は性に合わない。気を紛らわすように携帯を取り出して弄る。そうしながら、
「ところでさ・・・あんた、何で俺のこと直臣じゃなくて、保って呼ぶわけ?あんたの目的は直臣なんだろ?保じゃねぇだろ・・・・。」
って独り言のように俺は呟いてた。
そんな俺を少しだけ横目に見ながら、
「突然、何も知らない男から知らない名前を呼ばれても、戸惑うでしょう?」
「ん――まぁな・・・・。」
そう云われてみれば・・・鼻先を少し掻く。
「私のこともよく理解できていないでしょう?とりあえず、貴方の後見人と思ってください。」
そう言って咲弥は笑う。そんな、微かに笑みの残る端麗な横顔を俺は見入ってしまっていた。
(・・・何か鼻につく奴だけど・・・キレイな奴だ・・・・)
「まだ状況が把握できていないと思います。暫くは私の所へ泊まって下さい。」
ん?ん?今、何て・・・?
「暫く・・・?って?!どゆこと?!あんた、今夜は・・・って言ったよな?!」
「奴らの企ては、女、子どもも容赦しない。保さん、貴方だけならまだしも、貴方の周りの大切な人たちまでも巻き込んでしまうことになる・・・・。」
さっきまでの笑みは消えて厳しい表情になる。
今までにない硬い顔つきの咲弥に変わった。そんな様子を見て俺は言葉が出なかった。
また・・・しばらくの間、沈黙が流れた――。
車外の景色が少しずつ変化していくのが分かった。
あの寺がある山ん中を離れて一時間くらいは走ってるかな・・・?
辺りの風景は住宅地やビルが並ぶ町中へと変わっていた。様々な店の看板の電飾やビルの明りが賑やかだ。
(・・・いつもの町だ・・・・)
見慣れている町の雰囲気に安心した。自分が居る場所なんだ・・・って。
車は二車線を左へと車線変更しながら目的のマンションへと向かっていた、先の赤信号でゆっくりと停車する。
「・・・・俺は・・・どうすればいい・・・・?」
窓に肘を付きながら先の信号を見つめて俺は呟くように口を開いた。
信号が変わって、また車を発進させながら咲弥は応える。
「ひとまず、その疵を治すことが先決です。」
右へのウィンカーを示しながら広い駐車場へ入って行く。
「・・・・ここ・・・?」
さすがは高給所得者?っての?住むとこも違う。何か、溜め息出そ――。
眼の前にはまだ建ったばかり風の新しいマンションが見えていた。
俺と咲弥もじいさんの方へ歩み寄る。
「少しは、落ち着きましたかな?」
最初に見た時の、あの穏やかな笑みをしたじいさんがそこに居た。
「・・・まぁ、少しはな・・・・。」
って、ちょっとだけ苦笑いして応える。
「暫くは、ここに居ても構わんのじゃが・・・・」
そう言いながらじいさんは俺の少し後ろに控えている咲弥を見やった。
じいさんの心遣い、有難く胸の内に留め、咲弥は言う。
「この軀・・・もし何かあるようなことがありましたら、その弔い・・・お頼み致します。」
その意味するところ、ニュアンス的にも俺も理解できた。
三人の間に、沈黙の領会が漂う――。
境内の周りには、樹齢何百年って感じの圧倒するような木々が生い茂っている。青々と緑を湛えている木々の間からは夕闇が落ちてきていた。
蜩の声が響き渡る――
もうすぐ、闇が全てを包み込む。
「・・・・それでは・・・。」
運転席の窓を開けてそう挨拶しながら、咲弥がじいさんに軽く頭を下げる。
その助手席には、俺も。
「気をつけて・・・・。」
じいさんの見送りを後に、俺たちを乗せた黒いLEXUS (LS460)は静かに走り去った。
道は右に左にと弧を描くように下りのカーブが続いていた。
さっきから微かに耳に届くくらいの音量で、今流のR&Bの曲が流れてる。
(・・・へぇ―・・・思ってたイメージと違う。)
相変わらず車内は静かだ。
「・・・あんた、R&B系の曲・・・好きなんだ・・・・。」
不意にそんなことを聞いてみた。
「え?あ・・・まぁ・・・。ご存知ですか?」
「まぁね・・・・。」
そんな何気ない会話だけど、この息が詰まりそうな空間が少しは和んだ気がした。こんな静かすぎる空間は性に合わない。気を紛らわすように携帯を取り出して弄る。そうしながら、
「ところでさ・・・あんた、何で俺のこと直臣じゃなくて、保って呼ぶわけ?あんたの目的は直臣なんだろ?保じゃねぇだろ・・・・。」
って独り言のように俺は呟いてた。
そんな俺を少しだけ横目に見ながら、
「突然、何も知らない男から知らない名前を呼ばれても、戸惑うでしょう?」
「ん――まぁな・・・・。」
そう云われてみれば・・・鼻先を少し掻く。
「私のこともよく理解できていないでしょう?とりあえず、貴方の後見人と思ってください。」
そう言って咲弥は笑う。そんな、微かに笑みの残る端麗な横顔を俺は見入ってしまっていた。
(・・・何か鼻につく奴だけど・・・キレイな奴だ・・・・)
「まだ状況が把握できていないと思います。暫くは私の所へ泊まって下さい。」
ん?ん?今、何て・・・?
「暫く・・・?って?!どゆこと?!あんた、今夜は・・・って言ったよな?!」
「奴らの企ては、女、子どもも容赦しない。保さん、貴方だけならまだしも、貴方の周りの大切な人たちまでも巻き込んでしまうことになる・・・・。」
さっきまでの笑みは消えて厳しい表情になる。
今までにない硬い顔つきの咲弥に変わった。そんな様子を見て俺は言葉が出なかった。
また・・・しばらくの間、沈黙が流れた――。
車外の景色が少しずつ変化していくのが分かった。
あの寺がある山ん中を離れて一時間くらいは走ってるかな・・・?
辺りの風景は住宅地やビルが並ぶ町中へと変わっていた。様々な店の看板の電飾やビルの明りが賑やかだ。
(・・・いつもの町だ・・・・)
見慣れている町の雰囲気に安心した。自分が居る場所なんだ・・・って。
車は二車線を左へと車線変更しながら目的のマンションへと向かっていた、先の赤信号でゆっくりと停車する。
「・・・・俺は・・・どうすればいい・・・・?」
窓に肘を付きながら先の信号を見つめて俺は呟くように口を開いた。
信号が変わって、また車を発進させながら咲弥は応える。
「ひとまず、その疵を治すことが先決です。」
右へのウィンカーを示しながら広い駐車場へ入って行く。
「・・・・ここ・・・?」
さすがは高給所得者?っての?住むとこも違う。何か、溜め息出そ――。
眼の前にはまだ建ったばかり風の新しいマンションが見えていた。
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