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第54話 完成!
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「お……」
蘇生させた、まだ人としての形を辛うじて残す成れの果てを見て俺は声を上げる。
「ひょっとして……上手く行ったか?」
蘇生前と蘇生後に、殆ど差異が見受けられない。
これは成功だと思っていいのではないだろうか?
え?
なれの果てなら失敗じゃないのかだって?
それは問題ない。
蘇生する前からなれの果てだったから。
なので蘇生に成功しても、元がそうだと同じような状態で復活するのだ。
「よし、もう一回だ」
殺して蘇生させる。
つぶさに確認するが、変化は起こっていない。
成功だ。
「やっぱあれだな。魔法の構成に欠点があったから、成功率が極端に低かったんだな」
普通は、死者を冒涜し続ける事前提の調整や研究なんてしない。
倫理や思想が邪魔するからだ。
だがそれを排除し、問答無用の連続蘇生を敢行した事で、遂に蘇生魔法は完成した。
やはり研究に倫理など不要。
というのは流石に言い過ぎだが、少なくとも悪人に賭ける情けに関しては冗談抜きで不要だと俺は思っている。
でなきゃこんな事は出来てないからな。
「よしこれで……いや、まだちょっと喜ぶのは早いか」
確かに目の前のなれの果ては、一見完全に蘇生できている様に見えた。
だが元がこれだと、細かい内部的な異常があったとしても気づけていない可能性がある。
「ご苦労さん」
なので、今使ってる奴は廃棄して新しい奴を出す。
「ん?ああ、霧崎医院長か」
適当に引っ張り出してから、それが霧崎だと気づく。
まあだからなんだという話ではあるが。
まずは魔法で体の状態をスキャンする。
今までは目視だけだったが、今回からは正確に測定していく。
「さて」
そのまま心臓をぶち抜き、始末する。
そして蘇生魔法で復活させた。
外見的には完璧だ。
だが内部はそうとは限らない。
「ちょっとした差異で、機能不全起こして死んだりするからな。きっちり確認しないと」
魔法を使って霧崎の体の状態を確認する。
「よし、完璧だな」
成功。
今度こそハッキリとそう言い切れる。
完璧だ。
「う……うぅ……ここは?」
一度死んで蘇生した事で昏睡の魔法が切れたためか、霧崎が目を覚ました。
「お、お前は誰だ!私は……私は確か、そうだ!あの化け物の様な男に酷い目にあわされて……」
「記憶もハッキリしてるみたいだな。じゃあ死ね」
霧崎の頭部に拳を叩きつけて、破裂させる。
頭を破壊したのは故意だ。
ああ、別にムカついたからそうした訳じゃないぞ。
当然実験の為だ。
死に方で蘇生の成功が変わって来るか、問題が出ないかを確認する為の。
さっきは心臓をぶち抜いたから、今度は頭部を粉砕したという訳だ。
「はっ……私は……一体何が……そうだ!お前は一体誰だ!?」
蘇生は問題なく成功。
霧崎が勢いよく起き上り、気を使おうとしたのでチョップする。
「ほげぁ……」
奴の体は俺のチョップを受け、頭頂部分から股間まで引き裂かれて真っ二つになって倒れた。
次は真っ二つからの蘇生である。
そして魔法でチェック。
「ほわぁ!?わ、私は……視界がおかしくなって……」
蘇生させると、死ぬ直前の状況を霧崎が口にする。
どうやら死ぬ直前までの記憶もちゃんと残っている様だな。
そんな事を考えながら再びチョップ。
これは二回やらんと。
左半身と、右半身、それぞれ一回ずつ。
「さ、さっきから一体何を……」
蘇生させた霧崎が言葉を言い切る前に、今度は魔法で凍らせる。
次は凍死からの蘇生だ。
これは細胞全体が壊れてるから、テストとしてはかなり有用と言えるだろう。
「ぐ……うぅ……さ、寒い……」
蘇生させると内部の凍結は解けたが、体に張り付いた氷はそのままだったので霧崎が寒さでガタガタと震える。
「じゃあ暖めてやるよ」
魔法で火だるまにする。
流石に完全に消し炭にしてしまうと蘇生は無理かもしれないので、ある程度炭化した所で火を消してやる。
「よし、しっかり火が通ってるな」
魔法で全身炭化してるかを確認してから蘇生。
その後も色々と殺し方を変えて蘇生するが、どれも全て問題なく蘇生できている。
「最後は……皮だけにしても問題ないか確認するか」
「おい、喜べ。次が最後だぞ」
「ひぃぃぃ……」
殺し続けただけなのに、霧崎の心は完全に折れてしまっていた。
物理的には健全なんだが、どうも死の瞬間の記憶というのは精神に悪影響を与えてしまう様だ。
まあ早々に殺して生き返らせるを繰り返す様な真似はしないだろうから、特段必要な情報ではないが。
俺は霧崎の首をへし折る。
そして奴の死体。
その内部に腐敗の魔法をかけた。
以前、高頭とかいうちゃら男の皮を手に入れる時に使った魔法だ。
内部が腐って消滅し、霧崎がペラペラになる。
俺はそれに蘇生魔法をかけた。
「この状態からでも、障害無く蘇生……と」
もうこの辺りで魔法の検証は十分だろう。
今の俺は完全なる蘇生を手に入れたとハッキリ言い切れる。
「さて、最後とかいったけど……」
よくよく考えたら、蘇生させたらもう一回殺さなければならない。
コイツを解放するとか、そんな選択肢はないからな。
せっかくなので、タリスマンの材料にしよう。
いい感じに心が折れてるしな。
「さっき最後って言ったのは嘘だ。このまま苦しめられるのと、死んで楽になるのどっちがいい?」
俺はぶるぶると震える霧崎に、笑顔でそう尋ねた。
蘇生させた、まだ人としての形を辛うじて残す成れの果てを見て俺は声を上げる。
「ひょっとして……上手く行ったか?」
蘇生前と蘇生後に、殆ど差異が見受けられない。
これは成功だと思っていいのではないだろうか?
