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第3章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と共に|能力《ちから》の検証をする

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「なんで木のくせに動いてるんだ? 木なら木らしくじっとしていろ!」

 光太に絡み付こうとしている枝だが根っこだかわからないモノに持っていた斧を叩きつけながら、ケースケが吠える。
 渾身の力で叩きつければ簡単に叩き切れるものの、どうしようもないことに、数が多すぎる。

「水森くん、後藤くん! 草下くんは? 草下くんは無事?」

「いまどうやって引っ張り出すか考え中!」

 追い付いてきた木本先生の声に応え、ユーゴはケースケの邪魔にならないところまで素早く下がる。
 先ほどからユーゴの頭の中には、いろいろな情報がどっとあふれていた。
 処理が追いつかずめまいがしたが、気力でねじ伏せ必死に能力ちからを自分のモノに変えていく。

 一度にたくさんの情報が欲しいわけじゃない。
 いま一番知りたいこと。とりあえずはそれだけでいい。
 自分の能力ちからならちゃんと従え。
 暴走なんてしなくていいから、さっさと馴染んで使われろ!

 ユーゴは声には出さず、心の中で腹の底から叫ぶ。

 情報がたくさんありすぎて必要なモノがどれだかわからないなんてもっての外。
  選んで確かめて本当に必要な事柄を最優先で!

 強く、強くそう念じた瞬間。次から次へと押し寄せていた情報が、ふと途絶えた。
 そうして、目の前の巨木についての理解が突然おとずれ、ぎょっとする。

「--……は? 擬態の解けたトレント……? トレントって、ゲームとかに出てくるあのトレント?」

 一瞬の空白の後。ふ、と頭の中に浮かびあがってきたのは、目の前の巨木についての、詳細な情報だった。

 『擬態の解けたトレント』--つまりは魔物。
 ぎょっとして、思わずユーゴは考えるのを止めてしまう。

 光太が魔物にとらわれている?
 ケースケが魔物と戦っている?

 でもさっき、ここは安全だって話になった。
 それは、金堂たちの能力ちからが危険はないと告げたから。

 彼らの能力ちからが間違っていた?
 じゃあ自分の能力ちからも間違っている?

 ぐるぐるぐるぐる、腹の底で不安が回る。

 なにがなんでも能力ちからを自分のモノにする。
 そんな気迫が途切れかけたユーゴは、けれど。

「ユーゴ、落ち着け」

 ケースケの一言で持ち直す。

 ああ、そうだ。
 金堂たちは走っていこうとした自分たちを止めていた。

 トレントは木の魔物だ。
 根付いた場所からは動けない。
 なら、あの場合から動かなければ安全だったのだ。

 状況が変われば情報も変わる。
 金堂たちの能力ちからに間違いがなかったのなら、ユーゴの能力ちからにだって間違いはない。
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