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9.まるで獲物を狙う獣
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護衛兵がステージから飛び降り銃を向ける。
前屈みになって、静かに少しずつ距離を詰める。
それは周囲の人へ動いたら撃たれるかも知れないという恐怖を与え、その場から逃げ出す行為さえも奪い去っていた。
獲物を狙う獣となり、迷彩服が異常な状況下であることを際立たせ、会場は緊迫感に包まれていた。
すると護衛兵は銃を空に向けて発泡した。
バン!
大人や子どもたちは悲鳴をあげて逃げ出す。
護衛兵は再び私へ銃を向け近づいてくる。
おそらく相手は平気で人を殺せる。
私を殺そうとしている。
標的を仕留めようとしている。
これまで何人殺してきたのだろうか。
私の頭を正確に狙っている。
捕まえる気など微塵もない。
統括者は笑みを浮かべている。
私は腰に差しているナイフを握った。
喉の奥から息を絞り出す。
汗が滲み出る。
相手の表情が見えた。
そして驚愕する。
歳を取り老けていたが間違いない。
目の前で銃を構えた人間は、昔私の家族を殺した海賊の船長だ。
過去の出来事が脳裏に蘇る。
家族の乗った油槽船が爆発して海に沈んだあの夜。
目の前にいる船長が、皆を次々と銃で殺していたあの夜だ。
何故だ?
私は疑問に思う。
何故ここにいる。
その時ジェイクの携帯電話が鳴り、電話を掛けた相手と何か話をした瞬間、奥の駐車場で爆発が起きた。
悲鳴が聞こえ、現状を理解できない全員は爆発した方向を見る。
ジェイクが私の腕を引っ張り駆け出した。
「逃げるぞ」
ジェイクは言う。
「離せよ!」
私は手を振り払う。
驚いた表情でジェイクは私を見る。
ちょっと待てよ。
どういうことだ。
何が起きたんだ。
さっきの爆発はなんだ?
何故あいつがいるんだ?
あいつから逃げるのか?
これは幸運じゃないか。
アイツに会えたんだ。
握ったナイフを見る。
こんな瞬間はもうない。
これは奇跡だ。
私は絶対にアイツを許さない。
家族を奪ったアイツを私は絶対に許さない。
アイツに同等の苦しみを味合わせて…
バン!
赤い血が穴の空いた場所から流れ落ちる。
私の左肩が撃たれていた。
後ろを振り返ると船長が私を見ている。
心臓の音がよく聞こえる。
怒りに我を忘れ、私は船長へナイフを片手に駆け出していこうとしたその瞬間、目の前にSUVの車が突っ込んできて凄いブレーキ音を出しながら止まると、ドアが開き運転していた女に「早く乗るんだ」と言われる。
瞬く間に銃声と共に車へ次々と弾痕が生まれていく。
「ジータ!」
ジェイクとアリスが撃たれた傷口の状態を見にきた。
エンジンオイルの匂いが鼻を刺激し、むせて両手を口にやる。べっとりと血に染まった左手は私の口元を赤く汚し、唇から感じる血の味が銃で撃たれたことを嫌と言うほど教える。
隣りでジェイクとアリスが私に何か話している。
よく聞き取れない。
「早く乗るんだ!」
車の女がもう一度、今度は大声で指示する。
車の女は誰だ?
何故私の邪魔をする。
もうここから逃げるしかないのか?
ちょっと待て、何か大切なことを忘れている。
・・・シナは?
悪い予感がした。
「シナはどこだ!!」
私は隣にいるジェイクに向かって叫んだ。
ジェイクもシナがいないことに気づく。
「シナ!!」
アリスが大声で呼ぶ。
悪い予感は的中する。
私の左斜め後ろにある木の影に隠れていたシナは、会場にいた四人の警備員に取り押さえられ連行されていた。
シナは暴れて抵抗するが、あまりの体格差に逃げだすことができない。
浴衣が肌けて影で隠れていた模様が会場のライトに照らされ露わになる。
恐れていたことが起きた。
私たち以外の人間にシナの模様が知られてしまった。
船長は撃つのをやめシナへ近づいていく。
「シナにそれ以上近づくな! こっちへ来い!」
しかし願いは叶わず船長はシナに向かって歩いていく。そして奴の顔色が変わる。醜いものを見る目つき。その目は当時の船上での戦いを思い出す。次々と仲間を殺していく光景。
「・・・なぜ妖魔がいる」
船長が低い声で呟くと、シナは両手を広げ前に突き出し目を閉じると長く青い髪が浮き上がった。
夜空が赤く染まりシナの周辺がオレンジ色に輝き始め、巨大なドラゴンが大地から顔をだした。
この幻獣は透き通り物体として存在していない。その透き通った青く白いドラゴンは大きく、シナに顔を寄せて甘えている。
そしてシナの身体の中へ入っていくと妖魔の神秘的な模様が赤く光りだした。
両手の前に光りが生まれ集まり、手のひらから船長に向かって炎が飛び出した。
その炎はドラゴンの形をしていて、翼が煌々として美しいとさえ思えていまう。
ヴォォォォォォオオオオオオ!!!!
