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第23話 泉の水
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ゲヘンを壊滅させ、そこから都市長宅を襲撃してヨクバン・ゲイズを抹殺。
最後に裏門を守っている奴らを始末して俺はメゲズを後にする。
若干後ろ髪を引かれる思いだったが、子供達はドワーブン姉妹が守ってくれるから大丈夫だろうと、未練を断ち切って俺は東へと向かう。
目指すは国境付近のとある場所だ。
「やっとついたか」
国の東端。
隣国2つとの境目にある三角の国境付近には、一本の巨木の残骸が残っていた。
それはかつて、神の祝福を受けた世界樹と謳われた木だ。
この木を取り合い、かつては三国が争っていた。
結局は戦争で流れた夥しい血によって汚れた世界樹は、その神聖な力を失い枯れてしまったとされれている。
当時の世界樹の気分はきっと――
『私の為に争うのは止めて!』
――状態だった事だろう。
まあそんな事はどうでもいい。
要はこの元世界樹の根元に、隠しダンジョンがあるという事だ。
但し、ここのはクリア後に行けるタイプのダンジョンではない。
ゲーム中に見つけて普通に入れるタイプである。
だからレベルもそこまで高くないし、強力なアイテムなんかもここでは手に入れる事は出来ない。
じゃあなんで来たのか?
此処で手に入れるアイテムが、バグ利用して入るクリア後の隠しダンジョンで役に立つからだ。
「普通に戦ったんじゃ、隠しダンジョンの敵は絶対倒せないからな」
ラスボスである邪神の直前に戦うボス、邪教の宗主のレベルは80だ。
そして隠しダンジョンの雑魚敵のレベルだが――
一番弱い者でも80あったりする。
当然強さも、HP以外は大ボスである宗主と同等かそれ以上。
天才とは言え、レベル43しかない今の俺には到底手が出ない相手だ。
一対一でも確実に負ける。
マジ無理ゲー。
「それを打開する為のアイテムが、ここのダンジョンにある訳だ」
2週目以降はこのダンジョンでアイテムを手に入れて、先に隠しダンジョンへ行くというのが俺のお勧めプレイである。
先に隠しダンジョンで装備を強化すれば、本編がヌルゲー化して無双ごっこ出来るからだ。
「さて、入るか」
袋から戦斧を取り出し、俺は根っこの一部を薙ぎ払った。
そこに人ひとり通れるサイズの穴が姿を現す。
「イルミネーション」
中は真っ暗だが、ゲリュオンは光魔法も使えるので問題ない。
え?
悪人に光魔法は似合わない?
まあ普通ならそうなんだが、ゲリュオン家は元々邪神を滅ぼした勇者の家系だからな。
基本的に一族の属性は光だし、ゲリュオン伯爵家ではそれに合わせて幼少期に光魔法を習う習慣がある。
エヴァン・ゲリュオンが光魔法を使えるのは、そう言う設定からだ。
ゲーム内じゃ全く使ってこないけど。
中にいる魔物は昆虫や植物系だ。
レベルは20程度で、大した強さではない。
そいつらをサクサク狩りながら、俺は螺旋状に続くダンジョンを地下へと降りていく。
「よし、ついた」
世界樹跡のダンジョン。
その最下層には、湧水が湧き出ていた。
世界樹の泉と呼ばれる場所で、ここの泉の水には世界樹の神秘的な力が秘められている。
俺は事前にメゲズで購入していた大量の瓶を取り出し、泉の水をそこに入れて零れない様封を施していく。
世界樹の神秘的な力を秘めているなら、さぞかし優秀な効果があるに違いない
ゲームを良くしている人間の感覚なら――
HPやMPが全快復。
ありとあらゆる状態異常が回復。
ステータスの上昇。
死者の蘇生。
このうちの一つ。
もしくは、複数あると考える筈だ。
だが残念ながら、この水にはそこまでの力はない。
使用時の効果は、心を穏やかにするという物だけだ。
アロマの強力版だと思って貰えればいいだろう。
心を穏やかにする効果ってなんだよと、そう思うかもしれない。
まあ用途は二つ。
一つは、狂戦士化の解除だ。
心を荒ぶらせ狂わせる事で、肉体のリミットを外して強化するのがバーサクである。
逆に言うと、心を静められさえすればその状態は解けるという訳だ。
「まあそっちの効果で使う事は、殆どないけど」
何故なら、バーサクは敵にかける場合成功率が極端に低くなるからだ。
