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12】【Side.K】高校生になったら②

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12】【Side.K】高校生になったら②

自身の初恋の人に告白し、また会いに来てと言われた高校3年生になった。だが、その約束ももう、何年も前のこと。今まではやっと先生に会いに行ける! と思っていたが、最近はまだ先生はいるのか? と不安になることばかりが増えていた。

会いたいと、会えないかもの気持ちと。もしかしたら、もう先生はあの幼稚園にはいないかもしれないという気持ち。……いや、マイナスが多いな? ネガティブ過ぎるぞ、俺!
それは、放課後の空だというのに青空の外を見ながら溜息になって俺の口から何度も出ていたらしく、付き合いの長いクラスメイトに一刀両断されたのだった。

「なら、今から会いに行っといでよ」

「は?」

会いたい人がいるなら、会いに行けば良い。
その通りではあるが、俺からしたら心の準備だとか、出来るなら恰好良い姿で行きたいとかあるわけで。だがそんなの、百合にとって知ったことかとまた一蹴りされた。

「行ってみなきゃ、いないかなんて分からないじゃん。それに、もう圭介の溜息聞きたくないし」

「おまっ……!」

酷くねぇ? と思ったが、背中を押されるのはこれくらい勢いが必要だったんだろう。

「いいから! ほら、開いてる場所なら行ってるみる! じゃあ、また明日ね!」

グイグイと背中を押され。俺の足は、うん年ぶりに思い出の幼稚園へと向かったのだった。それからは、緊張とかで時間があっという間に感じた。学校を出て帰りが遅れると連絡だけ入れて。それから急いで電車に乗って、昔通った幼稚園へ。

(先生、いるかな? それに俺のこと分かるかな?)

帰宅部だけあって、まだ日が高い時間の電車だ。透明な窓に映る自身の姿は見えずらかったが、確かに成長した姿が映っている。

(何て言えば良いんだ? それともまずは、園長先生に? ああ、そうだ。先生に連絡をしなくちゃ。突然行ったら迷惑だよな)

まずは挨拶をしなくては! と駅について、電車から降りて人のいない所で電話をかけたのはネットで調べた幼稚園の電話番号。プルルルッ……と聞こえるコール音に、また緊張したが、逃げるわけにはいかない。「はい」と聞こえて来た声に、挨拶すれば園長先生だということになり……。

「あのっ……! 突然すみません。俺、昔そちらの幼稚園に通っていた久保圭介って言うんですが────はい、はい! 今から伺っても? 有難うございます!」

電話の中で分かったのは、まだ水野先生がいるということ。急だが今から訪れても良いということ。

「……っし!」

ドキドキドキ。

(あ゛~~~~! 緊張する!!)

まだ会ってもいない先生に、既にドキドキと心臓はまた速く鳴り始めて。

(やっぱり先生に会いたい!)

緊張も不安もあるけれど、それよりも先生の顔が見たくて人を避けながら俺は走り出していた。


その後?
先生は全然変わってなかったし、色んな気持ちが溢れてしまってポロリと「やっぱり好きなんだけど」と、変わらず告白をしてしまった。


*******
詰んでしまったぁぁorz
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