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第28話 とある女生徒の手記
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〇月×日
聖愛魔導学園で、20年に一度執り行われる勇者召喚が行われた。
素晴らしい勇者達との出会いを求め、反対する両親を説得して私は学園に入学している。
呼び出された勇者様は7名。
どの方も、見目麗しい方ばかりだ
――約1名を除いて。
しかもその勇者は見た目がパッとしないだけではなく、能力まで低いと来ていた。
一体何しにこの世界に来たのだろうか?
大外れも良い所である。
〇月×日
早速作品の執筆に取り掛かる。
あの6人の勇者様方は、本当に素晴らしい素材だ。
両親の反対を押し切ってまでこの学園に入ったのは大正解だった。
〇月×日
徹夜で作品を仕上げる。
達成感に酔いしれた私は、思い切って傍の席に座っていた女子に見せて見た。
「あ、私そう言うのはちょっと……」
反応は今一。
どうやら彼女は、至高の美と愛という物が理解できない未熟者だった様だ。
〇月×日
私の作品を、色々な女生徒に見せて回る。
その反応は半々と言った所だ。
眉を顰めたり、嫌悪感を示す未熟者と。
そして強い興味と興奮を示す完熟者とに。
この割合なら、布教は順調と言っていいだろう。
このまま私は自らの覇道を歩むのみ。
〇月×日
今日も今日とて布教活動をしていたら、ゲンブー家のベヒモス令嬢に声をかけられる。
彼女も私の作品に興味があるのかと思ったら――
「低俗な物を広め、この聖愛魔導学園の風紀を乱す様な真似はおやめなさい!」
――アンチだった。
まったく、余計なお世話極まりない。
美の造詣を持たない未熟者を責めるつもりはないが、自分に価値が分からないからと言って妨害してくるなど言語道断である。
「貴方に指図される謂れはないわ」
ゲンブー家は4大家門。
私の家よりも家格は上だ。
とは言え、一方的に命令を受ける程の立場的差はない。
4大家程ではないにしろ、私も名門貴族の娘なのだから。
「私は忙しいの。邪魔をしないで頂戴」
偉大なる旅路に障害はつきもの。
一々相手にしていたのではキリがないので、私は素気無く対応しその日はさっさと寮へと帰った。
〇月×日
ここ数日、毎日ベヒモス嬢に絡まれる。
行動の妨害もそうだが、4大家門の彼女に目を付けられるのを嫌った女生徒達が私と距離を取る様になってしまい、啓蒙活動がままならなくなってしまう。
本当に迷惑な話である。
〇月×日 運命の日
私は発想の転換を行う。
妨害して来る者がいるのなら、その人物を取り込めばいいのだと。
ベヒモス嬢は私の作品をまだ直接目にした事がない。
私は朝一番に教室にやって来て、彼女の特等席にそっと作品を忍ばせておいた。
お昼休み。
額に青筋を立てたベヒモス嬢が私の前に立ち――
「貴方にお話があります。放課後、校舎の裏にある湖畔にいらっしゃい」
――そう告げる。
一見怒っているように見えるが、私にはわかる。
今まで強く当たって来たのだ。
人前で素直に掌を返す様な真似は、彼女のプライド上出来ないだけだと。
ベヒモス嬢とその取り巻きにつれられ、湖畔について行った私は――
「フージョ先生!耽美なる貴方の作品の虜になってしまいましたわ!どうぞ私を美と愛の世界にお導き下さい!」
――というセリフを期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。
「貴方、私に喧嘩を売ってますの?」
「ふぅ……私はベヒモス令嬢に真に美しい物を知って欲しかっただけよ。でも、貴方の様な愚物には理解できなかったみたいね。残念よ」
「く……わたくしになんて物言い。フージョ令嬢………………あまり調子に乗らない事ね」
ベヒモス令嬢が、怒りの眼差しを私に向ける。
他の女生徒なら狼狽えるのだろうが、私にそんなこけおどしは通用しない。
その様を鼻で笑ってやると――
「――っ!」
ベヒモス令嬢が、手にした扇子で私の頬ぶった。
真の美がどういう者かも理解できず、感情の赴くままに手を上げる。
まるで猿ね。
そう口にしようとし時……
「おい、何やってんだ?」
見知らぬ男性が急に現れる。
いや、見知らぬというのは間違いね。
以前一度だけ、その姿を見た事がある人物だ。
ハズレ勇者――墓地無双。
この男は一体何しに来たのだろうか?
