蜩の軀

田神 ナ子

文字の大きさ
37 / 67
閑話 『SECOND SEASON』

服従 ★

しおりを挟む
 
 バイトが終わって帰路に着いたのは20時過ぎてた。

いつものようにチャリを走らせる。
夜風が気持ちいい。
そんな夜風の中に夏の虫たちの声が耳許を流れてく。
澄んだ啼き声が昼間の暑さを和らげさせてくれる感じがした。


 街灯の僅かな明かりの下、自宅アパートが見えてきた。

  「・・・・・?」

俺の視線の先に見えたのは、
アパートの入り口付近の道路に停めてある黒い車と、その傍に二つの人影が・・・はっきりとは見えないけど、何か話している風。

チャリの速度を落としながら近寄って行くと、

 「・・・あら、帰ってきたみたいです。お帰り、保」

母親とが何か話でもあった?
二人して和らいだ表情で居た。

 「ちょうどあんたのこと話してたとこだったのよ。あ、そうそう、名刺も頂いたんだけど、こちらって仰って――あんたもお世話になってんだって?母さん全然、そんなこと知らなかったから・・・立ち話もなんだからって言ったんだけど、ここで待ってるって言われてね・・・」

 「すみません、押し掛けてしまったみたいで・・・保さんのお母さんにもお会いしておきたくて。面識があると安心されるでしょうし――」

が母さんの方を見て穏やかに微笑んでいやがる。
何しに家まで来てんだよっ。なんか企んでんの?

チャリから降りて、無愛想な言い方で、

 「もう、母さん、家、帰ってていいから・・・」
 「あらぁ、でも・・・せっかく来て下さったんだし・・・」
 「いいから」

ちょっとイラついてしまった。
咲弥こいつの考えてることが分かんなくて。

母さんはすまなさそうに咲弥を見て、頭を下げて帰ってった。

ごめん、母さん。母さんのせいじゃないから。

 「・・・で、家まで来て何の用?」
 「すみません、お母さんに悪いことしてしまいましたね。いえ・・・ただ、会っておきたかっただけです。お母さんが心配されると保さんも困るでしょう?それに・・・仕事に行く前に貴方にも会いたかった・・・」

咲弥はそう言っていつものように優しく笑う。

 「・・・だから・・・・?」

判ってる。
なんかこう・・・咲弥こいつの前だと、ツンってしてしまう。
ひねくれてんなぁ・・・俺。

 「それじゃ、また連絡します」

ゆっくりと咲弥は車に乗り込んだ。
そして、運転席の窓を開けて手招きしてる。

 「・・・・・?」

手招きに応えて近寄った俺の後頭部をいきなり片手で引き寄せて咲弥がキスしてきた!
こんなとこで!いくら人通りが少ないとはいえ誰か見てたらどうすんだよっ!

 「・・・行ってきます」

ニコッ、て笑う咲弥を俺は睨み返した。
ニコッ、じゃねぇから!


静かなエンジン音の黒いLEXUSはゆっくりと走り出した。



 コンコン・・・

「・・・・ん――?」

ドアをノックして、
「先に寝るわね」って、家事や自分のことを一通り終えた母さんは、の反応を確認して就寝した。

曖昧な返事で応えた俺はベッドに横になりながら携帯を弄ってる。
電気の消えた部屋で。

夜更けまで友達とLINEしたりゲームに没頭してしまう。
で、翌朝は起きれずに、母さんから叩き起こされる。こんな毎日の繰り返し。

それでも、いつものようにゲームを楽しんでた。


 ブッ――ブ――ッ・・・・

突然、携帯が着信を知らせる。
夜中に、マナーモードにしはしてるけど、バイブ音が鳴るとドキッってしてしまう。

咲弥からだ―――

 (こんな時間に・・・・?)


