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垣間見える本性は
しおりを挟む「骨って……誰の」
俺に覆い被さっているモアサナイトの顔は間近で見えているのに感情は読み辛くて、伸ばした指で俺の髪を解かす。繰り返し、ゆっくり確かめるみたいに。
返答はなくて、そりゃそうだ。他人のモアサナイトが答えを知るわけが無い。
「……どこの?」
首の後ろに手が回る。触れられた、そこが骨の位置だと教えてくれたのが解った。
「……」
──オメガの急所。
「どういうこと?」
おもわずモアサナイトに聞いてしまう。だって、まるで知っているみたいな憂いた表情をしてるから。
「どうもこうも。彼は失敗したんだろう?」 つまらなそうに言う。「僕は間違わないけどね」
失敗した? ……オメガの骨?
「え。嘘だろ。だって」 爲永は自分でオメガと話した事もないって言ってたじゃないか。それに、似合わない。誰かの遺骨を身につけるなんて、彼のイメージに一番そぐわない。けれど。「……爲永さんはどうして」
初めて考えた。──彼はどうして、それをしたんだろう。
頭にはぐちゃぐちゃした疑問が渦巻いていて、簡単には言葉にできない。
──どうしてモアサナイトの召喚に横槍を入れてきた? 対応ができたからだ。何で対応できたのか。準備をしていたからだろう。準備? 研究をしていると言っていた。
──異世界の。
馬鹿げてる。実際に異世界の番を目の前にした今でさえ、そう思う。
だって、ここは召喚の理念があるモアサナイトがいた世界じゃない。錬金術が信じられていた古い時代でもない。この現代に、異世界の研究だよ? あり得ないだろ。
不老不死。タイムスリップ。異世界転生。お話に不変のよくあるテーマだけれど、それを真面目に研究する人間なんていない。
だって不可能だ。
アルファの才能があれば絵空事にも手が届くのか? にしたってその選択は異常だ。それよりもどこかの神様にでも異世界に飛ばしてもらうのを願うって方がまだ健全だと思う。
そう。──それは人が手を出す領域ではない。
手の届かないものに手を出したのは、何故だ?
「円、もういいかな?」
「え?」 いいってなに? ……気付けばナイトはいかにも痺れを切らしましたみたいな顔をしている。「俺なにか待たせてたっけ」
「……大丈夫だよ」 会話になってない返答をして、モアサナイトはくすりと笑って俺の顎を手にとる。わけもわからず見つめ返すと、水色の瞳がすっと細められる。「すぐにこういうときに他の男のことを考えられないようにしてあげるから」
「変態か!」
本気の目が怖いよ!
思い出したよ裸で組み敷かれてるこの状況! 忘れてたわけでもないけど! ナイトだけ下を履いててずるいし! ……じゃなくて、
ああもう。つい反射で罵倒してしまって後悔する。言い過ぎた。
なのにモアサナイトは嬉しそう。
「円に遠慮がなくなってきたのは良いな。僕たち、出逢ったときより距離を縮まったよね」
「前向きすぎるよ?」
もー……。
脱力する。縮まるも何も、二人きりになるのも初めてでこの状況は結構ヒドイんじゃないかなあ……。
ヒドイ、というのは呆れたという意味でのヒドイであって、困ったことに嫌ではない俺が一番ひどい。ていうか、あの、
「……あのナイト、いま手持ち無沙汰?」
「いいや。何故?」
「えっと、いや」
堂々と返されて逆に聞けなくなった。
何でナイトはずっとひとの胸をいじり続けているんだろう。あと俺の乳首、そんな尖ってたか?
そんなんじゃなかった筈だけど。……なんか、変だ。モアサナイトが少し屈んだ弾みでペンダントトップが胸に触れてびくんとする。
「……ちっ」
舌打ち!?
