麗しの殺し屋御殿

妃月未符

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第1幕 ~レモンドーナッツと味わいたいもの~

15

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 ベッドにふらりと腰かけ、呆然と虚空を見つめる。

 逃げだした華を追うのを、家族は一旦はあきらめたらしい。
 長女が失踪したこの時にまったくの理解不能だが、海外旅行中だ。



 まず、父と愛人がリゾート地に旅立ち。

 腹いせに他の国へ旅立った母と妹が、今乗っていると思われるのは――。

 無意識にその飛行機の便名を検索する。

 検索ボタンを押した時、ノックの音がした。

「華さん。だいじょうぶですか」

 碧が姿を現した瞬間、なにかが決壊しそうになる。
 つい、言葉が零れ落ちた。

「……飛行機事故のニュースがないか、見ていました」
「飛行機……? お母様がおっしゃってきたのは自然災害のはず――」

 はっとして、碧は、思い当たったように黙る。
 だらりと、ヒット結果ゼロを示したスマホを持った右手が落ちた。

「幻滅しましたよね。きっと。実の家族の死を願っているなんて」
 そっと、碧は華のとなりに腰掛ける。

「いいえ」

「我々に殺しを依頼するその半数は身内、そしてそれを受ける数――つまり、正当性があると判断するものは7割にのぼります」

 淡々とした数値上の事実。だが。
 その声は恐ろしく優しく、華を揺さぶっていく。

「華さん。よろしければ」

 まるで、震える背中を撫でていくように。



「なにに苦しんでいるのか、俺たちにきかせてはもらえませんか」
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