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第46話 野菜vs日向
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『カカカカカ!』
宙に浮く野菜がゲスに嗤う。
ボコボコ! と音を立てて、形を変えていく。
「ぎゃあー~~でやんすぅー~~!」
その光景に、たぬ吉が喚いた。
「まどかちゃん? どんな武器がいいのだ!?」
日向が、桜木の横に着く。
「お好みの武器を貸すのだ」
「この、み? ううん。あの、あのね……」
日向の顔が近く、桜木も言いよどんでしまう。
(ぃ、言い難いな)
殺傷能力の高い武器を。
そう言いたいが。
「ん? どんなものなのだ?」
にこやかな日向に、言い辛い。
「ゃ、あの、そ、その」
言いよどんでしまう桜木に代わり。
「まどかなら、どんな武器だって使いこなすでやんす! 全部、倒せるような武器を渡して欲しいでやんす!」
たぬ吉が、言う。
桜木の顔が、げ! と分かりやすい顔になった。
無言でたぬ吉の毛を掴み、引っ張った。
「ぁ、あだだ! 痛いでやんすよ?! まどか??」
頬を膨らませて、涙目になる桜木。
その桜木の様子に、日向は首を傾げた。
「まどかは戦う姿が、魅力的で可愛いのだ」
ほくそくむ日向に、桜木は顔を真っ赤にさせる。
(っか、わいいって言われたよ~~♡ はぅううう~~)
ギュイン!
「っへ??」
目の前に野菜が突進してくるのを、日向が蹴飛ばす。
だが、
「?! こ、のッッ‼」
野菜に手が生え、掴まれてしまう。
ぐっるん!
「っへ?! ぅわわわ‼」
ぐっるん、ぐっるん‼
野菜が日向の身体を、激しく回す。
「お、お兄さん!」
思いもしない光景に、桜木も声を上げた。
「このッッ!」
目を吊り上げ、野菜を見据えた。
「ぽっしぇ、ど、ぅ、っぷ! のながにィ~~ものが~~あ~~る~~か~~ら~~ぁ~~あーーぁああーー~~っっ‼」
回されながら日向が、桜木に武器の在り処を伝えた。
「ポシェットの中?!」
桜木も、ポシェットを見据え、チャックに手をやる。
はた。
この中に武器はある。
桜木は息を飲む。
「ど、どこに??」
どこをどう手を突っ込めばいいのか。
間違って希美を、取り出してしまうかもしれない。
桜木が戸惑ってしまうのを見た日向が、続けた。
「手をーいーれー~~て~~ぇ゛~~ぅ、わわわわ‼ 唱える~~の~~だ~~! ぎ~~も~~ぢが~~わ~~る、ぃいいのだ~~ッッ!」
ぐるん!
ぐっるん、ぐっるん!
『カカカカカ!』
野菜は楽しそうに日向を回していた。
だが。
ドッガン!
「!? ぅ゛、あ゛!」
日向の顔面に野菜が捨て身に当たり、木端微塵になった。
とても堅いキャベツだった。
《提灯霊の万物》の灯りで、桜木の視界に嫌でも映し出されている。
「お兄さぁ――んッッ‼」
日向の顔面は血まみれになる。
意識も絶え絶えに。
「《我が手に集え! 栄光在れ》」
言い終わると、がくん! と顔が落ちた。
全身から力が抜けた身体を、野菜が回すことを止めない。
ぴちゃ。
「!?」
顔に飛んで来たものを桜木が、指先で拭う。
「ぉ、兄さ……んッッ!」
鮮やかな血だった。
ぶっちん!
桜木の中で、何かがキレた。
「ぃ、いい加減にしなよ! 野菜のくせに‼」
宙に浮く野菜がゲスに嗤う。
ボコボコ! と音を立てて、形を変えていく。
「ぎゃあー~~でやんすぅー~~!」
その光景に、たぬ吉が喚いた。
「まどかちゃん? どんな武器がいいのだ!?」
日向が、桜木の横に着く。
「お好みの武器を貸すのだ」
「この、み? ううん。あの、あのね……」
日向の顔が近く、桜木も言いよどんでしまう。
(ぃ、言い難いな)
殺傷能力の高い武器を。
そう言いたいが。
「ん? どんなものなのだ?」
にこやかな日向に、言い辛い。
「ゃ、あの、そ、その」
言いよどんでしまう桜木に代わり。
「まどかなら、どんな武器だって使いこなすでやんす! 全部、倒せるような武器を渡して欲しいでやんす!」
たぬ吉が、言う。
桜木の顔が、げ! と分かりやすい顔になった。
無言でたぬ吉の毛を掴み、引っ張った。
「ぁ、あだだ! 痛いでやんすよ?! まどか??」
頬を膨らませて、涙目になる桜木。
その桜木の様子に、日向は首を傾げた。
「まどかは戦う姿が、魅力的で可愛いのだ」
ほくそくむ日向に、桜木は顔を真っ赤にさせる。
(っか、わいいって言われたよ~~♡ はぅううう~~)
ギュイン!
「っへ??」
目の前に野菜が突進してくるのを、日向が蹴飛ばす。
だが、
「?! こ、のッッ‼」
野菜に手が生え、掴まれてしまう。
ぐっるん!
「っへ?! ぅわわわ‼」
ぐっるん、ぐっるん‼
野菜が日向の身体を、激しく回す。
「お、お兄さん!」
思いもしない光景に、桜木も声を上げた。
「このッッ!」
目を吊り上げ、野菜を見据えた。
「ぽっしぇ、ど、ぅ、っぷ! のながにィ~~ものが~~あ~~る~~か~~ら~~ぁ~~あーーぁああーー~~っっ‼」
回されながら日向が、桜木に武器の在り処を伝えた。
「ポシェットの中?!」
桜木も、ポシェットを見据え、チャックに手をやる。
はた。
この中に武器はある。
桜木は息を飲む。
「ど、どこに??」
どこをどう手を突っ込めばいいのか。
間違って希美を、取り出してしまうかもしれない。
桜木が戸惑ってしまうのを見た日向が、続けた。
「手をーいーれー~~て~~ぇ゛~~ぅ、わわわわ‼ 唱える~~の~~だ~~! ぎ~~も~~ぢが~~わ~~る、ぃいいのだ~~ッッ!」
ぐるん!
ぐっるん、ぐっるん!
『カカカカカ!』
野菜は楽しそうに日向を回していた。
だが。
ドッガン!
「!? ぅ゛、あ゛!」
日向の顔面に野菜が捨て身に当たり、木端微塵になった。
とても堅いキャベツだった。
《提灯霊の万物》の灯りで、桜木の視界に嫌でも映し出されている。
「お兄さぁ――んッッ‼」
日向の顔面は血まみれになる。
意識も絶え絶えに。
「《我が手に集え! 栄光在れ》」
言い終わると、がくん! と顔が落ちた。
全身から力が抜けた身体を、野菜が回すことを止めない。
ぴちゃ。
「!?」
顔に飛んで来たものを桜木が、指先で拭う。
「ぉ、兄さ……んッッ!」
鮮やかな血だった。
ぶっちん!
桜木の中で、何かがキレた。
「ぃ、いい加減にしなよ! 野菜のくせに‼」
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