「あの」 下半身のモノを握られるよりマシだけど。……マシだけど。すこし、ぞわぞわしてきた、ような。「あの……ナイトはどうしてだと思う?」
主語もなにもない問いに、
「ああ……アルファの望みなんて決まってる」 モアサナイトは首のペンダントを存外丁寧に外して俺の頭上、見えないところに置く。「番だろ」
「ふにゃっ!?」
台詞に反応したんじゃなくて、尻の割れ目に指を押しつけるから変な声出た。
「なななに?」
焦る俺にモアサナイトは窘めるように言う。
「ほぐさないといけないから。我慢して」
「なんで!?」
聞くと、相手は首をかしげる。
「知らないの?」
「知らない、し!」 言った後で急激に恥ずかしくなる。そんなに不思議そうな顔しなくても良いじゃないか。「無知ですみませんね! 下ネタ苦手なんだよばか!」
駄目だコレ俺、たがが外れてきてる。羞恥と混乱と、どんな態度でも許されるっていう安心感から暴言が口からこぼれてる。
実際、何がツボにはまったのかモアサナイトは感極まった風。
「円」
「ごめんだからやめて?」
ちゅ、と口付けられて、違う、喜ばせたいわけじゃない。覆いかぶさってくる両肩をつかんで力一杯引き剥がす。
「うん?」
「やめてって」 あ駄目これ聞いてない。聞く気がない。ぐぐっと押されてあっさり力負ける。ちゅちゅ、と唇を割って、「んぷ、ッ」
舌が入ってくる。……なんか、変だ。おかしい。
なんで俺、胸の、突起を指の腹でこねられてるって事がわかるんだ? ──それも鮮明に。くりくりと、指がいじると乳首から下に電流が走るみたいな痺れが腰の奥にずんとくる。いつのまにそんな感覚が研ぎ澄まされたんだ。第三の目が開花したのか俺。
ねろりと口の中を犯されていっぱいいっばいなのに、腰を抱えた右手の動きがまた不穏。前を触ってこないのは良いんだけど、尻。尻は揉まないでほしい。指がうしろの穴をしきりに撫でてくる。時折ぐっと押される。「──っ」 悲鳴もキスに呑み込まれる。
口が解放されて、ぜいぜいと呼吸。
額に落ちるキス。
文句を言おうとして、水色の瞳を見たらその言葉が霧散してしまった。
……ほんとこの人。
腕を伸ばしてその肩を抱き寄せると、お互いが裸なのを余計に意識する。
──肌に汗が。無意識にそこに吸い付く。
「しょっぱ」
くくっと掴んだ肩が震える。おかしくて笑われてるのかくすぐったいのか、近すぎてわかんない。
「……初めてだから優しくしようと努力してるのに、この小悪魔は」
ぼそっと呟かれた台詞に目をむく。あ?
「ナイト、それ言葉間違えてる」
その単語は俺に当てはまらない。
てかどっから小悪魔なんて言葉を拾ってくるかな異世界翻訳ソフト。言語のインストールだって間違えがあるだろうけど。
「……まちがい?」
「うん」
モアサナイトが停止してる。
今のうちに身体の下に敷いてしまった相手の右腕を引き抜こうとするが、できない。身体を浮かして、
──つぷり、と、
「え……? あ嘘、やめっあ、ひっ、ひ」
──指が、中に入ってきた。
ひとの静止に逆らうようにずぷずぷと、開かれた脚の間の奥に沈み込んでいく。くい、と指が曲げられた感触に、身体が海老みたいに跳ねた。
一瞬意識が飛んでた。
目をあけるとけっこう強めに抱きすくめられてる。えー……。なんでこうなった。直前の記憶を思い返してもよくわからない。
止めてくれた? ……てない。尻に指入ってるの、やだこれ。ぐぐぐと力入れて退かそうとするのに何で動かないのかこの筋肉。くちゅくちゅと中の指を動かされると、そのたびにへにゃへにゃと身体から力が抜けてしまう。
「円、はじめてじゃないの?」
「ふえ?」
「まちがいって言った、円」
──。