まさかナンパ?
能力も見た目も今一な上に、空気を読む能力もないのなら最早生きている価値もないゴミねと、私は呆れる。
「あなたは……ふん、何をしているかなんて私達の自由でしょ。一々拘らないでくれるかしら、勇者様」
「何をするかお前らは自由なのに、俺が自由にお前らに関わるのはダメってか?」
ベヒモス嬢が、勇者墓地を追い払おうとする。
だが彼は引き下がらない。
そして二人のやり取りが続いたかと思うと、急にベヒモス嬢が吹き飛んで湖に落ちた。
信じられない事だけど、勇者墓地が彼女を殴ったのだ。
あり得ない出来事に、私は思わず固まってしまう。
それはゲンブー家の取り巻きの令嬢達も同じ。
「ベべべ!ベヒモス様!!」
少しして、正気を取り戻した取り巻きの令嬢達が湖に飛び込んだ。
そして引き上げたベヒモス令嬢を回復させようとした所、次々と勇者墓地によって殴り倒されてしまう。
その様は、正に野獣による蹂躙。
その無慈悲な様を直視した私の背中に電流が走る。
これだ!
と。
「……ありがとうございました。私はこれで」
私は勇者墓地に礼をいう。
何に対してか?
勿論私のインスピレーションを刺激し、究極の美への扉を開けてくれた事に対してだ。
野獣による美の蹂躙。
これぞ正に真の芸術。
今までの勇者×勇者ではなく。
野獣×美。
そう、野獣墓地×その他勇者こそが至高なのだ
迸る情熱を抑えきれず、私は足早に寮へと戻り筆を執る。
今日この日、私は新たな扉を開き覚醒した。
聖愛魔導学園で、20年に一度執り行われる勇者召喚が行われた。
素晴らしい勇者達との出会いを求め、反対する両親を説得して私は学園に入学している。
呼び出された勇者様は7名。
どの方も、見目麗しい方ばかりだ
――約1名を除いて。
しかもその勇者は見た目がパッとしないだけではなく、能力まで低いと来ていた。
一体何しにこの世界に来たのだろうか?
大外れも良い所である。
〇月×日
早速作品の執筆に取り掛かる。
あの6人の勇者様方は、本当に素晴らしい素材だ。
両親の反対を押し切ってまでこの学園に入ったのは大正解だった。
〇月×日
徹夜で作品を仕上げる。
達成感に酔いしれた私は、思い切って傍の席に座っていた女子に見せて見た。
「あ、私そう言うのはちょっと……」
反応は今一。
どうやら彼女は、至高の美と愛という物が理解できない未熟者だった様だ。
〇月×日
私の作品を、色々な女生徒に見せて回る。
その反応は半々と言った所だ。
眉を顰めたり、嫌悪感を示す未熟者と。
そして強い興味と興奮を示す完熟者とに。
この割合なら、布教は順調と言っていいだろう。
このまま私は自らの覇道を歩むのみ。
〇月×日
今日も今日とて布教活動をしていたら、ゲンブー家のベヒモス令嬢に声をかけられる。
彼女も私の作品に興味があるのかと思ったら――
「低俗な物を広め、この聖愛魔導学園の風紀を乱す様な真似はおやめなさい!」
――アンチだった。
まったく、余計なお世話極まりない。
美の造詣を持たない未熟者を責めるつもりはないが、自分に価値が分からないからと言って妨害してくるなど言語道断である。
「貴方に指図される謂れはないわ」
ゲンブー家は4大家門。
私の家よりも家格は上だ。
とは言え、一方的に命令を受ける程の立場的差はない。
4大家程ではないにしろ、私も名門貴族の娘なのだから。
「私は忙しいの。邪魔をしないで頂戴」
偉大なる旅路に障害はつきもの。
一々相手にしていたのではキリがないので、私は素気無く対応しその日はさっさと寮へと帰った。
〇月×日
ここ数日、毎日ベヒモス嬢に絡まれる。
行動の妨害もそうだが、4大家門の彼女に目を付けられるのを嫌った女生徒達が私と距離を取る様になってしまい、啓蒙活動がままならなくなってしまう。
