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王都へ
第27話 学園案内
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アークアとクリフと分かれ図書館を後にした俺は、いろんな場所を回ってから最後に騎士学園へと案内される。
「凄い立派な場所だな」
長く続く高い柵に囲まれた広大な敷地。
その巨大な門には武装している守衛が立っており、警備は厳重な様だった。
「何せここは、王国の精鋭を輩出する学び舎ですからね。私も最初見た時は圧倒されました」
「俺はどうって事ありませんでしたけど」
「何よ。自分だけ格好つけちゃって。タロイモも『おおっ!』みたいな顔してたじゃないの」
「お前の見間違いだ」
「まったく、意地っ張りなんだから。行きましょ、師匠」
兄とのやり取りを切り上げ、ベニイモが俺の腕を引っ張って門へと向かう。
「ん?ベニイモ、その子は?部外者は通せないぞ」
門に近づくと守衛が声をかけて来た。
名前を知っている辺り、ベニイモとは知り合いの様だな。
「ワードックさん。この人は私のし――あいたぁっ!」
師匠と言おうとしたので、素早く脛を蹴ってベニイモを止める。
ホントこいつはペラペラと。
「彼は俺達の村から出て来た子で、学園を案内しようと思ってます」
ベニイモに変わってタロイモが俺を紹介してくれる。
ちゃんと配慮出来る辺り、偉いぞ。
まあ目の前で妹が痛い目見たので、当たり前と言えば当たり前ではあるが。
「ちゃんと学園にも許可をとっていますんで」
タロイモが、何か紙を守衛に見せた。
まあ許可証か何かだろう。
「ふむ。分かった。通っていいぞ」
許可を貰って中に入る。
内部には大きな運動場や、立派な建物がいくつも立っていた。
今日は休日らしいので、見える範囲にいる生徒達とおぼしき人影はまばらだ。
「まずは私達の学生寮に案内しますね」
案内されたのは、綺麗な四階建ての建物だ。
それが二棟、連なる様に並んでいる。
「こっちが女子寮で、あっちが男子寮になってます」
地球だと、戦いなんかは男の仕事的なイメージがある。
だがこの世界では女でも普通に騎士になったりするため、この学園に通う女生徒の数は多い。
「良い所に住んでんなぁ」
「何せ、国に仕える騎士育成の場ですから。いうなればエリートの集団。その中でもトップクラスの私達って凄いんですよ、師匠。まあもちろん師匠程じゃないですけど」
「はいはい」
一々俺を比較に出さなくていいっての。
「部屋は三人一組で、全部でだいたい400人がこの寮で生活してるんですよ」
「学園は4年生だから、1学年100人って所か」
「貴族や首都住まいのこなんかは寮外から通ったりしてるんで、実際はもう少し多いんですけどね」
知らん奴と三人一組で生活させられるとか、好んでする奴は少ないだろう。
外から通える奴は、まあそっちを選択するわな。
「本当は私の部屋までお見せしたいんですけど、部外者の寮への立ち入りは禁止されてますから。外観だけでご勘弁を。あ、ちなみに私の部屋は凄く綺麗ですよ!タロイモと違って!」
どうやら生徒の寝泊まりする場所は立ち入り禁止の様だ。
まあ外部からの人間を無軌道に生徒達のプライベートな空間に入れたら、問題が出るかもしれないからな。
当然と言えば当然なのかもしれない。
「おい、その言い方だと俺が部屋を汚してるように聞こえるだろうが。他の奴らがやってる事ですから、勘違いしないでください師匠」
「ああ」
「はいはい。じゃあ次は訓練場に案内しますね」
「あのグラウンドじゃなくて?」
「はい。訓練専用の建物があるんですよ」
寮に行くのにグランドの横を通っている。
どうやら、あそことは別に専用の施設がある様だ。
「こっちです」
案内されたのは、ドーム状の建物だった。
中に入ると多くの生徒が剣を持って訓練している風景が目に入って来る。
「休みだってのに、皆熱心なもんだ」
「皆、強くなるためにここに来てますから。俺達もダンジョンへ行くとき以外は、休日もここで鍛錬してます」
「相変わらず努力家だな、タロイモ達は」
「師匠達に厳しく鍛えられましたんで」
「そうそう」
スパルタ式で鍛えたのはソアラなのだが、何故かそこに俺も加えられてしまっていた。
理不尽な話である。
「あ、そうそう。実は師匠に紹介人が居まして」
「俺に紹介したい人?」
「はい。私と寮で同室の、2個上の先輩でエンデさんって言う人です。実はその人は何と、何と――」
ベニイモが勿体ぶる感じを見せる。
誰か有名人なのだろうか?