「そこじゃねえ!」 蹴りを入れようとしたのは間違いだった。力入らないし、その脚ごと抱えられた。軽く持ってるだけに見えるのにまるで動かせない。それどころか脚が開いたせいで角度が変わった指が、より深く沈む。「ひっ、も、馬鹿」
「僕は円が処女じゃなくてもぜんぜん、かまわないんだけれど」 一段トーン落とした声で言う。「相手教えて?」
「だから言葉のチョイス変! あと怖いよ!? 俺はまぎれもなく初心者!」
初心者と言う言葉もどうかと思うけど、処女って単語は使いたくない。女じゃないし。
「そうなの?」 人が怒ってるっていうのに、逆に雰囲気が柔らかくなったナイトは案外素直に聞いてくれる。「ああ僕は勘違いしたのか」
「してるよ! こっちは処女どころか!」 ちっさい声で文句言う。「……も……ったのに」
全然聞き流してくれて構わないいんだけど、口に出さないと気が済まない。
腹立つ。拘束されてなかったら暴れてるのに。
けど、
「もう一回」
「え」
「聞こえなかった。もう一回教えて」
──食い気味に問い返されるのは予想外だった。
「も……もういいよ」
「言って」
「言わない。大したことじゃないから」
「円、教えて」
……圧が強い。
「……」
「円」
「だから、精通もまだだった! って言ったの聞こえてたんだろが!?」 切れ気味に返すとモアサナイトが目を見開く。「だっ」
「え? ちょ、まどか。だいじょうぶ?」
「いままで、誰にも言えなかった、のに、もーやだ、言わせんな、ばか」 びっくりしつつも、ぼたほだ泣き出した俺の背中をさすってくれる。「でも良かったとおもって、俺、ちゃ、ちゃんと男だった」
「え。当たり前だよ」 モアサナイトは人の苦悩をばっさり切り捨てる。「でもそうか。うん。そうか」
くっくっ。
覆い被さってる身体が震えてる。呼吸が苦しそう。
「……我慢するなよ。わらっていいよ」
くつくつと笑い出してしまう。ほんと素直だな!
笑い出したら止まらないタイプらしい。おかげで涙も止まる。
「……ナイト、壊れたか?」
「う……うん。僕は壊れた。駄目だ。円、かわいい」
まったく。溜息。
「やっぱりその翻訳ソフト、見直した方が良い」
むっとする。普段は日本語が母国語じゃないことを意識させないぐらい達者なのに、ときどきモアサナイトの語彙は少なくなる。俺、かわいいしかないじゃん。
まあでも……萎えてくれたならいいや。正直ぐいぐい迫られるのは怖かったし。これでやる気が削げてくれればこの恥を相殺できる。
「そう? 僕はおかしくはないと思うけれどね。円はかわいい」
「ヒッ」 油断してた。尻にぬぷりと、もう入ってるのに入ってきた。「なに、なんで」
「──二本目」 モアサナイトはいっそ甘い笑みを見せて言う。「中指が入ったよ」
「なか、ゆび」 考えてなかった。「な、なんで増えるの」
「安心して。円が怖くないように教えてあげる。何処がどうなっているか、ね? まだ二本しか入れてないよ」
「なにが? ど!? まだ!?」
安心の根拠を教えてくれ。中でうごめくの、気持ち悪い。
「痛くない?」
「……痛くないけど変」
ふきげんに返す。
「うん。良かった。しばらくは我慢してて。こうして少しずつほぐしていくと……ああ、もう随分やわらかくなってきたね」
ぺちんとてのひらでうるさい口を塞ぐ。
「じ、実況いらない」
くす、と笑われる。
「残念」
……わざと言ってただろ。
「ナイト……性格わるいって言われないか?」
「どうかな? 円以外がなにを言っても気にならないから知らないけど。じゃあ黙るよ」
「俺が言ってあっ、待って、ひっ、や……」
「……」
こんどは無言。くっそ極端。
最初はくち、くち、と探るようだったのが、今ちゃっちゃっちゃっと軽快な水音が規則的な間隔で響いてる。じわじわ迫り上がってくるのはなんだろう。これが快感?
