異世界転生帰りの勇者、自分が虐められていた事を思い出す~なんか次々トラブルが起こるんだが?取り敢えず二度と手出しできない様に制圧するけどさ~

榊与一

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第55話 チョッキンチョッキン

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「だいぶ余ったな……」

捕縛している人間はまだ40人以上いる。
そのままタリスマンチャレンジでもいいのだが……

「折角だし、他の魔法の練習もしとくか」

山田の妹の事を思い浮かべる。
彼女は辛い経験の記憶で、今なお苦しんでいる。
まあ多少はマシになっては来ている様だが、内容的に一生引きずってもおかしくはない。

「その対処をするなら、記憶系の魔法なんだが……」

記憶の切り取りは出来るが、俺の腕ではかなりざっくりした物となってしまう。
なのでヘタに弄ると、人格に大きな障害が出る恐れがあった。
だから山田の妹にはその処置を施していないのだ。

だが、俺がより精密に魔法を扱えるようになったなら?
切り取る部位を最小限に抑える事が出来たならば、障害なく記憶を消してやれるのではないか?

「いやでも……トラウマでフラッシュバックしまくってるらしいし、根本の記憶をピンポイントとは言え抜いちまったら影響は避けられないか」

苦しんだ思い出はあるのにそれが何か全く分からないとか、逆に怖くてしょうがないだろうからな。
まあ俺なら母関連以外はたいして気にしないが……他人はそうもいかない。

「記憶を完全に取り除くんじゃなくて、薄れさせる方法があればいいんだがな……細かく歯隙状にしたら、思い出すけどぼやけた記憶とかに出来んかな?」

取り敢えず記憶のカットの精度を上げる為、俺は次の奴を取り出し叩き起こした。

「こ、ここはどこだ!?テメーは一体!?」

「俺か?俺は安田孝仁って言うんだ」

相手は亀井会の下っ端だ。
俺は自己紹介をしてから魔法をかけて、相手の最新の記憶を最小限削り取る。

「な、なんだここは!?どうなってやがる!?」

「俺が誰かわかるか?」

慌てふためく男に問いかける。

「だ、誰だテメーは!ここはどこだ!?ほげっ!?」

問いには答えず興奮して掴みかかって来たので、殴り倒す。

「お前の直前の記憶を言え」

「ふ、ふざ――ぎゃあああ!?」

反抗しようとしたので腕を折って、もう一度問う。

「こ、こんな真似をして――ああああぁぁぁぁ!!」

痛みに苦しみながらも反抗的な目を向けて来たので、右の目玉をくり貫いてやる。

「面倒くさい事させんなよな。早く答えろ。ジャンジャン続けてくぞ?」

「う、うぅ……わ、分かった……俺は問題があるって……だから会長の屋敷を警備しろって言われて……それで車で向かってる途中で……そこからは……そこからは……あれ?そこからどうなったんだ?」

「車に乗ってた時間帯は何時ぐらいだ?」

「た、たぶん……20時ぐらいだと……」

俺が亀井会を襲ったのは深夜の2時ぐらいだ。
つまりこいつの記憶は、6時間程消えている事になる。

最小単位が六時間は流石に長い。
違和感なく歯隙状に記憶を抜き取ってとやるなら、0、1秒単位の精度が必要になってくるだろう。

ちょっときつい気もするが……まあやるだけやってみようか。

「よし、じゃあ――」

まずは徹底的に痛めつけて従順にさせ、俺は古い記憶から確認しながらカットを始める。
切れば切る程精神が不安定になって行くが、使い捨てだから問題ない。
被検体はまだいっぱいいるしな。

さあ、チョッキンチョッキンしまくるぞ!
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