「あのゾーン・バルターの娘さんなんですよ!」
「へぇ……」
「ありゃ、反応薄いですね。王国最強の騎士、ゾーン・バルターの娘さんなんですよ?」
「いやまあ……いう程興味ないからなぁ」
最強の騎士ってのはカッコイイ肩書だとは思う。
しかも市民で、だ。
だが俺が目指すのはスローライフなので、そう言うのに対する憧れは薄い。
まあその最強の騎士と引き分けた勇者が、ごく身近な人間ってのもあるか。
「騎士ならだれもが憧れる人の娘さんなんですけど、まあ師匠は第二のゾーン・バルターですからしょうがないですね」
「その呼び方止めろってのに」
「まあでも先輩に紹介するって言って来てるんで、こっちです」
ベニイモが俺の腕を引っぱる。
木剣を一心不乱に振るう、黒髪ショートの女性の元へと向かって。
「先輩!うちの天才師匠を連れてきました!!」
「!?」
唐突なベニイモの大声に、訓練していた周囲の学生の視線が一斉に此方へと向く。
腕を引かれている状態だったので、咄嗟に蹴りで止められなかった。
失態だ。
「お前な……」
まあ天才師匠って言葉を鵜呑みにする輩は少ないだろうから、そこまで気にする必要はないだろうが。
「貴方が噂の……初めまして、私はエンデ。ベニイモちゃんとは同室で仲良くさせて貰ってるわ。よろしくね、アドル師匠」
エンデが悪戯っぽく笑う。
中々の美人さんだ。
この人がゾーン・バルターの娘さんか。
「凄い立派な場所だな」
長く続く高い柵に囲まれた広大な敷地。
その巨大な門には武装している守衛が立っており、警備は厳重な様だった。
「何せここは、王国の精鋭を輩出する学び舎ですからね。私も最初見た時は圧倒されました」
「俺はどうって事ありませんでしたけど」
「何よ。自分だけ格好つけちゃって。タロイモも『おおっ!』みたいな顔してたじゃないの」
「お前の見間違いだ」
「まったく、意地っ張りなんだから。行きましょ、師匠」
兄とのやり取りを切り上げ、ベニイモが俺の腕を引っ張って門へと向かう。
「ん?ベニイモ、その子は?部外者は通せないぞ」
門に近づくと守衛が声をかけて来た。
名前を知っている辺り、ベニイモとは知り合いの様だな。
「ワードックさん。この人は私のし――あいたぁっ!」
師匠と言おうとしたので、素早く脛を蹴ってベニイモを止める。
ホントこいつはペラペラと。
「彼は俺達の村から出て来た子で、学園を案内しようと思ってます」
ベニイモに変わってタロイモが俺を紹介してくれる。
ちゃんと配慮出来る辺り、偉いぞ。
まあ目の前で妹が痛い目見たので、当たり前と言えば当たり前ではあるが。
「ちゃんと学園にも許可をとっていますんで」
タロイモが、何か紙を守衛に見せた。
まあ許可証か何かだろう。
「ふむ。分かった。通っていいぞ」
許可を貰って中に入る。
内部には大きな運動場や、立派な建物がいくつも立っていた。
今日は休日らしいので、見える範囲にいる生徒達とおぼしき人影はまばらだ。
「まずは私達の学生寮に案内しますね」
案内されたのは、綺麗な四階建ての建物だ。
それが二棟、連なる様に並んでいる。
「こっちが女子寮で、あっちが男子寮になってます」
地球だと、戦いなんかは男の仕事的なイメージがある。
だがこの世界では女でも普通に騎士になったりするため、この学園に通う女生徒の数は多い。
「良い所に住んでんなぁ」
「何せ、国に仕える騎士育成の場ですから。いうなればエリートの集団。その中でもトップクラスの私達って凄いんですよ、師匠。まあもちろん師匠程じゃないですけど」
「はいはい」
一々俺を比較に出さなくていいっての。
