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16】一曲、踊って頂けますか
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16】一曲、踊って頂けますか
早くこの会場から出るつもりだったのに。
気づけば、ダンスの時間だというように部屋に響く音楽が変わってしまった。中央のホール部分には、人が集まりだし踊り始めている人もいる。だが私もギルベルトも、女性陣に囲まれたまま。それどころか、誰とダンスを踊るのかと女性同士でピリリとした空気を肌で感じる。いうなれば、女の戦い。誰か一人と踊ろうものなら、時間が許す限り続々と続いてしまいそう雰囲気と、もともと踊る気の無い気持ちで気が滅入った。それこそ、心の中でギルベルトに助けを求めるほどに。
「アーサー様」
「アーサー様、私と」
変わらず名前を呼ばれ続けている。申し訳ないが、全く踊る気になれない。誰か城の者が、私を呼びに来てくれたら良いのに。
「皆さん、とても魅力的なので、とても難しく……」
「なら一人と言わず、交代で踊って下されば良いのですわ!」
「そうですね。いかがですか? アーサー様」
名案を思い立ったとばかりに、弾む声がする。ああ困った。どう言ってこの場を納めよう。その時だ。グイッ、と肩を掴まれ私に向けられていた視線が一斉に私から逸れた。
「失礼。我が王子は、皆さまご存知の通り、アルファですので。我々アルファのフェロモンが、皆さまの体調に影響を及ぼすことを危惧し、何かあっては大変だとアーサー王子は考えているのです。そうでしょう? アーサー王子」
「あ、ああ。そうだね」
「ギルベルト様!」
きゃぁ! とまた黄色い声が上がった。あの人だかりを抜け、私の所に来てくれたのだ。すぐにギルベルトの後ろから「ギルベルト様!」とギルベルト狙いであろう女性陣達がやって来て、ダンスどころではない。チラリと横目でギルベルトの顔を見れば、変わらずまだ余所行きの顔だった。
「それに、アーサー王子も言っておりましたが、このように美しい方々の中から選ぶというのは、大変難しい問題なので」
そのまま私の手を引いて、ギルベルトがホールの方へと向かっていく。
「ギルベルト様。どちらへ!?」
「皆様、お許し下さい。アーサー王子は、私が攫っていきます」
「え……!?」
その答えだと言うように、周囲に人がいないホールでギルベルトが私の手を取って、お辞儀した。灯りに照らされ。キラキラと光る衣装のせいなのか。私の視界に映ったギルベルトは、いつも以上にキラキラと映る。それに、胸がドキドキする。
ドキドキドキ。
私はお姫様じゃないのに。こんなことされれば、また都合よく勘違いしてしまうし、嬉しくなってしまう。
(ああ、本当にズルイ。いつだって、私ばかりがギルベルトのことが好きで。悩んでいるのに、どうしても諦められない。墓場まで持って行く気持ちが大きくなっていくばかりじゃないか)
「王子。俺と一曲、躍って頂けますか?」
*********
早くこの会場から出るつもりだったのに。
気づけば、ダンスの時間だというように部屋に響く音楽が変わってしまった。中央のホール部分には、人が集まりだし踊り始めている人もいる。だが私もギルベルトも、女性陣に囲まれたまま。それどころか、誰とダンスを踊るのかと女性同士でピリリとした空気を肌で感じる。いうなれば、女の戦い。誰か一人と踊ろうものなら、時間が許す限り続々と続いてしまいそう雰囲気と、もともと踊る気の無い気持ちで気が滅入った。それこそ、心の中でギルベルトに助けを求めるほどに。
「アーサー様」
「アーサー様、私と」
変わらず名前を呼ばれ続けている。申し訳ないが、全く踊る気になれない。誰か城の者が、私を呼びに来てくれたら良いのに。
「皆さん、とても魅力的なので、とても難しく……」
「なら一人と言わず、交代で踊って下されば良いのですわ!」
「そうですね。いかがですか? アーサー様」
名案を思い立ったとばかりに、弾む声がする。ああ困った。どう言ってこの場を納めよう。その時だ。グイッ、と肩を掴まれ私に向けられていた視線が一斉に私から逸れた。
「失礼。我が王子は、皆さまご存知の通り、アルファですので。我々アルファのフェロモンが、皆さまの体調に影響を及ぼすことを危惧し、何かあっては大変だとアーサー王子は考えているのです。そうでしょう? アーサー王子」
「あ、ああ。そうだね」
「ギルベルト様!」
きゃぁ! とまた黄色い声が上がった。あの人だかりを抜け、私の所に来てくれたのだ。すぐにギルベルトの後ろから「ギルベルト様!」とギルベルト狙いであろう女性陣達がやって来て、ダンスどころではない。チラリと横目でギルベルトの顔を見れば、変わらずまだ余所行きの顔だった。
「それに、アーサー王子も言っておりましたが、このように美しい方々の中から選ぶというのは、大変難しい問題なので」
そのまま私の手を引いて、ギルベルトがホールの方へと向かっていく。
「ギルベルト様。どちらへ!?」
「皆様、お許し下さい。アーサー王子は、私が攫っていきます」
「え……!?」
その答えだと言うように、周囲に人がいないホールでギルベルトが私の手を取って、お辞儀した。灯りに照らされ。キラキラと光る衣装のせいなのか。私の視界に映ったギルベルトは、いつも以上にキラキラと映る。それに、胸がドキドキする。
ドキドキドキ。
私はお姫様じゃないのに。こんなことされれば、また都合よく勘違いしてしまうし、嬉しくなってしまう。
(ああ、本当にズルイ。いつだって、私ばかりがギルベルトのことが好きで。悩んでいるのに、どうしても諦められない。墓場まで持って行く気持ちが大きくなっていくばかりじゃないか)
「王子。俺と一曲、躍って頂けますか?」
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