シナを見ると長く青い髪の毛は赤く染まり、まるで神の使いのようだ。
その炎は船長を燃やし、奥にある会場を燃やし、積もった雪を溶かしていく。
警備員は恐怖のあまり逃げ出した。
私は撃たれたことなど気にせずシナへ駆け寄り上着を被せた。
シナは耳元で「やっちまった」と呟いていた。
前屈みになって、静かに少しずつ距離を詰める。
それは周囲の人へ動いたら撃たれるかも知れないという恐怖を与え、その場から逃げ出す行為さえも奪い去っていた。
獲物を狙う獣となり、迷彩服が異常な状況下であることを際立たせ、会場は緊迫感に包まれていた。
すると護衛兵は銃を空に向けて発泡した。
バン!
大人や子どもたちは悲鳴をあげて逃げ出す。
護衛兵は再び私へ銃を向け近づいてくる。
おそらく相手は平気で人を殺せる。
私を殺そうとしている。
標的を仕留めようとしている。
これまで何人殺してきたのだろうか。
私の頭を正確に狙っている。
捕まえる気など微塵もない。
統括者は笑みを浮かべている。
私は腰に差しているナイフを握った。
喉の奥から息を絞り出す。
汗が滲み出る。
相手の表情が見えた。
そして驚愕する。
歳を取り老けていたが間違いない。
目の前で銃を構えた人間は、昔私の家族を殺した海賊の船長だ。
過去の出来事が脳裏に蘇る。
家族の乗った油槽船が爆発して海に沈んだあの夜。
目の前にいる船長が、皆を次々と銃で殺していたあの夜だ。
何故だ?
私は疑問に思う。
何故ここにいる。
その時ジェイクの携帯電話が鳴り、電話を掛けた相手と何か話をした瞬間、奥の駐車場で爆発が起きた。
悲鳴が聞こえ、現状を理解できない全員は爆発した方向を見る。
ジェイクが私の腕を引っ張り駆け出した。
「逃げるぞ」
ジェイクは言う。
「離せよ!」
私は手を振り払う。
驚いた表情でジェイクは私を見る。
ちょっと待てよ。
どういうことだ。
何が起きたんだ。
さっきの爆発はなんだ?
何故あいつがいるんだ?
あいつから逃げるのか?
これは幸運じゃないか。
アイツに会えたんだ。
握ったナイフを見る。
こんな瞬間はもうない。
これは奇跡だ。
私は絶対にアイツを許さない。
家族を奪ったアイツを私は絶対に許さない。
アイツに同等の苦しみを味合わせて…
バン!
赤い血が穴の空いた場所から流れ落ちる。
私の左肩が撃たれていた。
後ろを振り返ると船長が私を見ている。
心臓の音がよく聞こえる。
怒りに我を忘れ、私は船長へナイフを片手に駆け出していこうとしたその瞬間、目の前にSUVの車が突っ込んできて凄いブレーキ音を出しながら止まると、ドアが開き運転していた女に「早く乗るんだ」と言われる。
瞬く間に銃声と共に車へ次々と弾痕が生まれていく。
「ジータ!」
ジェイクとアリスが撃たれた傷口の状態を見にきた。
エンジンオイルの匂いが鼻を刺激し、むせて両手を口にやる。べっとりと血に染まった左手は私の口元を赤く汚し、唇から感じる血の味が銃で撃たれたことを嫌と言うほど教える。
隣りでジェイクとアリスが私に何か話している。
よく聞き取れない。
「早く乗るんだ!」
車の女がもう一度、今度は大声で指示する。
車の女は誰だ?
何故私の邪魔をする。
もうここから逃げるしかないのか?
ちょっと待て、何か大切なことを忘れている。
・・・シナは?
悪い予感がした。
「シナはどこだ!!」
私は隣にいるジェイクに向かって叫んだ。
ジェイクもシナがいないことに気づく。
「シナ!!」
アリスが大声で呼ぶ。
悪い予感は的中する。
私の左斜め後ろにある木の影に隠れていたシナは、会場にいた四人の警備員に取り押さえられ連行されていた。
シナは暴れて抵抗するが、あまりの体格差に逃げだすことができない。
浴衣が肌けて影で隠れていた模様が会場のライトに照らされ露わになる。
恐れていたことが起きた。
私たち以外の人間にシナの模様が知られてしまった。
船長は撃つのをやめシナへ近づいていく。
「シナにそれ以上近づくな! こっちへ来い!」
しかし願いは叶わず船長はシナに向かって歩いていく。そして奴の顔色が変わる。醜いものを見る目つき。その目は当時の船上での戦いを思い出す。次々と仲間を殺していく光景。
「・・・なぜ妖魔がいる」
船長が低い声で呟くと、シナは両手を広げ前に突き出し目を閉じると長く青い髪が浮き上がった。
夜空が赤く染まりシナの周辺がオレンジ色に輝き始め、巨大なドラゴンが大地から顔をだした。
この幻獣は透き通り物体として存在していない。その透き通った青く白いドラゴンは大きく、シナに顔を寄せて甘えている。
そしてシナの身体の中へ入っていくと妖魔の神秘的な模様が赤く光りだした。
両手の前に光りが生まれ集まり、手のひらから船長に向かって炎が飛び出した。
その炎はドラゴンの形をしていて、翼が煌々として美しいとさえ思えていまう。
ヴォォォォォォオオオオオオ!!!!
シナを見ると長く青い髪の毛は赤く染まり、まるで神の使いのようだ。
その炎は船長を燃やし、奥にある会場を燃やし、積もった雪を溶かしていく。
警備員は恐怖のあまり逃げ出した。
私は撃たれたことなど気にせずシナへ駆け寄り上着を被せた。
シナは耳元で「やっちまった」と呟いていた。
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