【完結・BL】マンネリ化を解消したかっただけなのに!【店員×社〇人】

彩華

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62】あのね、俺も

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62】あのね、俺も

 (この前は、なんとか耐えたけど、近い近い近い……!)

ドキドキドキドキ。

今度こそ、勃ってしまいそうだと焦る俺の気持ちを、中村さんは知っているんだろうか。なんか、ちょっと良い匂いもするし。本当にヤバイ。離れてと押し返すことも出来ず、耳穴に響く声を聞くことに集中した。だが、それもヤバイ気がする。ゾクリとした感覚が腰を襲って、頭までビリビリと信号でも送るみたいだ。

「ねぇ、伊織君?」

俺より少し高い身長で、俺を見下ろす。名前を呼ばれ、静かに顔を上げればニヤリと笑う中村さんと目が合った。ドッ……! と一拍大きく跳ねたあと、また心臓がドキドキする。顔が熱い。これじゃあ、俺が中村さんを好きだと言わずともバレてしまうかもしれない。

(いや、そっちの方が良いのか……?)

心臓のドキドキに気が散って、頭がまともに回らない。肩じゃなくて、抱き締めて欲しいとすら思ってしまうのは、これも欲求不満だからだろうか。

「教え欲しいな?」

「ぁ……っ」

「伊織君、顏に書いてるよ? 今、アナニーにハマッてるんだ」

「えっ、あ……!?」

嘘!? 俺、そんなに顔に書いてるくらい、顏に出てた!? というか、アナニーバレてるなら、好きって気持ちもバレ……てないぽいな???(何でだよ!! 俺がアナニーしてることしかバレてないのかよ……!)

「でも、いいの? 伊織君。お尻。アナニーにハマッちゃったら、好きな人とどうするの?」

(俺の好きな人! 中村さんなんですけど!?)

別に、困らないし。何なら、将来のための予習みたいなものだし……実れば、だけど。そんな言葉を、口にすれば簡単だろうに。「好き」の二文字を口から出すのに、なんて時間がかかるんだろう。すぐなのに、喉の辺りを行ったり来たりしている。グッ……と戻ろうとする言葉をせき止めて、ボソリと呟いた。

「別に……俺の好きな人……男の人だし……平気ですよ」

「へぇ……?」

何が平気なのだろうか。もう俺がペニスを受け入れる前提で話しているなと思った。
視線を合わせていた目を背けていて、中村さんがどんな顔をしていたわらかない。ただ、急に聞こえた声は、少し低く感じた。それから、一瞬だけピリッとした空気を感じたような。

「中村さん?」

「伊織君。伊織君も、俺に教えてくれたから俺も教えるね。あのね、俺も好きな人出来たんだ」

「え……?」

「俺もね、男の人が好きなんだ」

「ぇ、あ……あ、あはは……」

なんだ、中村さん好きな人出来たんだ。そうだよな、イケメンだし。寧ろ、こんなにイケメンなのに俺みたいに童貞なの不思議だったし。思わず乾いた笑しか出なくて、こういう時なんて答えたら穏便に会話が進むんだっけと考えた。ドキドキと煩かった心臓は、胸を締め付けられるようで。好きだと言う前に、俺はフラれたなと思った。

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