「ひっ、手、とめて。いやとりあえず抜いて」
「まだ」
無情に却下される。ある一点をこすられてびくんとなにか、背筋を走る震え。
「ちょ……それ、それやだ動かさないで、ってば、っあっ、んっ」
「ふ……」 わらう。「すごく扇情的な光景」
はあ、と熱を持った溜息が首に落ちる。何が見えてるんだよ。いや聞きたくない。耳を塞ぎたい。狭い室内で聞こえているのは水音と、「ふ……あっ」 抑えてるのに漏れる、自分のあえぎ声。
いつのまにか指の動きが複雑になってきて、感じるところをしきりに突かれる。
「やっナイト、ナイト」
「うん?」
「ねえ指、指、増えてないか?」
ちゅ、返事に目元にキスをされて目を瞑る。やばい暗いのは感覚が研ぎ澄まされるから駄目だ。目を開ける。
そして気が付く。──じっとこちらを見つめている水色。
「ねえ、円……円は僕を嫌わないだろう? 僕を受け入れてくれる?」
──その台詞はどこか懇願に似てた。自信あるくせに。
モアサナイトはやっぱりアルファで、外面の良さの裏に覗く他者を顧みない高慢さは度し難い。
……ああ、腑に落ちた。
卓越したバランス感覚があるが故に隠せてしまう──それは孤独だ。傲慢な孤独は誰にも気付かれず救いようが無い。だから、
そのぜんぶを受け入ることができるのは俺だけと思う。
「あークソ、もう」
運命の相手とか、未だにわからない。けど、好きだ。どうあっても俺はこの人が好きだ。だったらそれで良いや。
丁寧にからだがつくり変えられていく。その感覚に、ぐずぐずになって裸の胸にすがりつく。
いつのまに、どこを触られても蕩ける状態だし。もう駄目。
「ナイトも、いい。指、いらない」
目を見て訴えると困ったように眉を下げる。
「円に涙目で懇願されるのには弱いけれど」
「だから」 台詞をさえぎて言う。「先、進んで良いから、指抜いて」
「……わかった」
モアサナイト、本気でお願いすると言うこと聞いてくれるところが好きだ。
解放されて、手を伸ばして探ったのは相手のベルト。
「これ外し方わかる? やってやるから」
カチャカチャとベルト外してから、考える。ズボンはどうしよう。全部降ろすか? とりあえず、中身を出してあげたいよな。キツそう。
するとモアサナイトが溜息つく。
「……円って、基本男らしいんだよね」
「え? うれしい」
あまり言われない台詞だ。浮かれた後にカワイイ、というつぶやきが耳に届いたけれど聞かなかったことにする。
実際それどころではない。
出てきたソレの、見たことの無い質量に思わず見とれてから、ハッと我に返る。
「……これを入れる?」
おもわず自分の股間をみる。……うん。ぜんぜん違うなあ。
これは駄目だな。リリース。
ズボンから出したモノを元に戻そうとしたら入らない。
「円」
「無理。無理だったごめんなさい」
ずりずりとモアサナイトから距離を取るが、所詮俺の部屋。狭い。
「円、おいで」
「……う」
どうやら俺はナイトのおいでに弱い。しぶしぶ、うながされてナイトの脚をまたいで膝立ちで立つ。
「円、脚を上げていいかい?」
聞かれて、逃げ腰になるのをこらえる。やられるよりは、と自分から片足を抱え上げてみたが、やってみてから、これはこれで相当恥ずかしい事に気が付いた。
「……ナイト?」
そこで静止しないで欲しいんだけど。
と思ったらすー、はー、すー、はー、といきなり深呼吸をしている。
「うん……うん。ごめんね落ち着いた」
「……だいじょうぶか? えっ? あ、ひうあっ!」
唐突に抱えられて腰を落とされた。ずっ、ずる。左足だけ上げた中途半端な体勢ではナイトの腕以外に支えがなくて、体重が直に、ソコにかかる。
「あ、やだひらくって」
