ノゾミノナカと悪霊迷宮の殺人鬼

ちさここはる

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第4話 二階の悪夢

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 双球の目に映し出されるのは――桜木まどか。
 そこは小さな箱庭のような場所。

 ――あの、あのね……篠崎君。

 口の動きを読んでいた。
 桜木の表情は真っ赤に染まっている。
 
 ――……終わったら、また来るよ!

 パタパタ!
 桜木は身体を翻した。

 そして、双球に真っ赤のものが滴り落ちていく。
 視界も真っ暗になっていく。
 口が少し動かすことが出来た。

『何回、お前さんは……僕を――……』

 その声に桜木の身体もビクついた。
 ゆっくりと、振り返る。

 ――しの、ざき……君?? っご、ごめんね?!

 バターーーーン!

 ◆

「ぅ、ううう、え……っつ」

 桜木の泣き声がフロアーに響く。
「泣かないで。まどか」
「だって、だって~~ぇ」
「パンツ脱いだし、気持ち悪くはないでしょう?」

 すー~~……。

 すぅ~~……。

「ぅ゛、うう゛うぅ゛う゛~~」

 下半身がざわつく。
 風通しもいい。

「すぅ、すぅするよぉう! のなかちゃ~~ん」

 桜木は希美の腕を組み。
 胸を押し当てる。
 突然の行為に希美は顔を逸らした。
(とても柔らかいわ。まどかの)
 耳まで赤くなっていた。

「? のなかちゃん?? どうかしたのかな??」
 桜木が下から顔を覗き込む。
「どこか痛いの、かな?? 大丈夫? のなかちゃん」

 桜木から顔を逸らしたまま。
 希美は辺りを見渡した。

(静か、なのは当たり前だけど……)

 つられるように桜木も辺りを見渡した。
 ここ二階は衣服のフロアーだ。

 下着コーナーもある。
 はずだ。

「さ。下着を探しましょう。まどか」
「!? の、のなかちゃん、声……大きいよ」
「大丈夫よ、誰もいやしないわ」
「そ、ぅだけど……もぅ」
 桜木の頬が膨らむ。
「? 一枚くらいなくなっても、文句は言えないでしょう」
 っか、っか、っか。
 ヒールの高い希美の靴音が響き渡る。
 涙目の桜木も聞き返した。
「そ、ぅかなぁ??」
「ええ。そうよ」

 フロアーに灯りは全くない。
 二階なら、なおのこと。

「そろそろ……携帯で懐中電灯モードにしましょう」

 そんな希美の声に。
「で、でも、携帯はーー」
「これなら関係なく点くはずよ。多分」

 携帯をタップし、指で操作した。
 すると。

 ぺっか―――――!

「点いたわ」
「よよよ。よかったぁ~~! ぅうう」
 大粒の涙が零れ落ちる。
 歩いていた希美の足が止まる。

 ドン!

「っわ、ぷ!」
 その背中に、桜木が顔からぶつかってしまう。
「の、なか、ちゃ……ん?? どうかしたの??」
「ね。まどか」
「?? 何、かな?? のなかちゃん……どうか――」

 携帯の灯りに、
「あれから逃げるスタミナはあるかしら?」
 あり得ないものが映し出された。

 白いマネキン――の集団。

 顔にはぎょろりとした目が開かれていた。
 桜木は口許を手で覆った。悲鳴を出せば、危ないと思ったからだ。

「まどか。走れそう?」

 こくこくこく!

「行くわよっっ」
「ぅ、うん!」

 っかっかっかっか!
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