え?
なれの果てなら失敗じゃないのかだって?
それは問題ない。
蘇生する前からなれの果てだったから。
なので蘇生に成功しても、元がそうだと同じような状態で復活するのだ。
「よし、もう一回だ」
殺して蘇生させる。
つぶさに確認するが、変化は起こっていない。
成功だ。
「やっぱあれだな。魔法の構成に欠点があったから、成功率が極端に低かったんだな」
普通は、死者を冒涜し続ける事前提の調整や研究なんてしない。
倫理や思想が邪魔するからだ。
だがそれを排除し、問答無用の連続蘇生を敢行した事で、遂に蘇生魔法は完成した。
やはり研究に倫理など不要。
というのは流石に言い過ぎだが、少なくとも悪人に賭ける情けに関しては冗談抜きで不要だと俺は思っている。
でなきゃこんな事は出来てないからな。
「よしこれで……いや、まだちょっと喜ぶのは早いか」
確かに目の前のなれの果ては、一見完全に蘇生できている様に見えた。
だが元がこれだと、細かい内部的な異常があったとしても気づけていない可能性がある。
「ご苦労さん」
なので、今使ってる奴は廃棄して新しい奴を出す。
「ん?ああ、霧崎医院長か」
適当に引っ張り出してから、それが霧崎だと気づく。
まあだからなんだという話ではあるが。
まずは魔法で体の状態をスキャンする。
今までは目視だけだったが、今回からは正確に測定していく。
「さて」
そのまま心臓をぶち抜き、始末する。
そして蘇生魔法で復活させた。
外見的には完璧だ。
だが内部はそうとは限らない。
「ちょっとした差異で、機能不全起こして死んだりするからな。きっちり確認しないと」
魔法を使って霧崎の体の状態を確認する。
「よし、完璧だな」
成功。
今度こそハッキリとそう言い切れる。
完璧だ。
「う……うぅ……ここは?」
一度死んで蘇生した事で昏睡の魔法が切れたためか、霧崎が目を覚ました。
「お、お前は誰だ!私は……私は確か、そうだ!あの化け物の様な男に酷い目にあわされて……」
「記憶もハッキリしてるみたいだな。じゃあ死ね」
霧崎の頭部に拳を叩きつけて、破裂させる。
頭を破壊したのは故意だ。
ああ、別にムカついたからそうした訳じゃないぞ。
当然実験の為だ。
死に方で蘇生の成功が変わって来るか、問題が出ないかを確認する為の。
さっきは心臓をぶち抜いたから、今度は頭部を粉砕したという訳だ。
「はっ……私は……一体何が……そうだ!お前は一体誰だ!?」
蘇生は問題なく成功。
霧崎が勢いよく起き上り、気を使おうとしたのでチョップする。
「ほげぁ……」
奴の体は俺のチョップを受け、頭頂部分から股間まで引き裂かれて真っ二つになって倒れた。
次は真っ二つからの蘇生である。
そして魔法でチェック。
「ほわぁ!?わ、私は……視界がおかしくなって……」
蘇生させると、死ぬ直前の状況を霧崎が口にする。
どうやら死ぬ直前までの記憶もちゃんと残っている様だな。
そんな事を考えながら再びチョップ。
これは二回やらんと。
左半身と、右半身、それぞれ一回ずつ。
「さ、さっきから一体何を……」
蘇生させた霧崎が言葉を言い切る前に、今度は魔法で凍らせる。
次は凍死からの蘇生だ。
これは細胞全体が壊れてるから、テストとしてはかなり有用と言えるだろう。
「ぐ……うぅ……さ、寒い……」
蘇生させると内部の凍結は解けたが、体に張り付いた氷はそのままだったので霧崎が寒さでガタガタと震える。
「じゃあ暖めてやるよ」
魔法で火だるまにする。
流石に完全に消し炭にしてしまうと蘇生は無理かもしれないので、ある程度炭化した所で火を消してやる。
「よし、しっかり火が通ってるな」
魔法で全身炭化してるかを確認してから蘇生。
その後も色々と殺し方を変えて蘇生するが、どれも全て問題なく蘇生できている。
「最後は……皮だけにしても問題ないか確認するか」
「おい、喜べ。次が最後だぞ」
「ひぃぃぃ……」
殺し続けただけなのに、霧崎の心は完全に折れてしまっていた。
物理的には健全なんだが、どうも死の瞬間の記憶というのは精神に悪影響を与えてしまう様だ。
まあ早々に殺して生き返らせるを繰り返す様な真似はしないだろうから、特段必要な情報ではないが。
俺は霧崎の首をへし折る。
そして奴の死体。
その内部に腐敗の魔法をかけた。
以前、高頭とかいうちゃら男の皮を手に入れる時に使った魔法だ。
内部が腐って消滅し、霧崎がペラペラになる。
俺はそれに蘇生魔法をかけた。
「この状態からでも、障害無く蘇生……と」
もうこの辺りで魔法の検証は十分だろう。
今の俺は完全なる蘇生を手に入れたとハッキリ言い切れる。
「さて、最後とかいったけど……」
よくよく考えたら、蘇生させたらもう一回殺さなければならない。
コイツを解放するとか、そんな選択肢はないからな。
せっかくなので、タリスマンの材料にしよう。
いい感じに心が折れてるしな。
「さっき最後って言ったのは嘘だ。このまま苦しめられるのと、死んで楽になるのどっちがいい?」
俺はぶるぶると震える霧崎に、笑顔でそう尋ねた。
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