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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第四章 黄金竜の雛は愛しい番のためならば、全てを捧げる

第二十八話 黄金の瞳(下)

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 寝台の上、ユーリスを押し倒しているシルヴェスターは、そのままの体勢で話し始めた。

「黄金竜ウェイズリーは、私を救うため、私と“同化”したのだ」

「……“同化”?」

 聞き返すユーリスに、シルヴェスターはゆっくりと説明した。

「あの時、私は傷を負い死にかけていた。それを助けるためには“同化”するしかないとウェイズリーに言われたのだ。それで私達は“同化”して、黄金竜ウェイズリーは私と一体化した。だから、私はウェイズリーでもあるし、シルヴェスターでもある」

 ユーリスの青い目が見開かれたままであった。
 そんな信じられないような話を聞いて、驚きしかなかった。しかし、確かにシルヴェスターの両眼は黄金色に輝いているのだ。それが間違いなく証拠のようなものであった。

 ウェイズリーの黄金色の瞳。

 ユーリスの震える手が、シルヴェスターの頬に当てられる。

「ウェイズリーが、貴方のにいるのですか」

「そうだ」

 シルヴェスターは困ったような顔で言う。

「うるさい竜だ。お前が大好きで仕方がないようで」

 そう言いかけるシルヴェスターの唇を、ユーリスの方から塞いでしまう。唇を押し付けるようにされる口づけに戸惑うシルヴェスターに、ユーリスはシルヴェスターの背に手を回し、きつく抱きしめた。

「早く私を抱いて下さい」

 唇を離した後、ユーリスはそう言って、自ら服を脱ぎ始める。もどかしげにボタンを外し、シルヴェスターの服もユーリスが脱がそうとする。裸になった二人は寝台の上で身を絡ませ合った。シルヴェスターはユーリスの足を開かせ、彼にのしかかるように愛する。
 シルヴェスターはユーリスを微笑みながら見つめて言った。

「愛しているよ、私のユーリス、私の番」

 シルヴェスターに、そう優しく囁かれる言葉に、ユーリスも微笑みを浮かべて応えた。

「ええ。私も貴方を愛しています」








 恋人であるシルヴェスター王子も
 そして黄金色の小さな竜の雛も
 一人と一頭を彼は愛していた。
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