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閑話 『SECOND SEASON』
服従 ★
しおりを挟むバイトが終わって帰路に着いたのは20時過ぎてた。
いつものようにチャリを走らせる。
夜風が気持ちいい。
そんな夜風の中に夏の虫たちの声が耳許を流れてく。
澄んだ啼き声が昼間の暑さを和らげさせてくれる感じがした。
街灯の僅かな明かりの下、自宅アパートが見えてきた。
「・・・・・?」
俺の視線の先に見えたのは、
アパートの入り口付近の道路に停めてある黒い車と、その傍に二つの人影が・・・はっきりとは見えないけど、何か話している風。
チャリの速度を落としながら近寄って行くと、
「・・・あら、帰ってきたみたいです。お帰り、保」
母親とこの黒い車の持ち主が何か話でもあった?
二人して和らいだ表情で居た。
「ちょうどあんたのこと話してたとこだったのよ。あ、そうそう、名刺も頂いたんだけど、こちら橘さんって仰って――あんたもお世話になってんだって?母さん全然、そんなこと知らなかったから・・・立ち話もなんだからって言ったんだけど、ここで待ってるって言われてね・・・」
「すみません、押し掛けてしまったみたいで・・・保さんのお母さんにもお会いしておきたくて。面識があると安心されるでしょうし――」
咲弥が母さんの方を見て穏やかに微笑んでいやがる。
何しに家まで来てんだよっ。なんか企んでんの?
チャリから降りて、無愛想な言い方で、
「もう、母さん、家、帰ってていいから・・・」
「あらぁ、でも・・・せっかく来て下さったんだし・・・」
「いいから」
ちょっとイラついてしまった。
咲弥の考えてることが分かんなくて。
母さんはすまなさそうに咲弥を見て、頭を下げて帰ってった。
ごめん、母さん。母さんのせいじゃないから。
「・・・で、家まで来て何の用?」
「すみません、お母さんに悪いことしてしまいましたね。いえ・・・ただ、会っておきたかっただけです。お母さんが心配されると保さんも困るでしょう?それに・・・仕事に行く前に貴方にも会いたかった・・・」
咲弥はそう言っていつものように優しく笑う。
「・・・だから・・・・?」
判ってる。
なんかこう・・・咲弥の前だと、ツンってしてしまう。
ひねくれてんなぁ・・・俺。
「それじゃ、また連絡します」
ゆっくりと咲弥は車に乗り込んだ。
そして、運転席の窓を開けて手招きしてる。
「・・・・・?」
手招きに応えて近寄った俺の後頭部をいきなり片手で引き寄せて咲弥がキスしてきた!
こんなとこで!いくら人通りが少ないとはいえ誰か見てたらどうすんだよっ!
「・・・行ってきます」
ニコッ、て笑う咲弥を俺は睨み返した。
ニコッ、じゃねぇから!
静かなエンジン音の黒いLEXUSはゆっくりと走り出した。
コンコン・・・
「・・・・ん――?」
ドアをノックして、
「先に寝るわね」って、家事や自分のことを一通り終えた母さんは、息子の反応を確認して就寝した。
曖昧な返事で応えた俺はベッドに横になりながら携帯を弄ってる。
電気の消えた部屋で。
夜更けまで友達とLINEしたりゲームに没頭してしまう。
で、翌朝は起きれずに、母さんから叩き起こされる。こんな毎日の繰り返し。
それでも、いつものようにゲームを楽しんでた。
ブッ――ブ――ッ・・・・
突然、携帯が着信を知らせる。
夜中に、マナーモードにしはしてるけど、バイブ音が鳴るとドキッってしてしまう。
咲弥からだ―――
(こんな時間に・・・・?)
「・・・・何?」
一応、夜中だし、部屋は奥の方で離れてるけど、母さんは寝てるし、声を潜めて電話に出た。
「・・・保さん・・・まだ、起きてました?」
「何だよ・・・お前、仕事中だろ?」
「仕事中ですけど、休憩です。」
あ、またあの茶化したような笑みが見えたような気がした。
「・・・で、何?」
「保さんの声が、聞きたくて・・・」
「はぁ?そんだけ?何考えてんのお前・・・・」
「・・・・我慢できなくて・・・」
咲弥の声が吐息に変わる――
何だろう・・・変な感覚を覚えた。
咲弥の声に俺の躰がピクンって反応する。
ただ声を聞いただけなのに、躰が熱い。
「・・・抱き・・・たい・・・」
段々、咲弥の声が熱くなって、携帯越しに俺の耳許で微かに囁くんだ。
そのうち、向こう側からぴちゃぴちゃ・・・って、舌を鳴らす音が聞こえたきた。
背筋を通って俺の肛門辺りまで電流が流れたみたいに響く。
「・・・咲弥?!・・・お前、何やってんの?!」
「ねぇ・・・ほら・・・もう大きくなってきてる・・・声を・・・聞かせて・・・」
寝静まった夜中に、
向こう側にいるはずの咲弥の吐息が、耳許から俺の全身に奔る。
携帯片手にベッドに横になってた俺は、少しだけ上半身を起こしていつの間にか自分の股間の辺りを触ってた。
「保さん・・・声を・・・出して・・・・」
「・・・無理・・・っ・・・母さんに・・・聞こえる・・・」
やっと、まだ理性はある。
携帯越しに自分でやるなんて・・・
そんな恥ずかしさを感じながらも、躰がさっきからびくびくして止められない!
「早く・・・出して・・・・」
「・・・はっ・・・んんっ・・・」
もうあからさまに短パンの上が盛り上がってきてる。
片手でゆっくりと短パンと下着を下ろして、下腹までくっつきそうな俺の陰茎を自分で擦った。
片方の手に携帯を持って、咲弥の誘導に躰を従わせながら、俺は出そうになる声を喉の奥で堪えた。
「指を濡らして・・・ゆっくりでいいから・・・・」
「へぇっ・・・?無理・・・」
「力抜いて・・・気持ちよくなるから・・・音を聞かせて・・・・」
咲弥の低く響く声が、俺の朦朧とする頭の中を掻き回す。
もう、理性が利かなくなってきた!
携帯を口許に近づけて唾液で指を濡らす音を立てる。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら指を濡らして咲弥の言うがままにその濡れた指を自分のアナルにゆっくりと挿入していく――
さすがに・・・自分で自分の体内に入れたことなかったから正直、痛い。
「咲・・・弥ぁ・・・だめ・・・っ」
「少しずつ・・・ゆっくり・・・そう・・・ゆっくりでいいから・・・」
落ち着いたその声に、俺の躰がとろんってなって力が抜けていく。
中指と人差し指で閉じていた穴をググって開いていきながら自分の体内に射れてく。
第一関節から少しずつ・・・第二関節まで射れた時――
初めての快感に全身が震えた。
「はんっ・・・・んん・・・っ・・・!」
声を出しちゃいけない!
その羞恥と初めての気持ちよさに吐息の声が漏れて、快感に躰を仰け反らせると、俺の尿道口から白濁したものが飛び出てしまう。
「だめ・・・っ・・・咲弥っ・・・イキそう・・・・」
「・・・ん・・・保さん、気持ちいい?」
「・・・ねぇ・・・お前も・・・やってん・・・の・・・?」
「さぁ・・・仕事中ですから。声だけ」
「・・・・お前・・・ずりぃ・・・・」
また、咲弥の意地悪気な笑顔が浮かんでくる。
そんな奴の顔と、体内を掻き回すような響きのある声に、俺は全身の快感を放出してしまった。
これがきっかけ・・・
こんなことになるなんて。
こんな躰になるなんて。
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