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王子暗殺
おめでた
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とある侍女Aの証言。
「え~、お嬢様がラ~さんの事聞いてくるなんて珍しいじゃないですかぁ」
言われて確かに、と考える。
というかラーの事を、用があって居場所を聞く以外で誰かに尋ねるのは初めての事かもしれない。
侍女達の話題にはよく上るイケメンだから、全く彼について彼女達と会話しなかったわけではないけれど。
聞かれる事はあっても、自分から何か尋ねた事はない気がする。
まあでもラーを恋愛的な目で見た事が無いのだから、それは当たり前と言えば当たり前の事なのかもしれない。
彼は超好みのイケメンではあるのだが、子供の頃から傍にいるのと、慇懃過ぎるためそういった対象にはならなかったのだ。
ラーの事を一言で言い現すのなら、私にとって年の離れた兄と言った所だろうか。
おべっかを使って来る事を除けば、大体そんな感じで間違いないだろう。
「それで、最近何か変わった事はないかしら?」
「え~、変わった事ですか~?」
しかしいつ聞いても彼女の声は甘ったるい。
これで顔が良ければさぞモテた事だろう。
だが残念ながら彼女は私寄りなので、そう言った話は聞かない。
ま、流石に私程酷くはないから。
その内誰か良い人捕まえる程度の器量はあるんだけどね。
家柄も子爵とそこまで低くはないわけだし。
「実はぁ、スッゴイ報告があるんですよぉ」
!?
いきなり一人目にして大当たりか。
ひょっとして私って探偵の才能があったりするのかしら?
「実はぁ~、わたしぃ~、婚約が決まったんですよぉ~」
「ええ!?ほんとに!?凄いじゃない!おめでとう!!」
「ありがとうございますぅ~」
侍女Aは胸の前で両手を組んで体をくねくね動かす。
なんか魔力を奪われそうな奇妙な動きだが、きっと彼女なりのテレを表現するボディーランゲージなのだろう。
いやー、しかしびっくりしたわ。
その内とか考えた次の瞬間におめでた報告だもん。
私って超能力でもあるのかしら?
「厚かましいお願いかも知れないんですけどぉ。結婚式にはぁ、お嬢様に是非お越し頂きたいなぁってぇ~」
「勿論よ!喜んで出席させて貰うわ!」
「本当ですかぁ。約束ですよぉ」
「ええ」
ちょっとミスったかな。
返事してから気づく。
ノリで元気よく返事しまったけど。
考えて見たら彼女が来て欲しいのは、王家に輿入れした私なんだよねぇ。
王子と結婚するかどうかは正直かなり微妙だから、彼女の期待を裏切ることになっちゃうかも……そう考えると、断った方が良いのだろうか?
だがそれはそれであれな気もするしなぁ……うーん、困った。
まあ最悪侯爵令嬢の肩書は家から追い出されない限り無くならない訳だし。
出ないよりはましだろうから、彼女にはその辺り妥協して貰うとしよう。
「じゃあわたしぃ、仕事がありますんでぇ。これで失礼しますねぇ」
「時間取らせちゃってごめんね」
「いいえぇ、私としては報告が出来て丁度良かったですぅ。それじゃぁ、絶対に出てくださいねぇ」
そう言うと彼女は一礼して部屋から去っていく。
その足取りはよても軽やかで、幸せそうな雰囲気が全身から醸し出されていた。
正に幸せいっぱいと言った感じだ。
いやそれにしてもめでたいわぁ。
彼女には是非幸せになって欲しいものね。
……って!
聞きたい話何にも聞けてないじゃない!
