31 / 67
第2幕 ~盗んだのは禁忌の香り~
12
しおりを挟む
「なるほど。戦闘の結果はそのようなものでしたか」
「ごめんなさい……ごめんなさい、湊さん」
御殿のリビングにて、華は湊に向かい合い頭を下げていた。
今回、妹に接触することは、彼ら全員と共有済みである。
「惨敗です。それだけじゃなく、無様にもまた物を盗られるなんて。それも湊さんがくれた宝物を……」
――自分のせいだ。
――なにも言えずにみすみずぼけっとしていた自分の。
指弾を止めない華にふっと、湊が表情を和らげた。
「華さんは大げさですね。あなたさえご無事だったのなら、なんでもありません。むしろ、身を挺してあなたを守ったと言うなら、あの香水瓶をほめてやりましょう」
「だけど……完全な敗退です。今冷静に考えたらおかしい理論を前に、からめとられたみたいになって……少しは強くなったと思ったけど、あたしってやっぱり」
「いいえ。それは毒の粉のせいですね。自分は間違っていないと信じ込む人の言葉には素直な人を支配する毒素があり、あてられるのも無理はありません。ただ」
湊の眼鏡の奥が真剣味を帯びる。
「今後はお一人でご家族とコンタクトをとることはお控えください。話をきいていて改めて思いましたが、まともな話ができる相手ではありません」
「……ですね……」
なんでもあたしのせいにするな。
いつもあたしを悪者にして。
あたしが心を患ったのもあなたのせいだ。
これまで妹からきたメッセージを思い返す。
自分の咎をきれいに棚に上げ、責任を華に転嫁するもの。
「ひょっとしたら妹さんの中で、その理屈は真実なのかもしれませんが」
「理屈を通そうとすれば穴だらけの自分。そんな穴たちに糸を通してなんとか四肢をつなぎとめるため、彼女が作り出した真実、ですね」
「ですが彼女の場合は……もはや華さんやその他の人々にとって害悪となっている」
ブラックコーヒーをゆっくと味わうように、湊はくゆらせた。
「穴だらけの世界の中に閉じ込めて。溺れさしてやるのが最適解ってやつか……」
「湊さん?」
なんだかまた別の顔の彼を垣間見たような気がして華が目をこすった景色に映るのは、品よくカップを包むいつもの彼だった。
「いえ。こちらの話です。華さん。今日は疲れたでしょうからゆっくり、お休みを」
「湊さん。ほんとうに、いつも……ありがとうございます」
頭を下げて、
「——あ、そうです」
その間にコトリ、という音がして。
頭を上げて視界に映ったテーブル。
その上に鎮座しているものに、華は度肝を抜かれた。
「え、ええっ⁉ 盗られたはずの香水⁉」
ふっと、湊はつややかに微笑み、片手でそれを示す。
「妹さんからお返しいただきました」
「は? へ? え?」
絶賛混乱中の頭で、どうにか華は思考する。
湊が愛に接触した?
「愛ちゃんが、素直に返したんですか?」
「ええ。それはもうすんなりと」
「まさか」
そんなはずがない。
長年一緒にいて、彼女が自分の咎を認めることはありえなかった。
目の前でにこにこと微笑んでいる湊。
さすがの華でもわかる。
ここにはなにかある。
「あの、湊さん。もしかして。……みなさんってもうすでに、わたしの依頼に対して、動いていたりします?」
人差し指の関節を顎にあて、湊は切なげに微笑んだ。
「華さんはお客様です。そんな心配はしなくてよいのですよ」
「ううん……。なんなの。この狐と手品師と魔術師に化かされたような感覚……」
「ふふふ。あなたを化かしたのは殺し屋ですよ」
「湊さん!」
「すみません。少し戯れが過ぎました」
楽しそうに声をたてて笑う彼に、未だ笑えない華は言う。
「……どうして、こんなに親身になってくれるんですか」
湊はふいに笑いを止め、ガラス扉から見える大都会に視線を馳せる。
「誠意を尽くさず、人を利用する駒としか思わない輩を、わたしはずっと許せませんでした。これからも許す気はありません」
「……」
ゆっくりと、華は目の前のミルクティーを口に含む。
湊は――ここにいる面々はみな。
単に仕事としてとらえているとは思えない。
「殺し屋をしているきっかけという意味では、そうですね。……私にもかつて姉がおりまして」
「!」
初めて彼の口から語られた個人的な話題に、華は身を乗り出す。
「お姉さんが」
「幼い頃より文章が上手で、物語を作ることもできた――凡庸な弟の私には驚くことばかりの、多彩な姉でした。……身内びいきかもしれませんが。デビュー作はそれなりの数字をあげたのですよ」
湊の視線はここにあって、遠い場所を彷徨うようだ。
「ですが、出版社の都合で作品の続編は迷宮入りとなり。作者自身の不祥事のせいだと根も葉もない噂をSNS上でたたかれて。——ついには心を病んで、命を落としたのです」
「——……そんな」
――そんな残酷な仕打ちを、受けてきたなんて……。
クリエイティブな業界の内包する自己矛盾も、それに巻き込まれる苦しみも、知っているだけに、華は思う。
そんなものに大事な人の命まで奪われたら、果たして自分は生きていられるだろうかと。
淡々と、憐憫を交えず語られた事実が余計に、華の胸を締め付けた。
そして、思い至る。
よく似た事例を一つ、知っていることを。
――『掃きだめのマリア』の作者の名前。たしか。
――浦菖さんって言った……!
