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7話
どーゆーこと?!
しおりを挟む――嫌な予感がする。
もう部活も終わっているはず。なのに・・・・
さっきからLINEするけど、一向に既読にならない。もう三十分以上は経過してる気がする。いつもなら五分もしないうちに返信してくる奴なのに・・・。
咲弥のマンションの駐車場に着いたばかりだった。
咲弥の言葉が頭の中を過った。
『貴方の周りの大切な人たちまでも巻き込んでしまうことになる・・・・』
それはどういうことなのか?
たぶん、そういうこと?
色んなことがありすぎて何を優先すればいいのか判断も鈍くなってる。だけど、何となく胸騒ぎってのかな、俺は握り締めている携帯を睨みながら、
「咲弥・・・悪いけど、学校まで送ってもらえねぇかな?」
「・・・保さん?・・・どうかしました?」
「・・・亮介が・・・・」
それきり俺は黙ってしまった。そんな俺の様子を察したのか、
「学校・・・ですね?」
咲弥は慣れた操作でハンドルを動かし急いで車を走らせてくれた。事情もよく分からないのに嫌な顔一つもしないで。
急発進でタイヤの擦れる音が駐車場に響いた。
知らない土地じゃないから、咲弥のマンション辺りがどこら辺で、今、この町のどこら辺を走ってるかは俺も分かってたから、学校までのルートを指示すればそれに従いながら咲弥が運転に集中する。
サイドミラーをさらりと確認して右へ、左へと車線変更をしながら先の車を次々に追い越していく。それでいて冷静さを失わない咲弥の精神力に正直、魅かれた=恋だの愛だの意味じゃなくて。できる男って同性から見ても魅力的じゃね?ってそんなこと思ってた。
そこそこ飛ばしてきたから思ったより早く学校に着いた。
校舎を囲んでいる公孫樹の木が街灯に照らされている。でも、辺りは降り出してきた雨でぼやけて見えた。目を細めて確認しながら、確か裏門の辺りだけど・・・
「・・・そこ!右だ!」
急な俺の指示にも慌てなかった。言われた方向を確認すると滑り込むようにして車を急停車させた。
勢いが付いたままで急停車したもんだから反動で車体も俺たちも揺れた。
直ぐに車を降りて、とりあえず、亮介が居るとしたら・・・サッカー部の部室に向かって俺は必死で駆け出してた。俺の後から咲弥も走って来てたんだろう。振り返る余裕は俺にはなかった。
雨が、さっきよりも強くなってる。
熱せられた地面の空気が雨で蒸気に変わるから視界が霞んで見える。
中庭まで来た時、俺の視界にはっきりとはしないけど見慣れた奴の姿形なら分かるんだ。
「!・・・亮介――っ!」
「・・・・よッ!」
亮介だ。やっぱり!まだ学校に居たんだ。いつもの小生意気な笑いしやがって、心配したけど大丈夫そう・・・?に見えた。さっきから頬を手の甲で押さえてるけど。
「・・・・美緑・・・」
俺の後から走り着いた咲弥が迷わずそう呼んだんだ。目の前にいる亮介を見て。確かにそう呼んだ。
「遅ぇんだよ、咲弥・・・・。」
何?なに?なに?って、亮介が咲弥の名前を呼んでる?亮介が?お互いを知ってる?
俺は何度も二人の顔を交互に見ていた。頭の中が混乱して冷静になれる状態じゃねぇ。
「・・・どういう事だよ!」
「・・・・保さん――」
俺は横に居る咲弥を睨みながら吠えた。
冷静さは変わらない。咲弥はじっと眼の前の亮介を見て動かない。
(貴方は気付いているだろうか・・・・?彼の周りに降る雨の、逆流していることを・・・・彼の存在が判るだろうか・・・・?)
そう――亮介の周りだけが確かに濡れていない。それどころか、亮介の躰を雨が護ってくれているようにも見える。
「保、下手に動くなよ・・・・」
「はぁ?何?何、言ってんの?意味、分かんねぇ!」
って、亮介んところに走った、
パリ―――ンッ!
甲高いガラスの割れる音が耳を衝いた。
二階から?音のした方を見上げた俺は声が出なかった。てか、唖然となってしまって動けなかったんだ。
鋭いガラスの破片が、一斉に俺に向かって飛んでくるんだ!ガラスがだよ?!これって何?ど―ゆ―状態?!
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