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1.八百屋から白菜と大根を盗もうとして
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私は料理を振る舞っている。
振る舞っている相手は妖魔だ。
生まれて初めて私は妖魔を見た。
八百屋から白菜とキャベツを盗もうとして、人間に怒鳴られている妖魔は私と同い年くらいの女だった。
昔この世界には妖魔がいた、という話は聞いたことがあった。
しかし出会ってみると、想像していたおぞましい姿とはかけ離れていた。
「うまいか?」
「美味しくないです」
「名前は?」
「忘れました」
口いっぱいにカレーライスを入れて、左手のフォークには、次に口へ入れるヒレカツが用意されている。
昨日作ったカレーライスが、ものすごい勢いでなくなろうとしていた。
「おかわり食べるか?」
「・・・はい」
生意気な奴だけど、たくさん食べさせてやりたかった。
空腹の辛さは私もよく知っている。
名前はすぐに分かった。
彼女の着ていた上着に書かれてあった。
なくしてもすぐに見つかるように、しっかりと名札が縫われている。
「シナっていう名前なんだな?」
そう言うと彼女はビクッとして私を見た。
「上着に名札が付いていたよ」
「勝手に見たの? ・・・変態ですか?」
「・・・たまたま上着をハンガーへかけるときに名札が目に入ったんだよ」
カレーのルーが入った鍋は空にされ、炊飯器のご飯も全部食べられた私は、終いには変態呼ばわりされていた。
そして彼女は疲れていたのか、テーブルの椅子に座ったまま眠りはじめる。
私はため息をつくと、目の前でうつ伏せにならず、器用に寝ている彼女を見た。
妖魔の特徴は身体の模様だ。
全身に生まれつき模様があるのだ。
彼女にも腕や足、手の甲、肩、首、顔などいたるところに模様がある。
その模様は神秘的で美しいとさえ思える。
私を育てた爺さんは教えてくれた。
妖魔の模様はとても綺麗だということ、そして心も綺麗だということを。
八百屋の主人は彼女を妖魔だと言い放っていた。周りの人間も好奇心と恐怖の目でその様子を見ていた。主人は彼女の上着と深く被った帽子を剥ぎ取った。すると腕や手の甲に、さらに顔の頬にある綺麗な模様がみんなの目に入った。周囲の人々は確信した。こいつは妖魔だと。獣のように主人を睨み、噛みつこうと威嚇する姿はまるで人間ではなかった。
ここはロンドラ王国の南部にあるレンダ村。
季節は冬で外には雪が積っている。
家の中が冷え込んできたから、一旦起こして横にしようとすと、彼女は目を閉じたまま小さな声で「お父さん」と言う。
夢をみているのか、または私を父と間違えたのか、しかしその声は少し涙声であった。
万引きをしたのには大きな事情があるのだろう。
そもそも一人で人間の住む場所へ来ること自体おかしい。
優しく体を持ち上げて、用意した布団へ寝惚け眼をこすりながら欠伸をする彼女を連れて行く。
布団へ寝かして暖かい毛布を掛けると、彼女は真っ直ぐ私の目を見て問いかけてきた。
「あなたは誰?なぜ人間なのに私を助けたの?」
肩まで伸びている少し緑がかった鮮やかな青色の髪の毛とは対象に、赤みのある黄色い目は少し怯えていた。
不安な気持ちが彼女の心をいっぱいにしている様だ。
「名前はダーチ。心配しなくていい、ただの農民だよ。向こうにいるからゆっくり眠りなさい。これからのことは明日考えよう。私も君みたいなときがあったんだ」
「・・・ご飯美味しかったです」
そう言うと、彼女は安心したのか深く眠りについた。
振る舞っている相手は妖魔だ。
生まれて初めて私は妖魔を見た。
八百屋から白菜とキャベツを盗もうとして、人間に怒鳴られている妖魔は私と同い年くらいの女だった。
昔この世界には妖魔がいた、という話は聞いたことがあった。
しかし出会ってみると、想像していたおぞましい姿とはかけ離れていた。
「うまいか?」
「美味しくないです」
「名前は?」
「忘れました」
口いっぱいにカレーライスを入れて、左手のフォークには、次に口へ入れるヒレカツが用意されている。
昨日作ったカレーライスが、ものすごい勢いでなくなろうとしていた。
「おかわり食べるか?」
「・・・はい」
生意気な奴だけど、たくさん食べさせてやりたかった。
空腹の辛さは私もよく知っている。
名前はすぐに分かった。
彼女の着ていた上着に書かれてあった。
なくしてもすぐに見つかるように、しっかりと名札が縫われている。
「シナっていう名前なんだな?」
そう言うと彼女はビクッとして私を見た。
「上着に名札が付いていたよ」
「勝手に見たの? ・・・変態ですか?」
「・・・たまたま上着をハンガーへかけるときに名札が目に入ったんだよ」
カレーのルーが入った鍋は空にされ、炊飯器のご飯も全部食べられた私は、終いには変態呼ばわりされていた。
そして彼女は疲れていたのか、テーブルの椅子に座ったまま眠りはじめる。
私はため息をつくと、目の前でうつ伏せにならず、器用に寝ている彼女を見た。
妖魔の特徴は身体の模様だ。
全身に生まれつき模様があるのだ。
彼女にも腕や足、手の甲、肩、首、顔などいたるところに模様がある。
その模様は神秘的で美しいとさえ思える。
私を育てた爺さんは教えてくれた。
妖魔の模様はとても綺麗だということ、そして心も綺麗だということを。
八百屋の主人は彼女を妖魔だと言い放っていた。周りの人間も好奇心と恐怖の目でその様子を見ていた。主人は彼女の上着と深く被った帽子を剥ぎ取った。すると腕や手の甲に、さらに顔の頬にある綺麗な模様がみんなの目に入った。周囲の人々は確信した。こいつは妖魔だと。獣のように主人を睨み、噛みつこうと威嚇する姿はまるで人間ではなかった。
ここはロンドラ王国の南部にあるレンダ村。
季節は冬で外には雪が積っている。
家の中が冷え込んできたから、一旦起こして横にしようとすと、彼女は目を閉じたまま小さな声で「お父さん」と言う。
夢をみているのか、または私を父と間違えたのか、しかしその声は少し涙声であった。
万引きをしたのには大きな事情があるのだろう。
そもそも一人で人間の住む場所へ来ること自体おかしい。
優しく体を持ち上げて、用意した布団へ寝惚け眼をこすりながら欠伸をする彼女を連れて行く。
布団へ寝かして暖かい毛布を掛けると、彼女は真っ直ぐ私の目を見て問いかけてきた。
「あなたは誰?なぜ人間なのに私を助けたの?」
肩まで伸びている少し緑がかった鮮やかな青色の髪の毛とは対象に、赤みのある黄色い目は少し怯えていた。
不安な気持ちが彼女の心をいっぱいにしている様だ。
「名前はダーチ。心配しなくていい、ただの農民だよ。向こうにいるからゆっくり眠りなさい。これからのことは明日考えよう。私も君みたいなときがあったんだ」
「・・・ご飯美味しかったです」
そう言うと、彼女は安心したのか深く眠りについた。
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