本当に迷惑な話である。
〇月×日 運命の日
私は発想の転換を行う。
妨害して来る者がいるのなら、その人物を取り込めばいいのだと。
ベヒモス嬢は私の作品をまだ直接目にした事がない。
私は朝一番に教室にやって来て、彼女の特等席にそっと作品を忍ばせておいた。
お昼休み。
額に青筋を立てたベヒモス嬢が私の前に立ち――
「貴方にお話があります。放課後、校舎の裏にある湖畔にいらっしゃい」
――そう告げる。
一見怒っているように見えるが、私にはわかる。
今まで強く当たって来たのだ。
人前で素直に掌を返す様な真似は、彼女のプライド上出来ないだけだと。
ベヒモス嬢とその取り巻きにつれられ、湖畔について行った私は――
「フージョ先生!耽美なる貴方の作品の虜になってしまいましたわ!どうぞ私を美と愛の世界にお導き下さい!」
――というセリフを期待していたのだが、残念ながらそうはならなかった。
「貴方、私に喧嘩を売ってますの?」
「ふぅ……私はベヒモス令嬢に真に美しい物を知って欲しかっただけよ。でも、貴方の様な愚物には理解できなかったみたいね。残念よ」
「く……わたくしになんて物言い。フージョ令嬢………………あまり調子に乗らない事ね」
ベヒモス令嬢が、怒りの眼差しを私に向ける。
他の女生徒なら狼狽えるのだろうが、私にそんなこけおどしは通用しない。
その様を鼻で笑ってやると――
「――っ!」
ベヒモス令嬢が、手にした扇子で私の頬ぶった。
真の美がどういう者かも理解できず、感情の赴くままに手を上げる。
まるで猿ね。
そう口にしようとし時……
「おい、何やってんだ?」
見知らぬ男性が急に現れる。
いや、見知らぬというのは間違いね。
以前一度だけ、その姿を見た事がある人物だ。
ハズレ勇者――墓地無双。
この男は一体何しに来たのだろうか?
まさかナンパ?
能力も見た目も今一な上に、空気を読む能力もないのなら最早生きている価値もないゴミねと、私は呆れる。
「あなたは……ふん、何をしているかなんて私達の自由でしょ。一々拘らないでくれるかしら、勇者様」
「何をするかお前らは自由なのに、俺が自由にお前らに関わるのはダメってか?」
ベヒモス嬢が、勇者墓地を追い払おうとする。
だが彼は引き下がらない。
そして二人のやり取りが続いたかと思うと、急にベヒモス嬢が吹き飛んで湖に落ちた。
信じられない事だけど、勇者墓地が彼女を殴ったのだ。
あり得ない出来事に、私は思わず固まってしまう。
それはゲンブー家の取り巻きの令嬢達も同じ。
「ベべべ!ベヒモス様!!」
少しして、正気を取り戻した取り巻きの令嬢達が湖に飛び込んだ。
そして引き上げたベヒモス令嬢を回復させようとした所、次々と勇者墓地によって殴り倒されてしまう。
その様は、正に野獣による蹂躙。
その無慈悲な様を直視した私の背中に電流が走る。
これだ!
と。
「……ありがとうございました。私はこれで」
私は勇者墓地に礼をいう。
何に対してか?
勿論私のインスピレーションを刺激し、究極の美への扉を開けてくれた事に対してだ。
野獣による美の蹂躙。
これぞ正に真の芸術。
今までの勇者×勇者ではなく。
野獣×美。
そう、野獣墓地×その他勇者こそが至高なのだ
迸る情熱を抑えきれず、私は足早に寮へと戻り筆を執る。
今日この日、私は新たな扉を開き覚醒した。
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僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
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