敵が使って来た場合も同じで、かからない以上、狂化解除の用途で使われる事は極端に少ない。
このアイテムのメインは、もう一つの使用方法にある。
もう一つの効果、それは――
心を落ち着かせ、魔物の戦闘欲求を押さえるという物だ。
「この水を使えば、敵はスルーし放題だからな」
魔物の行動は、大まかに分けると3タイプ。
此方から攻撃などの敵対行動をしない限り、襲ってこない大人しいタイプ。
自分のテリトリー内に入ると、攻撃してくるタイプ――テリトリーの範囲は敵によってまちまち。
そして、人間を見つけると問答無用で攻撃してくる凶暴なタイプだ。
で、ダンジョン内で敵をスルーする場合だが――
1番目は、そもそも手を出さなければ無害なので問題ない。
2番目も、戦闘開始範囲はたいして広くないので、不用意に近づかなければいいだけだ。
だが見つけ次第襲い掛かって来る3番目だけは、どうあっても戦闘を避けるのが難しい。
しかもダンジョン内では、このタイプが一番多かったりする。
――そこで役に立つのが、精神を落ち着かせて攻撃欲求を押さえるこの泉の水だ。
乱暴な魔物もこの水を喰らえば、一時的に大人しくする事が出来た。
そして落ち着いている間に、さっさと抜ければ戦闘を避ける事が出来る。
――そう、俺はその効果を使って、隠しダンジョンの強力な魔物をガン無視するために水を取りに来たのだ。
敵を無視して、まずはダンジョン内の強力な装備を先に手に入れる。
そしてその装備で自身を強化し、それから魔物を狩ってレベルを上げていく。
それが俺のプランである。
「ダンジョン内の強力な装備さえ手に入れば、ゲリュオンなら、弱めの敵を単体撃破くらい出来る様になるはず」
という訳で、俺は大量の瓶に泉の水をストックし、隠しダンジョンへと向かうのだった。
あ、因みに。
攻撃欲求を下げられるのは最初の一回だけなので、攻撃と瓶投げを繰り返して一方的に倒す様な真似は出来ない様になっている。
流石にゲーム会社も、それを許す程バカではないという事だ。
――まあ、隠しダンジョン入場のバグはあるけど。
最後に裏門を守っている奴らを始末して俺はメゲズを後にする。
若干後ろ髪を引かれる思いだったが、子供達はドワーブン姉妹が守ってくれるから大丈夫だろうと、未練を断ち切って俺は東へと向かう。
目指すは国境付近のとある場所だ。
「やっとついたか」
国の東端。
隣国2つとの境目にある三角の国境付近には、一本の巨木の残骸が残っていた。
それはかつて、神の祝福を受けた世界樹と謳われた木だ。
この木を取り合い、かつては三国が争っていた。
結局は戦争で流れた夥しい血によって汚れた世界樹は、その神聖な力を失い枯れてしまったとされれている。
当時の世界樹の気分はきっと――
『私の為に争うのは止めて!』
――状態だった事だろう。
まあそんな事はどうでもいい。
要はこの元世界樹の根元に、隠しダンジョンがあるという事だ。
但し、ここのはクリア後に行けるタイプのダンジョンではない。
ゲーム中に見つけて普通に入れるタイプである。
だからレベルもそこまで高くないし、強力なアイテムなんかもここでは手に入れる事は出来ない。
じゃあなんで来たのか?
此処で手に入れるアイテムが、バグ利用して入るクリア後の隠しダンジョンで役に立つからだ。
「普通に戦ったんじゃ、隠しダンジョンの敵は絶対倒せないからな」
ラスボスである邪神の直前に戦うボス、邪教の宗主のレベルは80だ。
そして隠しダンジョンの雑魚敵のレベルだが――
一番弱い者でも80あったりする。
当然強さも、HP以外は大ボスである宗主と同等かそれ以上。
天才とは言え、レベル43しかない今の俺には到底手が出ない相手だ。
一対一でも確実に負ける。
マジ無理ゲー。
「それを打開する為のアイテムが、ここのダンジョンにある訳だ」
2週目以降はこのダンジョンでアイテムを手に入れて、先に隠しダンジョンへ行くというのが俺のお勧めプレイである。
先に隠しダンジョンで装備を強化すれば、本編がヌルゲー化して無双ごっこ出来るからだ。
「さて、入るか」
袋から戦斧を取り出し、俺は根っこの一部を薙ぎ払った。
そこに人ひとり通れるサイズの穴が姿を現す。
「イルミネーション」
中は真っ暗だが、ゲリュオンは光魔法も使えるので問題ない。
え?