その弟である浦湊は、苦しみを内包してなお、品位のある瞳で微笑む。
「美しい言葉を駆使してきた姉への敬意から、日頃私は美しい言葉で世界を称えようと決めています。ですが」
そして、妖艶に口元で弧を描いた。
「その本性は憎しみにまみれた醜い獣なのですよ」
「そんな……っ」
気がついたら、立ち上がっていた。
「湊さんは、そんなんじゃありません。いつだって、とても、優しくて。紳士的で、ついでにおもしろくて」
――そうか……。
言いながら、ぽろぽろ涙がこぼれてくる。
「姉の命が潰えたのが、深夜の時間帯で。あたり一帯が暗くなるとどうにもその瞬間のことを思い出してしまうのです」
「……」
夜が苦手で、眠れない。
あまりにつらいその理由に、胸がしめつけられる。
「なんだか、妙に腑に落ちました」
「華さん……?」
なにかが溢れてくる胸を抑えながらそっと、腰を下ろす。
「あの痛くて切なくて、だからこそ綺麗な物語を書いた。あの人の――浦菖さんの弟さんって言われて、すごくなっとくです……」
「泣かないでください。華さん。わたしなどのために」
ハンカチを取り出し、華の目元を拭いながら、湊は続ける。
「私がここまで動かずにはいられないのは、あなたが美しすぎるからでしょうね」
「え? ええっ――」
「愚にもつかない昔語りをしました。——まぁ、そういう背景がありますので」
「み、湊さん?」
ゆっくりと、彼が舌なめずりをした姿は見間違いかとまた瞬きしてしまう。
その視線の先には、妹が謝罪の言葉もなしに送り付けてきた状態の悪いミュールがある。
ぼろぼろのそれに這わせるように視線をあてがい、湊は口元をぬぐうような仕草をした。
「このままにしちゃ……おかないぜ」
「ごめんなさい……ごめんなさい、湊さん」
御殿のリビングにて、華は湊に向かい合い頭を下げていた。
今回、妹に接触することは、彼ら全員と共有済みである。
「惨敗です。それだけじゃなく、無様にもまた物を盗られるなんて。それも湊さんがくれた宝物を……」
――自分のせいだ。
――なにも言えずにみすみずぼけっとしていた自分の。
指弾を止めない華にふっと、湊が表情を和らげた。
「華さんは大げさですね。あなたさえご無事だったのなら、なんでもありません。むしろ、身を挺してあなたを守ったと言うなら、あの香水瓶をほめてやりましょう」
「だけど……完全な敗退です。今冷静に考えたらおかしい理論を前に、からめとられたみたいになって……少しは強くなったと思ったけど、あたしってやっぱり」
「いいえ。それは毒の粉のせいですね。自分は間違っていないと信じ込む人の言葉には素直な人を支配する毒素があり、あてられるのも無理はありません。ただ」
湊の眼鏡の奥が真剣味を帯びる。
「今後はお一人でご家族とコンタクトをとることはお控えください。話をきいていて改めて思いましたが、まともな話ができる相手ではありません」
「……ですね……」
なんでもあたしのせいにするな。
いつもあたしを悪者にして。
あたしが心を患ったのもあなたのせいだ。
これまで妹からきたメッセージを思い返す。
自分の咎をきれいに棚に上げ、責任を華に転嫁するもの。
「ひょっとしたら妹さんの中で、その理屈は真実なのかもしれませんが」
「理屈を通そうとすれば穴だらけの自分。そんな穴たちに糸を通してなんとか四肢をつなぎとめるため、彼女が作り出した真実、ですね」
「ですが彼女の場合は……もはや華さんやその他の人々にとって害悪となっている」
ブラックコーヒーをゆっくと味わうように、湊はくゆらせた。
「穴だらけの世界の中に閉じ込めて。溺れさしてやるのが最適解ってやつか……」
「湊さん?」
なんだかまた別の顔の彼を垣間見たような気がして華が目をこすった景色に映るのは、品よくカップを包むいつもの彼だった。
「いえ。こちらの話です。華さん。今日は疲れたでしょうからゆっくり、お休みを」
「湊さん。ほんとうに、いつも……ありがとうございます」
頭を下げて、
「——あ、そうです」
その間にコトリ、という音がして。
頭を上げて視界に映ったテーブル。
その上に鎮座しているものに、華は度肝を抜かれた。
「え、ええっ⁉ 盗られたはずの香水⁉」
ふっと、湊はつややかに微笑み、片手でそれを示す。
「妹さんからお返しいただきました」
「は? へ? え?」
絶賛混乱中の頭で、どうにか華は思考する。
湊が愛に接触した?
