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風紀委員長の紀さん
第15話 白桃色の薄橙色
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風紀委員長に呼び出された。呼び出されていいことがあることはあんまりないだろうけど、ここ最近は頓にいいことが無い気がする。蜜柑は、まぁ置いといて。美山先生も碌なことは頼まれない。嫌な気分を飲み込んで、三年生の教室のドアを開ける。いつか学校のドアもオープンセサミで開くようになればいいのに、そんなことを考えながら教室に入ったもんだから少し反応が遅れた。
「やっと来たわね。譲島優子」
「えっと、風紀委員長に呼ばれたんですけど・・・」
「そうね。知ってるけど」
「えーと、取り次いでもらっていいですか?」
「・・・私が風紀委員長だけど」
「え?」
目の前にいるのはどこからどう見ても子供だ。誰かの妹が来ていると言われた方がまだ信じられる。でも確かにやたらと小さい風紀委員長がいるという話はクラスで聞いたことがある気がする。でもこれは・・・。
「中学生じゃん」
「違うけど!?」
思わず口を衝いて出た言葉は目の前の小さい風紀委員長を怒らせるには十分すぎる着火剤だったらしい。烈火の如くというのはこういう状態のことを言うのだろう。辞書に例として載れそうな怒りっぷりを見せてくれる風紀委員長の口からはまるでマシンガンのように言葉が飛び出てくる。
「全くどうなってんのよ!蜜島先生も、美山先生も、一華だって、もーーー!!!」
何かはわからないが列挙された人たちと私は同列の存在らしい。最後の一華とやらは知らないけれど、まぁ、たぶんそういうことなのだろう。
「あんた、何で呼ばれたかわかってる?!」
「・・・さぁ?」
とりあえずとぼけてみる。万が一の万が一に賭けて、全く違うことに関することで呼び出されたという可能性に賭けて。例えば、風紀委員への勧誘とか。
「蜜島先生と美山先生。国語準備室。知らないとは言わせないわよ」
どうしよう、知らないどころか心当たりしかない。もしかしてこの前、神社の鳥居を蹴っ飛ばしたことがいけなかったのだろうか。だとしたらちょっと心が狭すぎるだろう。哀れな時間稼ぎはそう長くは持たない。
「知ってる顔ね。別に言い逃れなんてさせる気ないけど」
目を逸らすという古典的な時間稼ぎも虚しく空を切る。彼女が見せてきた携帯の画面には蜜柑と私、私と美山先生との情事がしっかりと納められていた。ご丁寧なことに写真以外に動画もあった。
「別に脅そうって話じゃないわ」
「は?」
脅さないならいったい何の用で私を呼び出したのだろうか。何かをさせたいとしても、何かを挿せないようにするとしても脅ししか思いつかない。
「この二人に脅されたんでしょ?これだけ証拠があれば助けてあげられるから、もう大丈夫よ。安心して、ね?」
「・・・」
何を言っているのかの理解に少し時間が必要な申し出だった。つまり、この先輩は私があの二人に脅されて、無理矢理に肉体関係を結ばされていると思っているということだ。二人とも、最初に手を出したのは私だった気がするけど。そんなことこの人には関係ないか。可哀そうな後輩を助けるために、わざわざこんな人気のない教室に呼び出してくれたらしい。
「そんな顔をしないで?ちゃんと守るから、私と同じ轍は踏ませないから」
「同じ轍?」
「え?あ、まぁ、そうね。私の話だから、気にしないで良いから」
「いや、気にします。教えてください。守ってくれるんですよね?」
明らかに余計なことを言ったという顔をしてる先輩をここぞとばかりに攻め立てる。何か面白いことを隠している、絶対に。私の勘が言っている。
「どういうことですか?教えてください」
「別にあなたが知らなくてもいいことよ」
「でも助けてくれるんですよね。教えてください」
「・・・まぁ、多少なら」
彼女がぽつぽつと語り始めたのは思った通りの内容で、思ったよりも生々しい話だった。一華という家庭科の先生に手を出されたらしい。あまりに自然に名前で呼ぶので苗字がわからなかったけれど、うちに家庭科の教師は二人いるので私が知らない方なのだろう。違う学年の先生の名前は覚えられないし。というかあんまり興味もない。でも今重要なのはそこじゃない。
彼女が私と同じように教師と肉体関係を持っている、しかも今も時折その肌を許しているとなれば話は全く変わってくる。つまり、彼女は私と同類。かもしれない。
「ふぅーん」
「何よ」
もう私の頭の中には彼女に対する不信感や敵対心と言ったものは地平の彼方に吹き飛び、ただ同類を見付けたという驚きと喜びでいっぱいだった。
「あなたには私と同じようになってほしくないの。だから、正直に話して?」
「・・・そうですね」
私はほっとした顔彼女を抱きしめ、その華奢な身体としっかりと香ってくる石鹸の香りの中でどうやって押し倒すかを考え、その答えはあんがいすぐに見つけることが出来た。
「んんーーっ」
私に唇をしっかりと塞がれた彼女の口の中からなんだか間抜けにも聞こえる呻き声が聞こえてくる。誰だかは知らないが、既に彼女のことを開発していたのだろう。口の中に入れた私の舌をあっさりと受け入れ、あまつさえ絡めてまでくるのはきっと調教の賜物だ。
「な、何するのよ!」
「何って、何されたかを説明しなきゃいけないじゃないですか」
「そんなことしなくても良いわよ!動画あるし」
「いやいや、動画だけだとわからないことも多いじゃないですか。ほら」
