目の前で不細工だと王子に笑われ婚約破棄されました。余りに腹が立ったのでその場で王子を殴ったら、それ以来王子に復縁を迫られて困っています

榊与一

文字の大きさ
24 / 35
王子暗殺

おめでた

しおりを挟む
とある侍女Aの証言。

「え~、お嬢様がラ~さんの事聞いてくるなんて珍しいじゃないですかぁ」

言われて確かに、と考える。
というかラーの事を、用があって居場所を聞く以外で誰かに尋ねるのは初めての事かもしれない。
侍女達の話題にはよく上るイケメンだから、全く彼について彼女達と会話しなかったわけではないけれど。
聞かれる事はあっても、自分から何か尋ねた事はない気がする。

まあでもラーを恋愛的な目で見た事が無いのだから、それは当たり前と言えば当たり前の事なのかもしれない。
彼は超好みのイケメンではあるのだが、子供の頃から傍にいるのと、慇懃過ぎるためそういった対象にはならなかったのだ。

ラーの事を一言で言い現すのなら、私にとって年の離れた兄と言った所だろうか。
おべっかを使って来る事を除けば、大体そんな感じで間違いないだろう。

「それで、最近何か変わった事はないかしら?」

「え~、変わった事ですか~?」

しかしいつ聞いても彼女の声は甘ったるい。
これで顔が良ければさぞモテた事だろう。
だが残念ながら彼女は私寄りなので、そう言った話は聞かない。

ま、流石に私程酷くはないから。
その内誰か良い人捕まえる程度の器量はあるんだけどね。
家柄も子爵とそこまで低くはないわけだし。

「実はぁ、スッゴイ報告があるんですよぉ」

!?
いきなり一人目にして大当たりか。
ひょっとして私って探偵の才能があったりするのかしら?

「実はぁ~、わたしぃ~、婚約が決まったんですよぉ~」

「ええ!?ほんとに!?凄いじゃない!おめでとう!!」

「ありがとうございますぅ~」

侍女Aは胸の前で両手を組んで体をくねくね動かす。
なんか魔力を奪われそうな奇妙な動きだが、きっと彼女なりのテレを表現するボディーランゲージなのだろう。

いやー、しかしびっくりしたわ。
その内とか考えた次の瞬間におめでた報告だもん。
私って超能力でもあるのかしら?

「厚かましいお願いかも知れないんですけどぉ。結婚式にはぁ、お嬢様に是非お越し頂きたいなぁってぇ~」

「勿論よ!喜んで出席させて貰うわ!」

「本当ですかぁ。約束ですよぉ」

「ええ」

ちょっとミスったかな。
返事してから気づく。

ノリで元気よく返事しまったけど。
考えて見たら彼女が来て欲しいのは、王家に輿入れした私なんだよねぇ。
王子と結婚するかどうかは正直かなり微妙だから、彼女の期待を裏切ることになっちゃうかも……そう考えると、断った方が良いのだろうか?

だがそれはそれであれな気もするしなぁ……うーん、困った。
まあ最悪侯爵令嬢の肩書は家から追い出されない限り無くならない訳だし。
出ないよりはましだろうから、彼女にはその辺り妥協して貰うとしよう。

「じゃあわたしぃ、仕事がありますんでぇ。これで失礼しますねぇ」

「時間取らせちゃってごめんね」

「いいえぇ、私としては報告が出来て丁度良かったですぅ。それじゃぁ、絶対に出てくださいねぇ」

そう言うと彼女は一礼して部屋から去っていく。
その足取りはよても軽やかで、幸せそうな雰囲気が全身から醸し出されていた。
正に幸せいっぱいと言った感じだ。

いやそれにしてもめでたいわぁ。
彼女には是非幸せになって欲しいものね。


……って!
聞きたい話何にも聞けてないじゃない!
むうう、私とした事が。
完全に彼女の幸せオーラに飲まれてしまっていたわ。

ひょとして私。
探偵の才が無いのかしら。

自分の失態に思わず溜息を吐いてしまう。
どうやら私には探偵の才が無いらしい。
まあ侯爵令嬢にそんな才能は別にいらないのだけれども。

今更もう一度呼び出して彼女に聞き直すのもあれだ。
仕方ない、次いこう次。

こうして私の最初の聞き込みは失敗に終わるのだった。

つ づ く
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで

越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。 国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。 孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。 ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――? (……私の体が、勝手に動いている!?) 「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」 死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?  ――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

処理中です...