悪人に光魔法は似合わない?
まあ普通ならそうなんだが、ゲリュオン家は元々邪神を滅ぼした勇者の家系だからな。
基本的に一族の属性は光だし、ゲリュオン伯爵家ではそれに合わせて幼少期に光魔法を習う習慣がある。
エヴァン・ゲリュオンが光魔法を使えるのは、そう言う設定からだ。
ゲーム内じゃ全く使ってこないけど。
中にいる魔物は昆虫や植物系だ。
レベルは20程度で、大した強さではない。
そいつらをサクサク狩りながら、俺は螺旋状に続くダンジョンを地下へと降りていく。
「よし、ついた」
世界樹跡のダンジョン。
その最下層には、湧水が湧き出ていた。
世界樹の泉と呼ばれる場所で、ここの泉の水には世界樹の神秘的な力が秘められている。
俺は事前にメゲズで購入していた大量の瓶を取り出し、泉の水をそこに入れて零れない様封を施していく。
世界樹の神秘的な力を秘めているなら、さぞかし優秀な効果があるに違いない
ゲームを良くしている人間の感覚なら――
HPやMPが全快復。
ありとあらゆる状態異常が回復。
ステータスの上昇。
死者の蘇生。
このうちの一つ。
もしくは、複数あると考える筈だ。
だが残念ながら、この水にはそこまでの力はない。
使用時の効果は、心を穏やかにするという物だけだ。
アロマの強力版だと思って貰えればいいだろう。
心を穏やかにする効果ってなんだよと、そう思うかもしれない。
まあ用途は二つ。
一つは、狂戦士化の解除だ。
心を荒ぶらせ狂わせる事で、肉体のリミットを外して強化するのがバーサクである。
逆に言うと、心を静められさえすればその状態は解けるという訳だ。
「まあそっちの効果で使う事は、殆どないけど」
何故なら、バーサクは敵にかける場合成功率が極端に低くなるからだ。
敵が使って来た場合も同じで、かからない以上、狂化解除の用途で使われる事は極端に少ない。
このアイテムのメインは、もう一つの使用方法にある。
もう一つの効果、それは――
心を落ち着かせ、魔物の戦闘欲求を押さえるという物だ。
「この水を使えば、敵はスルーし放題だからな」
魔物の行動は、大まかに分けると3タイプ。
此方から攻撃などの敵対行動をしない限り、襲ってこない大人しいタイプ。
自分のテリトリー内に入ると、攻撃してくるタイプ――テリトリーの範囲は敵によってまちまち。
そして、人間を見つけると問答無用で攻撃してくる凶暴なタイプだ。
で、ダンジョン内で敵をスルーする場合だが――
1番目は、そもそも手を出さなければ無害なので問題ない。
2番目も、戦闘開始範囲はたいして広くないので、不用意に近づかなければいいだけだ。
だが見つけ次第襲い掛かって来る3番目だけは、どうあっても戦闘を避けるのが難しい。
しかもダンジョン内では、このタイプが一番多かったりする。
――そこで役に立つのが、精神を落ち着かせて攻撃欲求を押さえるこの泉の水だ。
乱暴な魔物もこの水を喰らえば、一時的に大人しくする事が出来た。
そして落ち着いている間に、さっさと抜ければ戦闘を避ける事が出来る。
――そう、俺はその効果を使って、隠しダンジョンの強力な魔物をガン無視するために水を取りに来たのだ。
敵を無視して、まずはダンジョン内の強力な装備を先に手に入れる。
そしてその装備で自身を強化し、それから魔物を狩ってレベルを上げていく。
それが俺のプランである。
「ダンジョン内の強力な装備さえ手に入れば、ゲリュオンなら、弱めの敵を単体撃破くらい出来る様になるはず」
という訳で、俺は大量の瓶に泉の水をストックし、隠しダンジョンへと向かうのだった。
あ、因みに。
攻撃欲求を下げられるのは最初の一回だけなので、攻撃と瓶投げを繰り返して一方的に倒す様な真似は出来ない様になっている。
流石にゲーム会社も、それを許す程バカではないという事だ。
――まあ、隠しダンジョン入場のバグはあるけど。
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