「……うん。入ってくね」
ふと、水色に引き寄せられる。マジマジと瞳を眺めてしまう。恍惚とした表情、してるなあ。
と冷静に考えられたのはそこまで。
「痛くない?」
耳元で囁かれたけど、わけわかんない。「っんん、あ」
ぴぴっとなんか出た。白い。
「……入れただけでこうなるとか」 感嘆の溜息。「可愛い」
「ひっ、あっ」
「動くね」
あとはもう、ぼんやりと、なにか言ってるとしかわからなかった。
意識がぼんやりしてる。
びくん、という自分の痙攣にびっくりして我に返る。視界が揺れてる。腰を打ち付ける音を、どこか他人事に聞く。おなか、違う、ぜんぶがビリビリする。
「ねえナイトどうしよ」
「……円?」
「どうしよう俺、ナイトでいっぱいになってる」 助けを求めて泣き付く。「ひっ、あ」
返ってきたのは荒い呼吸で、深く繋がっていくの、気持ちいい。もっと奥に来てほしい。
相手の顔をみて、うわ、と思った。普段のクールさが台無し。ゆがんだ顔に手をのばして触れる。
「必死だな」 笑って言ってやる。「うれしい」
ぺろ、額の汗を舐めてやると、ナイトは一瞬硬直した後、びくびくと痙攣した。じわりと中に拡がる感覚。「う、ふあ」 知らなかった。これ。すごい、多幸感。「きもちいい。もっと」
ナイトが溜息ついて人の頭を撫でる。
「やっぱり小悪魔で合ってる」
そのことばにくすくす笑う。愛しい。大好き。ちゅ、と鼻の頭、唇の端、好きな場所にキスしてく。
「円」
しがみつくように抱き寄せられる。溺れてるのはどっちだろ。
◇ ◇ ◇
目が覚めて、目の前にいる男の顔をぼーっと眺める。
眠ってる。……寝顔、案外かわいい。欠伸をしてから肩にすり寄る。くんと相手の匂いを嗅いで安心する。再び眠りに落ちる、直前に思い出した。
「そうだ爲永さん!」
ペンダントを返さないといけなかった。
確か上の方に置いてたよな。とさがそうとしたら腕が伸びてきて腰をがっちり拘束される。
「ちょ、え? 起きてた」
「その名前、いま円から聞きたくないんだけど」
モアサナイトは眉間に皺が寄っていて、もう可愛くなくなってる。黒いオーラ出てる。
「……ナイト、結構独占欲強いよね」
薄々気が付いてたけれど。
他人の名前出しただけでこれってどうよ。
「爲永は駄目」 モアサナイトは人の腰を抱えたまま、片手は自分の目に掛かった寝癖の髪をうるさそうにかき上げる。「僕がこうなるのは仕方がないんだよ。だって円はまだ僕のになっていないからね」
寝起きは悪い方か。寝ぼけて機嫌悪い雰囲気もワイルドで悪くはないんだけど。反省とかしたことなさそうだなこの人。
……ん?
「え!? なってないの!?」
「残念ながら」 悔しそうに言う。「まだ番の証が刻まれていないだろう?」
証ってなんだ。
「だってナイト、俺を噛んだじゃん! すごく気持ちよかったのに!」
モアサナイトは笑う。
「それは良かった」 それから付け加える。「当然だけどね」
「──いや、ちょっと待て。じゃあなんで抱いたの」
てっきり、番になったと思ってたんだけど! ていうかそれもう番って事でいいのでは?
「アルファの業だよね。目の前の番を手に入れない限り、常に自分のものにしなければいけないという強迫観念に捕らわれる。ごめんね円。僕は本能には逆らえないよ」
「んなこと言って、逆らう気、がないよ、ねひあッ」
前触れなしに突っ込まれた。柔らかくなってるけど! けど!
「もちろん」 幸福そうに言う。「ちゃんと君に証をつけるその日まで、僕は収まらないと思うよ」
え。俺の発情期が来るまでずっとこれ? おかしくない?
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