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第一章 前世の記憶
第12話 十五歳 叙勲とその辞退 sideアレク
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ケルベスク帝国の魔法研究の若き双璧と名高いゼファーとフランシス。
ここ最近の彼らの魔法研究での業績は目覚ましく、二人に叙勲の話が出た。
共に十五歳の天才少年達である。
片や裕福な侯爵家次男、片や貧しい平民出身の少年の二人。
魔法研究において年齢、貴賤は関係ない。
特に魔法研究の専門機関の塔では、その才能の煌めきだけが要求され、いかな高貴な身分であろうと才能無き者は招聘されない。
だからこそ、この二人が稀有な才能を持っていることがわかるだろう。
二人の名前はよく耳にしていた。
自分と同い年である彼らに、式典で会えることを楽しみにしていた。
だが、侯爵家子息のフランシスは叙勲を辞退し、式典にも出席できないと丁寧な断りの連絡が来た。
彼の父である侯爵は額の汗を頻繁に拭きながら答えた。曰く、フランシスは非常に病弱で、五歳の時からたびたび発作を起こしている(注:嘘です)。
なので、皇宮の式典に出席することは彼の精神的負担が大きく、とても出席できないとのことだった。
そこまで大変な発作持ちなら辞退も仕方ないだろうと、皇宮の官吏達はもちろん、皇帝も含めて納得していた。
だが一方で、塔に出入りしたことのある魔法研究を修めた文官・武官の言い分は違った。
「彼は一時も研究から離れたくないんでしょう。塔に朝から夕方までいて、ずっと研究三昧ですから」
「そもそも発作持ちなら、そんなに塔にこもれないだろう」
そうした言葉から、研究に没頭する変人を思い浮かべてしまうのだが、詳しく聞くとそうではない。
むしろフランシスは、麗人だと言う。
「白金の髪に、桃色の瞳という稀有な容姿をしていて、それはそれは美しい者です。あのような素晴らしい研究を修めた者がそうした容姿を持っていることにも驚きました」
そう話してくれた文官の顔を見返した。
白金の髪に、桃色の瞳?
脳裏に、夢の中の番の姿が浮かんだのは仕方がないだろう。
彼に会いたいと話しても、彼の父親は「病弱で発作持ちなので、どうぞご容赦ください」と辞退の言葉を繰り返すのみ。
そして叙勲の式典に現れた、双璧の片割れ、ゼファーにフランシスの話を聞こうとしても、彼は冷ややかで、にべもなかった。
「フランシスは病気がちなのです。発作も起こしますので、決して無理に呼び寄せようとしないでください」
彼の茶色の瞳には、憎しみにも似た光が浮かんでいた。
ここ最近の彼らの魔法研究での業績は目覚ましく、二人に叙勲の話が出た。
共に十五歳の天才少年達である。
片や裕福な侯爵家次男、片や貧しい平民出身の少年の二人。
魔法研究において年齢、貴賤は関係ない。
特に魔法研究の専門機関の塔では、その才能の煌めきだけが要求され、いかな高貴な身分であろうと才能無き者は招聘されない。
だからこそ、この二人が稀有な才能を持っていることがわかるだろう。
二人の名前はよく耳にしていた。
自分と同い年である彼らに、式典で会えることを楽しみにしていた。
だが、侯爵家子息のフランシスは叙勲を辞退し、式典にも出席できないと丁寧な断りの連絡が来た。
彼の父である侯爵は額の汗を頻繁に拭きながら答えた。曰く、フランシスは非常に病弱で、五歳の時からたびたび発作を起こしている(注:嘘です)。
なので、皇宮の式典に出席することは彼の精神的負担が大きく、とても出席できないとのことだった。
そこまで大変な発作持ちなら辞退も仕方ないだろうと、皇宮の官吏達はもちろん、皇帝も含めて納得していた。
だが一方で、塔に出入りしたことのある魔法研究を修めた文官・武官の言い分は違った。
「彼は一時も研究から離れたくないんでしょう。塔に朝から夕方までいて、ずっと研究三昧ですから」
「そもそも発作持ちなら、そんなに塔にこもれないだろう」
そうした言葉から、研究に没頭する変人を思い浮かべてしまうのだが、詳しく聞くとそうではない。
むしろフランシスは、麗人だと言う。
「白金の髪に、桃色の瞳という稀有な容姿をしていて、それはそれは美しい者です。あのような素晴らしい研究を修めた者がそうした容姿を持っていることにも驚きました」
そう話してくれた文官の顔を見返した。
白金の髪に、桃色の瞳?
脳裏に、夢の中の番の姿が浮かんだのは仕方がないだろう。
彼に会いたいと話しても、彼の父親は「病弱で発作持ちなので、どうぞご容赦ください」と辞退の言葉を繰り返すのみ。
そして叙勲の式典に現れた、双璧の片割れ、ゼファーにフランシスの話を聞こうとしても、彼は冷ややかで、にべもなかった。
「フランシスは病気がちなのです。発作も起こしますので、決して無理に呼び寄せようとしないでください」
彼の茶色の瞳には、憎しみにも似た光が浮かんでいた。
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