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■しょっぱいミルクティー■
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■しょっぱいミルクティー■
「…………水野、こんな時に何なんだけどさ」
「はい」
「俺、やっぱり水野が好きだよ」
新鮮なラフな格好で、二人ともソファーに腰かけて。おまけに片手にはマグカップなんか持っちゃったりして。まるでドラマのワンシーンみたいな展開と出来事に、固まる俺。変わらず煩いのは、俺の心臓だけ。
ドッドッドッドッドッ。
変な汗まで背中にかいて、ツーッと流れるのが分かった。
「……ッ」
(駄目だ! 俺!! 飲まれるな!!)
ときめきそうになったのを、グッと注意して気を引き締める。一瞬、チラリと脳裏に思い出した光景がいけなかったのか。代わりに喉を通って出てきたのは、ときめきとはかけ離れた感情。酔いは醒めたものの、俺の腹の底に残っていた年季の入ったドロリとした感情。ドロドロの中に、キラリと光るような。何年経っても
未だに立ち直れない。高校生の時の俺が「どうして」と出ていた。
「俺の事フッたくせに。そういう風に見れないって言ったくせに」
皮肉にも、最後にフッと小さな笑い付きで。
(ああ、今の顏はきっと可愛くない)
可愛くないうえに、何だか嫌な奴だ。
自分でも分かっている。自分で自分が嫌だと思ったが、口を出ている俺は高校生のままの俺。諦めだとか、仕方ないだとか、人生経験も少ない中で、見事に初恋にして人生できっとこの人以上の人はいないと思ったくらいの初恋が実らなかった悲しみ。
「はっ……ははっ。すみません、俺。今すげぇ可愛くないこと言ってる。先輩、見ないで……こんな俺を見ないで」
(最後まで、強気で嫌な奴でいられたら良かったのに)
煩かった心臓の音が、嘘のようにピタッ……と静まり返っていた。
来たばかりだが、出来るなら今すぐ自分の家に帰りたい。終電が無かったら奮発してタクシーで帰ったって良い。それも難しいなら、明日は休みだし適当にカラオケや漫画喫茶で一晩過ごしたって、カプセルホテルに行ったって良いんだ。
今、先輩の前から可愛くない俺を消したかった。
「お……俺っ……」
無理やり、握ったままのマグカップを先輩に押し付けてしまおうか? だが、急に押し付けてしまえば、温かみのあるミルクティーで、先輩が火傷してしまうかもしれない。
逃げたいくせに、全部先輩のことを思って行動が変わってしまう俺は、俺は……。
「水野、帰らせないぞ。それに、お前は可愛い。ずっと前から、高校の時からずっと可愛かった」
「……意地悪」
今さら、そんなこと言うなんて。
我慢出来ずに、感情が高ぶって流れた涙が口元に触れ。ミルクティーが少しだけしょっぱく感じた。
*******
終わりが見えない…(´;ω;`)
次で終わる予定です
「…………水野、こんな時に何なんだけどさ」
「はい」
「俺、やっぱり水野が好きだよ」
新鮮なラフな格好で、二人ともソファーに腰かけて。おまけに片手にはマグカップなんか持っちゃったりして。まるでドラマのワンシーンみたいな展開と出来事に、固まる俺。変わらず煩いのは、俺の心臓だけ。
ドッドッドッドッドッ。
変な汗まで背中にかいて、ツーッと流れるのが分かった。
「……ッ」
(駄目だ! 俺!! 飲まれるな!!)
ときめきそうになったのを、グッと注意して気を引き締める。一瞬、チラリと脳裏に思い出した光景がいけなかったのか。代わりに喉を通って出てきたのは、ときめきとはかけ離れた感情。酔いは醒めたものの、俺の腹の底に残っていた年季の入ったドロリとした感情。ドロドロの中に、キラリと光るような。何年経っても
未だに立ち直れない。高校生の時の俺が「どうして」と出ていた。
「俺の事フッたくせに。そういう風に見れないって言ったくせに」
皮肉にも、最後にフッと小さな笑い付きで。
(ああ、今の顏はきっと可愛くない)
可愛くないうえに、何だか嫌な奴だ。
自分でも分かっている。自分で自分が嫌だと思ったが、口を出ている俺は高校生のままの俺。諦めだとか、仕方ないだとか、人生経験も少ない中で、見事に初恋にして人生できっとこの人以上の人はいないと思ったくらいの初恋が実らなかった悲しみ。
「はっ……ははっ。すみません、俺。今すげぇ可愛くないこと言ってる。先輩、見ないで……こんな俺を見ないで」
(最後まで、強気で嫌な奴でいられたら良かったのに)
煩かった心臓の音が、嘘のようにピタッ……と静まり返っていた。
来たばかりだが、出来るなら今すぐ自分の家に帰りたい。終電が無かったら奮発してタクシーで帰ったって良い。それも難しいなら、明日は休みだし適当にカラオケや漫画喫茶で一晩過ごしたって、カプセルホテルに行ったって良いんだ。
今、先輩の前から可愛くない俺を消したかった。
「お……俺っ……」
無理やり、握ったままのマグカップを先輩に押し付けてしまおうか? だが、急に押し付けてしまえば、温かみのあるミルクティーで、先輩が火傷してしまうかもしれない。
逃げたいくせに、全部先輩のことを思って行動が変わってしまう俺は、俺は……。
「水野、帰らせないぞ。それに、お前は可愛い。ずっと前から、高校の時からずっと可愛かった」
「……意地悪」
今さら、そんなこと言うなんて。
我慢出来ずに、感情が高ぶって流れた涙が口元に触れ。ミルクティーが少しだけしょっぱく感じた。
*******
終わりが見えない…(´;ω;`)
次で終わる予定です
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