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その6. 土曜の朝*

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 美晴が自分の足を健斗の腰に絡めて引き寄せる。さらに深く入る形となり、健斗はそこから腰を引くとまた突き入れた。美晴の中で健斗は絡みつかれ扱かれて、快楽を追い求めて腰を振る。

「ああっ、はぁ、はぁっ」

 結合部から聞こえる、湿った音。肉と肉がぶつかる、乾いた音。互いの荒い息遣い。喘ぎ声。どんどんと集中していって、欲望は膨れ上がり出口に向かって進んでいく。

「あっ、や、もう!」

 美晴の体がビクビクと痙攣し、先にイッた。健斗が追い上げをするように腰を動かしその後に続く。

「美晴さん……!」

 最後に彼女の名前を呼んで、深く突き入れ欲望を吐き出す。しばらく二人無言のまま、ぎゅっと抱き合って息を整えた。それからゆっくりと、健斗が美晴の中から己を抜き出す。まだ快楽の余韻は続いていて、精を吐き出したというのに勃ち上がったままだった。

 健斗はサイドボードに手を伸ばすと、新しい避妊具につけ直す。そして横たわる美晴の首筋に唇を寄せると今度は背中に舌を這わせ、腰を掴んだ。その拍子に、くちゅっという水音が彼女から聞こえる。

「美晴さん、もう一回」
「あん」

 手のひらで触れるだけで、美晴の肌が快楽を拾って反応する。そんな彼女を四つん這いの姿勢にし、後ろから挿入した。最初から遠慮のない動きに、美晴の尻がふるふると震える。彼女の口から嬌声が漏れた。

「んっ、 あっ、 あっ! いいっ、はああっ、いいっ!」

 二人して快楽に溺れる。さんざん愉しんで疲れ果てるまで行為に没頭して、最後は裸で抱き合ったまま、泥のように眠りに落ちた。



 ――そして翌日の朝。寝返りをうったときに自分一人なのに気が付き、健斗の意識が浮上した。

「え? 美晴、さん……?」

 寝起きで状況が理解出来ないまま部屋を見回すと、サイドボードになにかがおいてある。ライトをつけて見てみると、メモ紙だった。

『ごめんなさい。ありがとうございました』

 それだけが書かれており、その下に一万円札が二枚置かれていた。ホテル代だけではない、きっと昨日のレストラン代も合わせての、その金額。

「……なんだよ、これ」

 健斗は髪の毛に手を突っ込むと、低くつぶやいた。

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