「部屋は三人一組で、全部でだいたい400人がこの寮で生活してるんですよ」
「学園は4年生だから、1学年100人って所か」
「貴族や首都住まいのこなんかは寮外から通ったりしてるんで、実際はもう少し多いんですけどね」
知らん奴と三人一組で生活させられるとか、好んでする奴は少ないだろう。
外から通える奴は、まあそっちを選択するわな。
「本当は私の部屋までお見せしたいんですけど、部外者の寮への立ち入りは禁止されてますから。外観だけでご勘弁を。あ、ちなみに私の部屋は凄く綺麗ですよ!タロイモと違って!」
どうやら生徒の寝泊まりする場所は立ち入り禁止の様だ。
まあ外部からの人間を無軌道に生徒達のプライベートな空間に入れたら、問題が出るかもしれないからな。
当然と言えば当然なのかもしれない。
「おい、その言い方だと俺が部屋を汚してるように聞こえるだろうが。他の奴らがやってる事ですから、勘違いしないでください師匠」
「ああ」
「はいはい。じゃあ次は訓練場に案内しますね」
「あのグラウンドじゃなくて?」
「はい。訓練専用の建物があるんですよ」
寮に行くのにグランドの横を通っている。
どうやら、あそことは別に専用の施設がある様だ。
「こっちです」
案内されたのは、ドーム状の建物だった。
中に入ると多くの生徒が剣を持って訓練している風景が目に入って来る。
「休みだってのに、皆熱心なもんだ」
「皆、強くなるためにここに来てますから。俺達もダンジョンへ行くとき以外は、休日もここで鍛錬してます」
「相変わらず努力家だな、タロイモ達は」
「師匠達に厳しく鍛えられましたんで」
「そうそう」
スパルタ式で鍛えたのはソアラなのだが、何故かそこに俺も加えられてしまっていた。
理不尽な話である。
「あ、そうそう。実は師匠に紹介人が居まして」
「俺に紹介したい人?」
「はい。私と寮で同室の、2個上の先輩でエンデさんって言う人です。実はその人は何と、何と――」
ベニイモが勿体ぶる感じを見せる。
誰か有名人なのだろうか?
「あのゾーン・バルターの娘さんなんですよ!」
「へぇ……」
「ありゃ、反応薄いですね。王国最強の騎士、ゾーン・バルターの娘さんなんですよ?」
「いやまあ……いう程興味ないからなぁ」
最強の騎士ってのはカッコイイ肩書だとは思う。
しかも市民で、だ。
だが俺が目指すのはスローライフなので、そう言うのに対する憧れは薄い。
まあその最強の騎士と引き分けた勇者が、ごく身近な人間ってのもあるか。
「騎士ならだれもが憧れる人の娘さんなんですけど、まあ師匠は第二のゾーン・バルターですからしょうがないですね」
「その呼び方止めろってのに」
「まあでも先輩に紹介するって言って来てるんで、こっちです」
ベニイモが俺の腕を引っぱる。
木剣を一心不乱に振るう、黒髪ショートの女性の元へと向かって。
「先輩!うちの天才師匠を連れてきました!!」
「!?」
唐突なベニイモの大声に、訓練していた周囲の学生の視線が一斉に此方へと向く。
腕を引かれている状態だったので、咄嗟に蹴りで止められなかった。
失態だ。
「お前な……」
まあ天才師匠って言葉を鵜呑みにする輩は少ないだろうから、そこまで気にする必要はないだろうが。
「貴方が噂の……初めまして、私はエンデ。ベニイモちゃんとは同室で仲良くさせて貰ってるわ。よろしくね、アドル師匠」
エンデが悪戯っぽく笑う。
中々の美人さんだ。
この人がゾーン・バルターの娘さんか。
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