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31】人混みの中
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31】人混みの中
「やっぱり、人多いなぁ」
二人で毎年初詣に行っている神社へとやって来た。入口が見えた頃から、既に人が多いのが分かっていた。帰省する人もいると思っていたが、意外と人はいるらしい。まぁ、俺たちも帰省してないんだけれど。
「夏祭りみたいな勢いだよな」
「本当そう。しかも出店もあって、良い匂い。葵、後で何か食べよう」
「そうだな」
お雑煮は食べたが、小腹が空いた。おまけに、こういう出店から香る食べ物の匂いは普段以上に良い匂いで空腹を誘うと思う。入口から、更に神社の中へ。出店の周囲は更に人が混んでいて、一歩進む速度も遅くなる。
「葵」
「圭介、待ってくれ」
気を付けていても、やはり人は多い。ぶつからないように気をつけながら進むが、少しでも気を抜けば、離れ離れになってしまう勢いだ。一歩、また一歩と遅れ、視界には映っているが圭介との距離が離れていく。別に離れたって、携帯がある。どこか離れたところで連絡を取って集合すれば良いだけだが、つい圭介の名前を呼んでしまった。俺の呼びかけに、すぐに振り返った圭介。
「葵……?」
手元こそ見えないが、腕を掴まれた感覚があった。それから「すいみません!」という声と共に、現れた圭介の顔。腕を掴まれたまま、人の少ない道の端へ避難する。人込みの多さに、朝にベッドで密着したくらい近さで、身体が密着した。
「葵、大丈夫?」
……ドキッ。
「大丈夫だ。悪い、人が多くて」
「こんなに人が多いんじゃ、仕方ないって。俺も人に押されて流されてた感じだし」
「だよなぁ……」
「だからさ」
「?」
不覚にも、圭介のことが格好良いと思ってしまった。俺の腕を握ったままの圭介の腕が、下がっていく。どうしたんだ? と思えば、いつものような笑みを浮かべた。
「手、繋いどこうか」
「は?」
圭介の手が、スルリと手の甲を下り。あっという間に俺の手を握っていた。しかもだ。俗に言う、恋人繋ぎ。互いの指が絡み合うやつ。
「あ、おい……!」
「これなら、はぐれないし良いじゃん? てか、葵。手が冷えてない?」
「お前の体温が高いんだよ」
よくないだろ! というツッコミを入れることは出来ず。
「ていうか、男二人で恋人繋ぎって……」
「こんなに人が多いし分からないよ。それでも恥ずかしいなら、こうしておこうか」
「うわっ……!」
繋いだままの手を、そのままグイッと圭介が引っ張る。俺の手は、すっぽりと圭介のアウターのポケットの中へ。
「これなら見えないでしょ」
「そういう問題じゃ……」
「さ! それよりも、早く願い事して、おみくじ引いて、何か食べようか」
こうなれば、俺に拒否権は無い。
「分かったよ……」
観念した俺は、大人しく圭介と手を繋いだのだった。
*******
「やっぱり、人多いなぁ」
二人で毎年初詣に行っている神社へとやって来た。入口が見えた頃から、既に人が多いのが分かっていた。帰省する人もいると思っていたが、意外と人はいるらしい。まぁ、俺たちも帰省してないんだけれど。
「夏祭りみたいな勢いだよな」
「本当そう。しかも出店もあって、良い匂い。葵、後で何か食べよう」
「そうだな」
お雑煮は食べたが、小腹が空いた。おまけに、こういう出店から香る食べ物の匂いは普段以上に良い匂いで空腹を誘うと思う。入口から、更に神社の中へ。出店の周囲は更に人が混んでいて、一歩進む速度も遅くなる。
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「葵……?」
手元こそ見えないが、腕を掴まれた感覚があった。それから「すいみません!」という声と共に、現れた圭介の顔。腕を掴まれたまま、人の少ない道の端へ避難する。人込みの多さに、朝にベッドで密着したくらい近さで、身体が密着した。
「葵、大丈夫?」
……ドキッ。
「大丈夫だ。悪い、人が多くて」
「こんなに人が多いんじゃ、仕方ないって。俺も人に押されて流されてた感じだし」
「だよなぁ……」
「だからさ」
「?」
不覚にも、圭介のことが格好良いと思ってしまった。俺の腕を握ったままの圭介の腕が、下がっていく。どうしたんだ? と思えば、いつものような笑みを浮かべた。
「手、繋いどこうか」
「は?」
圭介の手が、スルリと手の甲を下り。あっという間に俺の手を握っていた。しかもだ。俗に言う、恋人繋ぎ。互いの指が絡み合うやつ。
「あ、おい……!」
「これなら、はぐれないし良いじゃん? てか、葵。手が冷えてない?」
「お前の体温が高いんだよ」
よくないだろ! というツッコミを入れることは出来ず。
「ていうか、男二人で恋人繋ぎって……」
「こんなに人が多いし分からないよ。それでも恥ずかしいなら、こうしておこうか」
「うわっ……!」
繋いだままの手を、そのままグイッと圭介が引っ張る。俺の手は、すっぽりと圭介のアウターのポケットの中へ。
「これなら見えないでしょ」
「そういう問題じゃ……」
「さ! それよりも、早く願い事して、おみくじ引いて、何か食べようか」
こうなれば、俺に拒否権は無い。
「分かったよ……」
観念した俺は、大人しく圭介と手を繋いだのだった。
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