蜩の軀

田神 ナ子

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忍びの境編

要という存在 ★

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 「咲弥様!お帰りなさい!都はどうだった?」
境に帰ってきたのは約半月後のこと。
戦に出たの帰りを心待ちにしていたのは境の子どもたち。
小さな村ではあるが、親を亡くした子どもらや村を焼かれ住む所すら失った者たちが、互いに助け合いながらそれなりに幸せに暮らしていた。
 城下町や藩主を狙う地蜘蛛衆からの急襲を防ぐため、藩主や民の者を護るため、は戦に応戦する。境に帰ることは半月とは言わない、ともすると一年は掛かることもある。長くても短くてもさすがに戦は命を削る。完全無事で帰還することはない。
 そんな彼らの帰りを心待ちにしている子どもたちにとっては戦なんて知る由もない。「都はどうだった?」と、果てはどこぞと出掛けた・・・とばかりにしか思っていない。
 「ほら、ほら・・・子どもたち、咲弥様も菊千代様も美緑様も、長旅で疲れておるのだから話は後にしておいで・・・・」
境の人々は皆、彼らが帰ってくると子どもたちには優しくそう言って散らす。
みんな彼らのことが好きだ。彼らのことを信頼しているのだ。
 「後で遊んでやっからな~!」
詰まらなさそうに散らばって行く子どもたちに向かって手を振り笑顔で美緑がそう言う。その後ろに咲弥と菊千代の姿も。
 「お帰りなさいませ。お疲れでありましょう・・・・」
境の者たちもまた彼らの帰りを安堵した。彼らを囲んでいた境の者たちの奥からゆっくりと歩み出てきたのは、
 「・・・直臣様・・・・・」
その姿を眼にして咲弥の表情が少し和らぐ。
 「無事で・・・良かった・・・・」
 「ただいま、戻りました――」
さり気なく掛けられた言葉と愛おしい姿に咲弥は軽く一礼して応えた。
 「長に挨拶をしてまいります。」 
三人は長の居る境の奥屋敷へ向かって行った。

 ――忍びの境にはさらに聖域があり、そこにはぬみと呼ばれる者たちが居た。
呪術を使う者たちでさえも簡単に近づくことはできない域。
とは呪術を持つ者とは違ったりょくを元々持っている者たちで、“治癒力”を備え持っていた。その躰を治癒体といい呪術を使う者とあいしていた。戦で限界以上の力を使えばその分生命力も失われていく。呪術を持つ者にとっては癒しの存在でもあった。傷ついた躰を癒す存在として無くてはならない存在。


 長に無事帰還の挨拶を済ませたその足で、へと向かう。
境を離れてまた一つ村のような域がそこにはあった。辺りは竹林に囲まれ清涼とした空気が流れていた。その竹林の中に静穏な佇まいの藁葺きの屋敷が見える。
 咲弥はその屋敷へと足を運んでいた。
屋敷の前には、十七、八ほどの年頃の青年が静かに出迎えていた。
 「お帰りなさいませ。咲弥様。支度は整えております。」
青年はそう言って屋敷の中へ先導する。彼の後を慣れた物腰で咲弥が付いて行く。

 竹林の中ということもあってか屋敷の中は薄暗く感じた。屋敷を囲む縁側に沿って二人は何も語ることなく奥の座へ入って行く。
障子戸を開けるとそこはただ寝床だけが敷かれていた。先にいた青年が寝床の上へ着くと、徐に、着ていた着物を脱ぎ落す。するりと落ちた着物の下からは白肌のほっそりとした四肢が露になる。
 「咲弥様――・・・・・」
その青年は全裸のままで咲弥を呼ぶ。
 「・・・・彌景みかげ――」
流れるような物腰で彌景と呼んだ青年の傍に寄り、右手の指先で彼の顎をくっと上げると咲弥は滑らかに口づけをした。ふ・・・と、その唇が放れて彌景は吐息の声で、
 「お待ちしておりました・・・・・」
と、微かな笑みを浮かべる。
咲弥の両手が細く白い背中を包み込んでゆっくりと柔らかな彼の臀部を撫でる。
彌景が咲弥の着ている着物の腰紐を解き脱ぐように促す。
肌蹴た着物から見える咲弥の四肢には生々しく戦の傷跡が残っている。
 「・・・いつも・・・世話になる・・・・・」
咲弥の優しく囁く声に彌景の躰が反応する。ほどよく火照ってきた躰の向きを変えるとその背中から臀部へ向かって濡れた舌先を滑らす。
 「・・・・ん・・ふぅ・・・・・」
湿った感触に躰が感じて彌景の腰が突き上げられる。そのまま、咲弥は覆いかぶさるようにして彌景の躰を這わす。四つん這いになった彌景の腰を両手で引き寄せて、固くなった自分の男根ものを圧しつける。咲弥の男根を感じた彌景の喘ぎが熱くなった。
 「・・・はぁ・・・っ・・咲・・弥・・様・・・っ!」
それと同時に彼の男根も腹部に張り付きそうなほど突き上がっていた。それを咲弥の指先がぷる・・・っとなぞると、瞬時に彼の尿道口さきから温い白濁の液体が飛び出てくる。
 「・・・あ・・あっ・・・・んっ・・・!咲弥さ・・ま・・・早・・・くぅっ・・・・」
その白濁の液が全て放出されてしまう前にそれを飲み込まなければいけない。
 そう――要の体液こそが彼ら、呪術者の癒しの薬となるものだった。しかし、生身の人間であれば微量でも体内を廻れば血中なかから躰を破壊させるものとなる。
 くっ、くっ・・・と喉を鳴らしてその液体を咲弥が飲み込んでいく。舌を絡めながら自分の精液それを飲み込む刺激に彌景が高い声を上げた。
 「はぁ・・・・んん――っ・・・・・!」
細く白い躰をしなやかに仰け反らせて絶頂に達する。
 咲弥の口端から漏れた自分の液を彌景は舌で舐め取りながらその舌を咲弥の口腔なかへとゆっくりと入れていく――二人の舌が音を鳴らして絡み合う。
彌景が咲弥の上に腰を下ろすように跨いだ。その華奢な臀部を咲弥の両手が広げると既に熱く綻んでいる菊花が待ち望んでいた。
 「咲・・・弥さ・・ま・・・たっぷりと・・・・淹れてくだ・・さ・・・・っつ!」
と、言い切らないうちに咲弥の固く反り立った男根が火照った菊花の中へ入っていく。
 「彌・・・・景っ・・・・・!」
 「さ・・・くや・・さまぁぁ・・・・っ!」
突き上げる咲弥の腰の動きが激しくなる。その動きに彌景の躰が上下に揺すぶられた。
 「・・・はっ・・あぁ・・・・っつ!!」
二人の喘ぐ声が静かなこの座敷に広がった――


 「咲弥様・・・・もう戦になど行かれないで下さい・・・・」
その度に傷ついた躰を見るのは忍びない。しかし・・・・
その度にこうして躰を寄せ合える。この矛盾した想いよ――
 の後で眠る咲弥の横顔にそっと囁いた。
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