「愛ちゃんが、素直に返したんですか?」
「ええ。それはもうすんなりと」
「まさか」
そんなはずがない。
長年一緒にいて、彼女が自分の咎を認めることはありえなかった。
目の前でにこにこと微笑んでいる湊。
さすがの華でもわかる。
ここにはなにかある。
「あの、湊さん。もしかして。……みなさんってもうすでに、わたしの依頼に対して、動いていたりします?」
人差し指の関節を顎にあて、湊は切なげに微笑んだ。
「華さんはお客様です。そんな心配はしなくてよいのですよ」
「ううん……。なんなの。この狐と手品師と魔術師に化かされたような感覚……」
「ふふふ。あなたを化かしたのは殺し屋ですよ」
「湊さん!」
「すみません。少し戯れが過ぎました」
楽しそうに声をたてて笑う彼に、未だ笑えない華は言う。
「……どうして、こんなに親身になってくれるんですか」
湊はふいに笑いを止め、ガラス扉から見える大都会に視線を馳せる。
「誠意を尽くさず、人を利用する駒としか思わない輩を、わたしはずっと許せませんでした。これからも許す気はありません」
「……」
ゆっくりと、華は目の前のミルクティーを口に含む。
湊は――ここにいる面々はみな。
単に仕事としてとらえているとは思えない。
「殺し屋をしているきっかけという意味では、そうですね。……私にもかつて姉がおりまして」
「!」
初めて彼の口から語られた個人的な話題に、華は身を乗り出す。
「お姉さんが」
「幼い頃より文章が上手で、物語を作ることもできた――凡庸な弟の私には驚くことばかりの、多彩な姉でした。……身内びいきかもしれませんが。デビュー作はそれなりの数字をあげたのですよ」
湊の視線はここにあって、遠い場所を彷徨うようだ。
「ですが、出版社の都合で作品の続編は迷宮入りとなり。作者自身の不祥事のせいだと根も葉もない噂をSNS上でたたかれて。——ついには心を病んで、命を落としたのです」
「——……そんな」
――そんな残酷な仕打ちを、受けてきたなんて……。
クリエイティブな業界の内包する自己矛盾も、それに巻き込まれる苦しみも、知っているだけに、華は思う。
そんなものに大事な人の命まで奪われたら、果たして自分は生きていられるだろうかと。
淡々と、憐憫を交えず語られた事実が余計に、華の胸を締め付けた。
そして、思い至る。
よく似た事例を一つ、知っていることを。
――『掃きだめのマリア』の作者の名前。たしか。
――浦菖さんって言った……!
その弟である浦湊は、苦しみを内包してなお、品位のある瞳で微笑む。
「美しい言葉を駆使してきた姉への敬意から、日頃私は美しい言葉で世界を称えようと決めています。ですが」
そして、妖艶に口元で弧を描いた。
「その本性は憎しみにまみれた醜い獣なのですよ」
「そんな……っ」
気がついたら、立ち上がっていた。
「湊さんは、そんなんじゃありません。いつだって、とても、優しくて。紳士的で、ついでにおもしろくて」
――そうか……。
言いながら、ぽろぽろ涙がこぼれてくる。
「姉の命が潰えたのが、深夜の時間帯で。あたり一帯が暗くなるとどうにもその瞬間のことを思い出してしまうのです」
「……」
夜が苦手で、眠れない。
あまりにつらいその理由に、胸がしめつけられる。
「なんだか、妙に腑に落ちました」
「華さん……?」
なにかが溢れてくる胸を抑えながらそっと、腰を下ろす。
「あの痛くて切なくて、だからこそ綺麗な物語を書いた。あの人の――浦菖さんの弟さんって言われて、すごくなっとくです……」
「泣かないでください。華さん。わたしなどのために」
ハンカチを取り出し、華の目元を拭いながら、湊は続ける。
「私がここまで動かずにはいられないのは、あなたが美しすぎるからでしょうね」
「え? ええっ――」
「愚にもつかない昔語りをしました。——まぁ、そういう背景がありますので」
「み、湊さん?」
ゆっくりと、彼が舌なめずりをした姿は見間違いかとまた瞬きしてしまう。
その視線の先には、妹が謝罪の言葉もなしに送り付けてきた状態の悪いミュールがある。
ぼろぼろのそれに這わせるように視線をあてがい、湊は口元をぬぐうような仕草をした。
「このままにしちゃ……おかないぜ」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる