ノゾミノナカと悪霊迷宮の殺人鬼

ちさここはる

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第47話 不可解な武器

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 お兄さん、私が欲しいのは。

「お前たちを、ぶち壊す武器だよ!」

 目に溜まった涙を、私は拭うこともしないで。
 ポシェットの中に手を差し入れた。
 なんて言ったら、いいのか分からないよ。
 でも、なんとなく……分かるの。

「《我が手に集え! 栄光在れ》」

 ポシェットの中から閃光が奔ったの。
 ううん!
 溢れ出たの!
「? 硬い??」
 私の掌の中にも、何かが掴まれた。
 とても堅くて、太いものだ。

「! まどか、来たでやんすよ!」

 たぬ吉が、野菜が飛んで来たことを教えてくれた。
「ううん!」
 私は、野菜の方に目を向けた。
 大きな、大きなかぼちゃの化け物だ。
 硬くて、大きなかぼちゃだ
 その身体の中央に、小さな目が三つあって、私を見てる。
 口は、とても大きい。
 だらしなく舌を出して、涎も零れてる。

「……汚いなぁ」

 ただ、その対比としてなのかな?
 腕は、長く太く。
 足も、長く太ましい。

「まどか! まどか! でやんす!」

 たぬ吉が私を急かす。
 ううん。
 分かってるよ!

 私がるしかないんだもん!

「私がヤるしかないんだァァァァアアア‼」
 私はポシェットの中から、手を出した。
 そこには、
「ボーガン??」
 よく映画とかに出て来るやつだ。

「なんか~~違うの出た~~‼」

 私も、思わず情けない声が出ちゃったよ。
 だって、想像したのは。
 太くて、堅くて!

 大きな剣なんだもん!

「なんで! ボーガンなの~~??」
 それでも、私はボーガンで倒さなきゃいけないんだ!
 あのかぼちゃの化け物を。
 でも。
「矢がない?!」
 私はポシェットの中に、腕を突っ込もうとしたのに、
「!?」
 かぼちゃの化け物が、突進して来て。

『カカカカカ!』

 ゲスな嗤い声で、私に体当たりをした。
「きゃ!」
 私の身体がたぬ吉の身体から、落ちてしまう。
 身体は、宙に浮かび。
 真っ逆さまに落下していく。
 私の目に映るたぬ吉が、見る見ると小さくなっていくの。

 なんで?

「たぬ吉――ッッ?!」

 私は手を、たぬ吉へと伸ばした。
「まどか! まどか――ッッ‼」
 たぬ吉も、勢いよく下がって来てくれる。

 ドゴ!

 ドゴォおお‼

 
「まどか! まどか‼」

 たぬ吉の身体に、野菜が体当たりするのに、私のために、たぬ吉は来てくれる。
「たぬ吉! 上‼」
 私はたぬ吉の上にある、巨大なゴーヤを指さした。
「?! っわ、ぁわわわわでやんすぅ~~!」
 慌てふためくたぬ吉の危機ピンチに。

 私、殺るよ。

「たぬ吉は、私が護るの!」
 私はボーガンの弦を引いた。

 ギシ。

 ギギギギ――……。

「ぉ、もいな」

 そして、狙いを定めた。
 あとは――……。

「引き金を、引くだけだよ!」

 バシュ!

 見えない矢が吹っ飛んだ。
 それは綺麗に弧を描き、

『ッガ!』

 ゴーヤの正面に当たった!
 すると、それはとてもキレイな粒子になって消し飛んだ。

「ゃ、った……やったッッ‼」

 私は勢いよく落下する身体で、ガッツポーズをとった。

「やったじゃないでやんす! まどかぁアアア‼」
 ギュイイイイイインン‼
「今、行くでやんすよ‼」

 ううん。

 私は腕を伸ばしたの。
 たぬ吉が掴んでくれるから。

「たぬ吉」

「まどかぁああああッッ‼‼」
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