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13】1週間経った頃。
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13】1週間経った頃。
「先生。今日も先輩来ないの?」
「そうだねぇ……高校生も忙しいんだよ。ゆりちゃんも、幼稚園に来ているでしょう? 久保君も高校に行ってるんだよ」
「そっかぁ……」
こんな会話をゆりちゃんとするのは、何度目だろう? 再会した日と、次の日。顔を見に来ただけだと言ってすぐに帰っていった久保君を見てから、一週間経った。高校生が幼稚園に来るよりも、来ない方がきっと健全だ。学業優先・部活優先。同年代の友達と、楽しく過ごして欲しい。
(ゆりちゃんも、久保君のことを忘れてくれると良いんだけど)
きっとその方が、傷つかない。会ったとしても、時々会う年上のお兄さん程度であってほしい。そんなの、ゆりちゃんが決めることなのに。これまた大人のエゴでそんなことを思っていた時だ。ゆりちゃんが「先生」と呼ぶので、「どうしたの?」としゃがんで視線を合わせれば、ゆりちゃんが僕の頬に触れて言った。
「でも先生。ゆりより先輩に会えなくて寂しそうだよ?」
「え!?!?」
僕の考えていた事と全く違う内容に、思わず驚いた声を出してしまった。だが僕も大人だで、先生だ。すぐに気持ちを切り替えて、「そうかな?」と笑顔で答える。ゆりちゃんが僕の頬から手を放して、「うん」とだけ短く言った。
「うん。先生、先輩が来ないかなって、帰りの時そわそわ外見てるよ? 先輩に会えなくて寂しんでしょ?」
「そ……んなことはないよ?」
小さくても女の子だろうか。よく見ているとドキリとしたが、同時に僕って無意識にそんな風に見えたの!? と自分を叱咤した。
「先生は、先輩が好きなの?」
「えっと……ゆりちゃん?」
まさかの質問に、切り替えた心がまた誰か助けて~! と心の中で慌て始める。その時だ。
「先生」
「あ! 先輩!」
タタッ、と僕から離れて走ったゆりちゃんの先にいるのは、ゆりちゃんの先輩。一週間ぶりに園にやって来た、久保君の姿があった。
「やぁ、また会ったね」
いつものように、学生服姿。ペコリと僕に会釈して、ゆりちゃんに視線を合わせようと久保君がしゃがむ。ゆりちゃんは興奮気味に、小さな拳を揺らしながら「先輩!」とまた呼んだ。
「うん! ゆりね、先輩に会いたかったの!」
「そうなんだ」
(ああ、ゆりちゃん! 変なことを久保君に言わないでね……!)
先ほどの質問のこともあり、僕は二人を見つめながら祈るしか出来ない。
「あの! 先輩は彼女いますか!」
「ゆりちゃん……」
「あら、水野先生。今日は久保君来たんですね。でも何だが凄い状況みたい。ゆりちゃんのお母さんまだお迎え来てなくて良かったですねぇ」
「斎藤先生……」
あら~、と言いながら僕の隣にやってくる斎藤先生。つられるように、他の子ども達もどうしたの? と久保君とゆりちゃんに注目し始める。だが久保君は、視線に気づいていないようで。
「ん? 彼女?」
「そう! あのね。ゆり、先輩が好きだから! だから、あの……彼女に……なりたいなって……」
ゆりちゃんの告白は、どこか昔の久保君の告白した光景に似ていた。
********
10月になったら、他の完結済もBLのものにエントリーしようかなと思っているので、良ければ読んで頂けると幸いです
「先生。今日も先輩来ないの?」
「そうだねぇ……高校生も忙しいんだよ。ゆりちゃんも、幼稚園に来ているでしょう? 久保君も高校に行ってるんだよ」
「そっかぁ……」
こんな会話をゆりちゃんとするのは、何度目だろう? 再会した日と、次の日。顔を見に来ただけだと言ってすぐに帰っていった久保君を見てから、一週間経った。高校生が幼稚園に来るよりも、来ない方がきっと健全だ。学業優先・部活優先。同年代の友達と、楽しく過ごして欲しい。
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「え!?!?」
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「うん。先生、先輩が来ないかなって、帰りの時そわそわ外見てるよ? 先輩に会えなくて寂しんでしょ?」
「そ……んなことはないよ?」
小さくても女の子だろうか。よく見ているとドキリとしたが、同時に僕って無意識にそんな風に見えたの!? と自分を叱咤した。
「先生は、先輩が好きなの?」
「えっと……ゆりちゃん?」
まさかの質問に、切り替えた心がまた誰か助けて~! と心の中で慌て始める。その時だ。
「先生」
「あ! 先輩!」
タタッ、と僕から離れて走ったゆりちゃんの先にいるのは、ゆりちゃんの先輩。一週間ぶりに園にやって来た、久保君の姿があった。
「やぁ、また会ったね」
いつものように、学生服姿。ペコリと僕に会釈して、ゆりちゃんに視線を合わせようと久保君がしゃがむ。ゆりちゃんは興奮気味に、小さな拳を揺らしながら「先輩!」とまた呼んだ。
「うん! ゆりね、先輩に会いたかったの!」
「そうなんだ」
(ああ、ゆりちゃん! 変なことを久保君に言わないでね……!)
先ほどの質問のこともあり、僕は二人を見つめながら祈るしか出来ない。
「あの! 先輩は彼女いますか!」
「ゆりちゃん……」
「あら、水野先生。今日は久保君来たんですね。でも何だが凄い状況みたい。ゆりちゃんのお母さんまだお迎え来てなくて良かったですねぇ」
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あら~、と言いながら僕の隣にやってくる斎藤先生。つられるように、他の子ども達もどうしたの? と久保君とゆりちゃんに注目し始める。だが久保君は、視線に気づいていないようで。
「ん? 彼女?」
「そう! あのね。ゆり、先輩が好きだから! だから、あの……彼女に……なりたいなって……」
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