 「・・・・何?」

一応、夜中だし、部屋は奥の方で離れてるけど、母さんは寝てるし、声を潜めて電話に出た。

 「・・・保さん・・・まだ、起きてました?」
 「何だよ・・・お前、仕事中だろ?」
 「仕事中ですけど、休憩です。」

あ、またあの茶化したような笑みが見えたような気がした。

 「・・・で、何?」
 「保さんの声が、聞きたくて・・・」
 「はぁ?そんだけ?何考えてんのお前・・・・」
 「・・・・我慢できなくて・・・」

咲弥の声が吐息に変わる――

何だろう・・・変な感覚を覚えた。
咲弥の声に俺の躰がピクンって反応する。
ただ声を聞いただけなのに、躰が熱い。

 「・・・抱き・・・たい・・・」

段々、咲弥の声が熱くなって、携帯越しに俺の耳許で微かに囁くんだ。

そのうち、向こう側からぴちゃぴちゃ・・・って、舌を鳴らす音が聞こえたきた。
背筋を通って俺の肛門辺りまで電流が流れたみたいに響く。

 「・・・咲弥?!・・・お前、何やってんの?!」
 「ねぇ・・・ほら・・・もう大きくなってきてる・・・声を・・・聞かせて・・・」

寝静まった夜中に、
向こう側にいるはずの咲弥の吐息が、耳許から俺の全身に奔る。


携帯片手にベッドに横になってた俺は、少しだけ上半身を起こしていつの間にか自分の股間の辺りを触ってた。

 「保さん・・・声を・・・出して・・・・」
 「・・・無理・・・っ・・・母さんに・・・聞こえる・・・」

やっと、まだ理性はある。
携帯越しに自分でなんて・・・
そんな恥ずかしさを感じながらも、躰がさっきからびくびくして止められない!

 「早く・・・出して・・・・」
 「・・・はっ・・・んんっ・・・」

もうあからさまに短パンの上が盛り上がってきてる。

片手でゆっくりと短パンと下着を下ろして、下腹までくっつきそうな俺の陰茎ものを自分で擦った。
片方の手に携帯を持って、咲弥のに躰を従わせながら、俺は出そうになる声を喉の奥で堪えた。

 「指を濡らして・・・ゆっくりでいいから・・・・」
 「へぇっ・・・?無理・・・」
 「力抜いて・・・気持ちよくなるから・・・音を聞かせて・・・・」

咲弥の低く響く声が、俺の朦朧とする頭の中を掻き回す。
もう、理性が利かなくなってきた!

携帯を口許に近づけて唾液で指を濡らす音を立てる。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら指を濡らして咲弥の言うがままにその濡れた指を自分のアナルにゆっくりと挿入していく――

さすがに・・・自分で自分の体内なかに入れたことなかったから正直、痛い。

 「咲・・・弥ぁ・・・だめ・・・っ」
 「少しずつ・・・ゆっくり・・・そう・・・ゆっくりでいいから・・・」

落ち着いたその声に、俺の躰がとろんってなって力が抜けていく。

中指と人差し指で閉じていたをググって開いていきながら自分の体内なかに射れてく。
第一関節から少しずつ・・・第二関節まで射れた時――

初めての快感に全身が震えた。

 「はんっ・・・・んん・・・っ・・・!」

声を出しちゃいけない!
その羞恥と初めての気持ちよさに吐息の声が漏れて、快感に躰を仰け反らせると、俺の尿道口そこから白濁したものが飛び出てしまう。

 「だめ・・・っ・・・咲弥っ・・・イキそう・・・・」
 「・・・ん・・・保さん、気持ちいい?」
 「・・・ねぇ・・・お前も・・・やってん・・・の・・・?」
 「さぁ・・・仕事中ですから。声だけ」
 「・・・・お前・・・ずりぃ・・・・」

また、咲弥の意地悪気な笑顔が浮かんでくる。

そんな奴の顔と、体内なかを掻き回すような響きのある声に、俺は全身の快感を放出してしまった。


これがきっかけ・・・
こんなことになるなんて。
こんな躰になるなんて。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...