クラスのぼっちギャルを更生させて自分を大切にすることを教え込んでやった話。

ミハリ

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第15話:荒木くん、色々とありがとう。

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 雪はますます激しく降り注ぎ、校舎の屋上のコンクリートを白い薄層で覆いつくしていった。荒木くんは私を立たせてくれた。その手は、まるで離したら私が壊れてしまうのを恐れるかのように、優しく私の腕を掴んでいた。

「帰ろう、アイさん。ここは君には寒すぎる」彼は言った。

 私はただ素直に頷いた。帰り道の間、私はずっと彼の背中を見つめていた。私を守るために、嵐に立ち向かったばかりのその背中を。
 私の心は、先ほど彼が口にした「価値がある」という言葉に囚われていた。これまで、私は自分を家族に捨てられたゴミ、価値のない壊れた品物だと思っていた。けれど、目の前にいるこの人は……私に新しい自尊心をくれたのだ。

 ***

 アパートのドアの前に着いたとき、私はふと足を止めた。彼の持つ鍵を見つめる。

「荒木くん……怖くないの?」私は静かに尋ねた。
「だって、亮太は本当に執念深いよ。父親だってお金持ちだし。もし本当にひどいことをされたらどうするの?」

 荒木くんは鍵を差し込み、ドアを開けた。そして、私にだけ見せてくれる微かな微笑み――彼にとって稀なその笑顔を浮かべて、私を振り返った。

「もしあんな奴を恐れるくらいなら、最初から君を連れて帰ったりはしないよ、アイさん。それに、彼がいなければ、俺にはある『価値ある理由』が手に入らなかった」 
「それって、何?」
「戦うための理由だ」彼は家に入る前に、短くそう答えた。

 ***

 その夜、アパートの中はとても温かい空気に包まれていた。私は感謝の印として、何か特別なものを作ろうと決めた――一皿の料理くらいじゃ、彼のしてくれたことへの恩返しには到底足りないけれど。
 私は不思議なほど晴れやかな気分で野菜を切った。時折、荒木くんが教科書を集中して読んでいるリビングを盗み見る。
 これこそが、私の夢見ていたものだった。普通の生活。厚化粧もせず、無理に笑う必要もなく、明日を恐れることもない。
 けれど、私がテーブルの準備をしていたとき、ソファの上に置いてあった私のスマホが激しく震えた。クラスのグループチャットや知らない番号から、何十件ものメッセージが届いていた。

『見てこれ! これ五木アイじゃない?』
『うわ、本当に男のアパートに住んでるんだ?』
『清純ぶってたくせに、結局パパ活女子じゃん。安っぽいね』

 そこには写真が添付されていた。今日の夕方、二人でアパートの建物に入っていくときの写真だった。遠くから撮られたものだったが、私たちの顔ははっきりと判別できた。
 私の手が震えた。持っていた皿を落としそうになった。亮太……本当にやりやがった。彼は荒木くんのアパートを攻撃するのではなく、私たちの社会的な生活を攻撃してきたのだ。この噂を学校中に広めたのだ。

「アイさん? どうした?」荒木くんが私の異変に気づき、駆け寄ってきた。

 私は言葉が出なかった。ただ、彼にスマホを差し出した。彼がその画面を見たとき、その顎のラインが険しく強張った。いつもは穏やかな彼の瞳が、今は抑えきれない怒りで鋭く光っていた。

「もう見るな」彼はそう言ってスマホの電源を切り、裏返しにして置いた。
「荒木くん……みんな、あんたをのけ者にするよ。あんたは優等生で、輝かしい未来があるのに。この写真のせいで、あんたの評判は台無しだ。グレた女を囲ってる淫らな男だって思われちゃう……」泣くのをこらえて、私の声は掠れていた。

 荒木くんは深く息を吸った。彼は私の両肩を掴み、真っ直ぐに俺の目を見るよう強いた。

「いいか、アイさん。言いたい奴には言わせておけ。誹謗中傷を広めたいなら広めさせればいい。俺たちが真実を知っているなら、それで十分だ。明日、必要なら俺が学校側に立ち向かう。あんな言葉で君を二度と傷つけさせはしない」
「でも……どうして? どうして私のためにそこまでしてくれるの?」私は複雑な感情で彼を見つめた。

 荒木くんは一瞬沈黙した。そして、私の頬を伝う一筋の涙を指で拭った。

「あの日、図書室で君を見たとき、自分自身を見ている気がしたからだ。孤独で、帰る場所がない誰かを。だから決めたんだ。せめてこの世界の誰か一人にとって、俺が『家』になりたいと」

 その言葉が、私の心の最後の壁を崩した。私は迷わず彼を抱きしめ、その胸に顔を埋めた。
 彼を抱きしめたとき、私は気づいた。「家」とは建物や住所のことではないのだ。家とは、世界が自分を無価値だと見なすときでも、自分を「価値ある存在」だと思わせてくれる、安心できて守られていると感じさせてくれる誰かのことなのだ。そして、この人、荒木石川こそが私の家だった。
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