むうう、私とした事が。
完全に彼女の幸せオーラに飲まれてしまっていたわ。
ひょとして私。
探偵の才が無いのかしら。
自分の失態に思わず溜息を吐いてしまう。
どうやら私には探偵の才が無いらしい。
まあ侯爵令嬢にそんな才能は別にいらないのだけれども。
今更もう一度呼び出して彼女に聞き直すのもあれだ。
仕方ない、次いこう次。
こうして私の最初の聞き込みは失敗に終わるのだった。
つ づ く
「え~、お嬢様がラ~さんの事聞いてくるなんて珍しいじゃないですかぁ」
言われて確かに、と考える。
というかラーの事を、用があって居場所を聞く以外で誰かに尋ねるのは初めての事かもしれない。
侍女達の話題にはよく上るイケメンだから、全く彼について彼女達と会話しなかったわけではないけれど。
聞かれる事はあっても、自分から何か尋ねた事はない気がする。
まあでもラーを恋愛的な目で見た事が無いのだから、それは当たり前と言えば当たり前の事なのかもしれない。
彼は超好みのイケメンではあるのだが、子供の頃から傍にいるのと、慇懃過ぎるためそういった対象にはならなかったのだ。
ラーの事を一言で言い現すのなら、私にとって年の離れた兄と言った所だろうか。
おべっかを使って来る事を除けば、大体そんな感じで間違いないだろう。
「それで、最近何か変わった事はないかしら?」
「え~、変わった事ですか~?」
しかしいつ聞いても彼女の声は甘ったるい。
これで顔が良ければさぞモテた事だろう。
だが残念ながら彼女は私寄りなので、そう言った話は聞かない。
ま、流石に私程酷くはないから。
その内誰か良い人捕まえる程度の器量はあるんだけどね。
家柄も子爵とそこまで低くはないわけだし。
「実はぁ、スッゴイ報告があるんですよぉ」
!?
いきなり一人目にして大当たりか。
ひょっとして私って探偵の才能があったりするのかしら?
「実はぁ~、わたしぃ~、婚約が決まったんですよぉ~」
「ええ!?ほんとに!?凄いじゃない!おめでとう!!」
「ありがとうございますぅ~」
侍女Aは胸の前で両手を組んで体をくねくね動かす。
なんか魔力を奪われそうな奇妙な動きだが、きっと彼女なりのテレを表現するボディーランゲージなのだろう。
いやー、しかしびっくりしたわ。
その内とか考えた次の瞬間におめでた報告だもん。
私って超能力でもあるのかしら?
「厚かましいお願いかも知れないんですけどぉ。結婚式にはぁ、お嬢様に是非お越し頂きたいなぁってぇ~」
「勿論よ!喜んで出席させて貰うわ!」
「本当ですかぁ。約束ですよぉ」
「ええ」
ちょっとミスったかな。
返事してから気づく。
ノリで元気よく返事しまったけど。
考えて見たら彼女が来て欲しいのは、王家に輿入れした私なんだよねぇ。
王子と結婚するかどうかは正直かなり微妙だから、彼女の期待を裏切ることになっちゃうかも……そう考えると、断った方が良いのだろうか?
だがそれはそれであれな気もするしなぁ……うーん、困った。
まあ最悪侯爵令嬢の肩書は家から追い出されない限り無くならない訳だし。
出ないよりはましだろうから、彼女にはその辺り妥協して貰うとしよう。
「じゃあわたしぃ、仕事がありますんでぇ。これで失礼しますねぇ」
「時間取らせちゃってごめんね」
「いいえぇ、私としては報告が出来て丁度良かったですぅ。それじゃぁ、絶対に出てくださいねぇ」
そう言うと彼女は一礼して部屋から去っていく。
その足取りはよても軽やかで、幸せそうな雰囲気が全身から醸し出されていた。
正に幸せいっぱいと言った感じだ。
いやそれにしてもめでたいわぁ。
彼女には是非幸せになって欲しいものね。
……って!
聞きたい話何にも聞けてないじゃない!
むうう、私とした事が。
完全に彼女の幸せオーラに飲まれてしまっていたわ。
ひょとして私。
探偵の才が無いのかしら。
自分の失態に思わず溜息を吐いてしまう。
どうやら私には探偵の才が無いらしい。
まあ侯爵令嬢にそんな才能は別にいらないのだけれども。
今更もう一度呼び出して彼女に聞き直すのもあれだ。
仕方ない、次いこう次。
こうして私の最初の聞き込みは失敗に終わるのだった。
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