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11】【Side.K】高校生になったら
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11】【Side.K】高校生になったら
幼稚園の担任の先生が好きだった。
それだけ聞けば、きっと他の友達も「分かる」と言ってくれるだろう。だが、俺が好きになった先生は自身と同じ性別の「男」。
どうして好きなのか? と言われれば、理由はうまく説明できない。皆そうじゃないか? ていうか、好きになるのに理由がいるか?
まぁそうだな……ただ優しい先生が好きで、笑っている笑顔が可愛い。そんな理由だったと思う。だけどそんな先生は人気者で、いつだって誰かが「先生!」と袖を引っ張っている。「先生は俺の!」なんて言ってしまえば、喧嘩は良くないと先生に叱られてしまう。それは嫌だと、子供ながらに我慢した。そんな時だ。
「ねぇ、圭介君知ってる? 結婚したら、パパとママみたいにずっと一緒にいられるんだよ」
「そうなのか?」
「うん。だって、圭介君のパパとママも一緒にいるでしょ?」
「確かに……。悪い、ちょっと俺、抜けるな」
「あ! 圭介君。待ってよ!」
そう言われればそうだ。つまり、結婚すれば、先生と一緒にいられるのか? と、子供心に考えて、すぐに行動に移した俺。いつもと変わらない、皆が教室で遊んでいる中で先生の側に駆けて行った。その後は、人生初めての告白。
『俺、先生が好き』
『先生、俺本当に先生が好きなんだ! 大きくなったら俺と結婚して!』
今思い出せば、少しだけ恥ずかしい。だが、素直に伝えることが出来る俺ってば偉いな? とポジティブに考える。過去の告白を思い出している俺は、もう幼稚園児じゃない。あの時、先生が言った「高校生」になっている。
(12年か……あっという間だったのような、長かったような……)
小学校生活の6年間。それから中学校の3年間。そして高校生活も3年目。
先生が精一杯の優しさか。俺の告白を断ることもなければ、同性同士は結婚できないと伝えることもなく。ただ高校生になったら先生に、もう一度会いに行っても良いとチャンスをくれた。
『うーん……じゃあさ、久保君が高校3年生になって先生のこと忘れてなかったら、また来てよ』
忘れなかったら? 先生は、俺が先生を忘れるかもと思っていたんだろう。
俺は12年、先生の事を忘れなかった。それどころか、早く高校生になりたいとすら願ってどうにかして飛び級できないか調べたくらいだ。
「はぁー…………っ」
とはいっても。どうやって会いに行けば良い? 先生が転勤とか、あの幼稚園を辞めていたら? それどころか、結婚していたら?
高校生になるにつれ、嬉しさと同時に押し寄せて来る不安。思わず教室から見える外を見て、長い溜息をついた。
「圭介。どうしたのよ、凄い溜息ついて」
「百合」
放課後になり、教室に残っているクラスメイトもまばらな中、声をかけてきたのは幼稚園から知っている百合だった。
「圭介、最近ずっと溜息ばっかついてんじゃん。どうしたの? 悩み事?」
「んー、別に? そういうわけじゃねぇし」
「はい、嘘」
「ぐ……っ!べ……つに。会いたい人がいるけど、まだいるかなって思ってただけだし」
誰にとは言わず。どうせ嘘をついたところで、百合にバレてしまう。
「ふーん……」
俺の返事を聞いた百合が、適当に返事して言った。(適当に返事するなよ。俺は悩んでるっていうのに)
「なら、今から会いに行っといでよ」
「は?」
「行ってみなきゃ、いないかなんて分からないじゃん。それに、もう圭介の溜息聞きたくないし」
「おまっ……!」
酷くねぇ? と思ったが、背中を押されるのはこれくらい勢いが必要だったんだろう。
「いいから! ほら、開いてる場所なら行ってるみる! じゃあ、また明日ね!」
グイグイと背中を押され。俺の足は、うん年ぶりに思い出の幼稚園へと向かったのだった。
********
久保君サイドの小話を入れました。
たまに入るかもしれません。今日の分更新してしまったのと、詰んだので次の更新は来週になるかもです><
幼稚園の担任の先生が好きだった。
それだけ聞けば、きっと他の友達も「分かる」と言ってくれるだろう。だが、俺が好きになった先生は自身と同じ性別の「男」。
どうして好きなのか? と言われれば、理由はうまく説明できない。皆そうじゃないか? ていうか、好きになるのに理由がいるか?