もう一回彼女とキスしようとしたら拒否された。どさくさに紛れてもう一回キスしようと思ったのに。
でも幸いまだ放課後は長いし、ここも人気の無い教室だ。まるで羊が自分から狼を誘っている、そんな中で理性を保っていられるほど私の中の狼はいい子じゃあない。
「やっと来たわね。譲島優子」
「えっと、風紀委員長に呼ばれたんですけど・・・」
「そうね。知ってるけど」
「えーと、取り次いでもらっていいですか?」
「・・・私が風紀委員長だけど」
「え?」
目の前にいるのはどこからどう見ても子供だ。誰かの妹が来ていると言われた方がまだ信じられる。でも確かにやたらと小さい風紀委員長がいるという話はクラスで聞いたことがある気がする。でもこれは・・・。
「中学生じゃん」
「違うけど!?」
思わず口を衝いて出た言葉は目の前の小さい風紀委員長を怒らせるには十分すぎる着火剤だったらしい。烈火の如くというのはこういう状態のことを言うのだろう。辞書に例として載れそうな怒りっぷりを見せてくれる風紀委員長の口からはまるでマシンガンのように言葉が飛び出てくる。
「全くどうなってんのよ!蜜島先生も、美山先生も、一華だって、もーーー!!!」
何かはわからないが列挙された人たちと私は同列の存在らしい。最後の一華とやらは知らないけれど、まぁ、たぶんそういうことなのだろう。
「あんた、何で呼ばれたかわかってる?!」
「・・・さぁ?」
とりあえずとぼけてみる。万が一の万が一に賭けて、全く違うことに関することで呼び出されたという可能性に賭けて。例えば、風紀委員への勧誘とか。
「蜜島先生と美山先生。国語準備室。知らないとは言わせないわよ」
どうしよう、知らないどころか心当たりしかない。もしかしてこの前、神社の鳥居を蹴っ飛ばしたことがいけなかったのだろうか。だとしたらちょっと心が狭すぎるだろう。哀れな時間稼ぎはそう長くは持たない。
「知ってる顔ね。別に言い逃れなんてさせる気ないけど」
目を逸らすという古典的な時間稼ぎも虚しく空を切る。彼女が見せてきた携帯の画面には蜜柑と私、私と美山先生との情事がしっかりと納められていた。ご丁寧なことに写真以外に動画もあった。
「別に脅そうって話じゃないわ」
「は?」
脅さないならいったい何の用で私を呼び出したのだろうか。何かをさせたいとしても、何かを挿せないようにするとしても脅ししか思いつかない。
「この二人に脅されたんでしょ?これだけ証拠があれば助けてあげられるから、もう大丈夫よ。安心して、ね?」
「・・・」
何を言っているのかの理解に少し時間が必要な申し出だった。つまり、この先輩は私があの二人に脅されて、無理矢理に肉体関係を結ばされていると思っているということだ。二人とも、最初に手を出したのは私だった気がするけど。そんなことこの人には関係ないか。可哀そうな後輩を助けるために、わざわざこんな人気のない教室に呼び出してくれたらしい。
「そんな顔をしないで?ちゃんと守るから、私と同じ轍は踏ませないから」
「同じ轍?」
「え?あ、まぁ、そうね。私の話だから、気にしないで良いから」
「いや、気にします。教えてください。守ってくれるんですよね?」
明らかに余計なことを言ったという顔をしてる先輩をここぞとばかりに攻め立てる。何か面白いことを隠している、絶対に。私の勘が言っている。
「どういうことですか?教えてください」
「別にあなたが知らなくてもいいことよ」
「でも助けてくれるんですよね。教えてください」
「・・・まぁ、多少なら」
彼女がぽつぽつと語り始めたのは思った通りの内容で、思ったよりも生々しい話だった。一華という家庭科の先生に手を出されたらしい。あまりに自然に名前で呼ぶので苗字がわからなかったけれど、うちに家庭科の教師は二人いるので私が知らない方なのだろう。違う学年の先生の名前は覚えられないし。というかあんまり興味もない。でも今重要なのはそこじゃない。
彼女が私と同じように教師と肉体関係を持っている、しかも今も時折その肌を許しているとなれば話は全く変わってくる。つまり、彼女は私と同類。かもしれない。
「ふぅーん」
「何よ」
もう私の頭の中には彼女に対する不信感や敵対心と言ったものは地平の彼方に吹き飛び、ただ同類を見付けたという驚きと喜びでいっぱいだった。
「あなたには私と同じようになってほしくないの。だから、正直に話して?」
「・・・そうですね」
私はほっとした顔彼女を抱きしめ、その華奢な身体としっかりと香ってくる石鹸の香りの中でどうやって押し倒すかを考え、その答えはあんがいすぐに見つけることが出来た。
「んんーーっ」
私に唇をしっかりと塞がれた彼女の口の中からなんだか間抜けにも聞こえる呻き声が聞こえてくる。誰だかは知らないが、既に彼女のことを開発していたのだろう。口の中に入れた私の舌をあっさりと受け入れ、あまつさえ絡めてまでくるのはきっと調教の賜物だ。
「な、何するのよ!」
「何って、何されたかを説明しなきゃいけないじゃないですか」
「そんなことしなくても良いわよ!動画あるし」
「いやいや、動画だけだとわからないことも多いじゃないですか。ほら」
もう一回彼女とキスしようとしたら拒否された。どさくさに紛れてもう一回キスしようと思ったのに。
でも幸いまだ放課後は長いし、ここも人気の無い教室だ。まるで羊が自分から狼を誘っている、そんな中で理性を保っていられるほど私の中の狼はいい子じゃあない。
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