まぁそうだな……ただ優しい先生が好きで、笑っている笑顔が可愛い。そんな理由だったと思う。だけどそんな先生は人気者で、いつだって誰かが「先生!」と袖を引っ張っている。「先生は俺の!」なんて言ってしまえば、喧嘩は良くないと先生に叱られてしまう。それは嫌だと、子供ながらに我慢した。そんな時だ。
「ねぇ、圭介君知ってる? 結婚したら、パパとママみたいにずっと一緒にいられるんだよ」
「そうなのか?」
「うん。だって、圭介君のパパとママも一緒にいるでしょ?」
「確かに……。悪い、ちょっと俺、抜けるな」
「あ! 圭介君。待ってよ!」
そう言われればそうだ。つまり、結婚すれば、先生と一緒にいられるのか? と、子供心に考えて、すぐに行動に移した俺。いつもと変わらない、皆が教室で遊んでいる中で先生の側に駆けて行った。その後は、人生初めての告白。
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『先生、俺本当に先生が好きなんだ! 大きくなったら俺と結婚して!』
今思い出せば、少しだけ恥ずかしい。だが、素直に伝えることが出来る俺ってば偉いな? とポジティブに考える。過去の告白を思い出している俺は、もう幼稚園児じゃない。あの時、先生が言った「高校生」になっている。
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小学校生活の6年間。それから中学校の3年間。そして高校生活も3年目。
先生が精一杯の優しさか。俺の告白を断ることもなければ、同性同士は結婚できないと伝えることもなく。ただ高校生になったら先生に、もう一度会いに行っても良いとチャンスをくれた。
『うーん……じゃあさ、久保君が高校3年生になって先生のこと忘れてなかったら、また来てよ』
忘れなかったら? 先生は、俺が先生を忘れるかもと思っていたんだろう。
俺は12年、先生の事を忘れなかった。それどころか、早く高校生になりたいとすら願ってどうにかして飛び級できないか調べたくらいだ。
「はぁー…………っ」
とはいっても。どうやって会いに行けば良い? 先生が転勤とか、あの幼稚園を辞めていたら? それどころか、結婚していたら?
高校生になるにつれ、嬉しさと同時に押し寄せて来る不安。思わず教室から見える外を見て、長い溜息をついた。
「圭介。どうしたのよ、凄い溜息ついて」
「百合」
放課後になり、教室に残っているクラスメイトもまばらな中、声をかけてきたのは幼稚園から知っている百合だった。
「圭介、最近ずっと溜息ばっかついてんじゃん。どうしたの? 悩み事?」
「んー、別に? そういうわけじゃねぇし」
「はい、嘘」
「ぐ……っ!べ……つに。会いたい人がいるけど、まだいるかなって思ってただけだし」
誰にとは言わず。どうせ嘘をついたところで、百合にバレてしまう。
「ふーん……」
俺の返事を聞いた百合が、適当に返事して言った。(適当に返事するなよ。俺は悩んでるっていうのに)
「なら、今から会いに行っといでよ」
「は?」
「行ってみなきゃ、いないかなんて分からないじゃん。それに、もう圭介の溜息聞きたくないし」
「おまっ……!」
酷くねぇ? と思ったが、背中を押されるのはこれくらい勢いが必要だったんだろう。
「いいから! ほら、開いてる場所なら行ってるみる! じゃあ、また明日ね!」
グイグイと背中を押され。俺の足は、うん年ぶりに思い出の幼稚園へと向かったのだった。
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久保君サイドの小話を入れました。
たまに入るかもしれません。今日の分更新してしまったのと、詰んだので次の更新は来週になるかもです><
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