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「そろそろかしら」
「そうね。トゥワイスが切れる頃ね」
トゥワイス、300秒間、スキルレベルを倍増させるスキル。そうか。あの3人の尋常じゃない強さは、このスキルの恩恵なのか。切れてしまったらどうなるのだろうか。苦戦し始めるのだろうか。
「ヘルエスさん、もう一度トゥワイスを使うことは出来ないのでしょうか?」
「出来ないわね。2人で発動するインペアーズスキルは日に一度限りなの。代わりに私がストレングスをかけるわ。体力が多ければ多いほど攻撃力が上がるわ」
この調子なら、ヴェリントンのマスター、ガルのところにたどり着くまでそう時間はかからないだろう。
「ヘルエスさん、ジェシカさん。ガルはみんなのスキルでぶちのめしてローラインを奪還する、って感じで良いんですよね?で、私はお二人に近づく者をぶん殴るって算段で」
「そうね。あなたが殴り飛ばした相手をヘルエス姉さんが攻略、IDを剥奪してご退場頂く流れになるわね」
IDを剥奪?攻略?どういうことだ。このスキルを使って肉弾戦を行うのではないのか?
「あの、IDを剥奪というのはどういうことなのでしょうか」
「てめぇ、そんなことも知らずにこの作戦に参加してるのかよ。敵の集団のリーダーはほぼID持ちだ。じゃないとこちらを攻撃できないからな。この世界の真の攻撃ってのはスキルを使った肉弾戦じゃねぇ。肉弾戦スキルを使って相手の攻略コード入力を阻害するツールに過ぎねぇ」
モモにあきれ顔で言われる。攻略コード……そうか、あのブルーやイエロードッグでやっていた攻略がこの世界で対人攻略に使われるのか。このことはセルシスは知っているのか?隊列編成的には中衛のローズ、セルシスの二人はローズがID持ちで攻略を行うのだろう。でもまぁセルシスの転移スキルがあれば攻撃なんて受けることはないだろう。
「というわけで新海くん?私は敵のID攻略に集中したいからジェシカとモモで敵を寄せ付けないようにしてね。あと、あなたのスコーチングヒートで相手を焼き尽くしてもコード攻略しなければ死なないから安心して殴り飛ばしてね」
「あの、ヘルエスさん。コード攻略された相手は一体どうなっちゃうのでしょうか?」
これは当然の疑問だ。肉体を焼き尽くされてもコード攻略されなければ死なない。だとしたら攻略された人間はどうなるのか。虚無に落ちるのだろうか
「正直、それは私も知らないの。その場で消えちゃうから。どこに行ったのか分からないの。虚無に落ちるって説が有力だけれども。誰も確認した人は居ないって聞くわ。さて、この辺からはヴェリントンメンバー多分ほぼ全てがID持ちよ。コード攻略されそうになったら全力で相手をぶちのめして妨害しなさい。イエロードッグ程度のコード攻略スキルじゃ対抗することなんて難しいと思うから!行くわよ!」
ヘルエスさんはそう言うと前をゆく雫たちを追いかけ始めた。くそっ!なんだよ、全員走りのスキル持ちかよ!行くわよったって走れないんじゃ追いつけない!
「なんだよクソガキ、走れないのか?」
モモにそう言われるが矢先に首の後ろを捕まれて宙に舞う。襟元で首が締まってく゛る゛し゛い゛……。なんとかモモに獲物のように捕まれて前線に追いついた。当然、落とされてお尻が痛い。
前線では凄まじい応酬が繰り広げられていた。腕に巻いたホログラム通信機からコンソールが投影され、それに攻略コードお打ち込みながら敵の攻撃に対応している。スイッチ!と叫びながら雫はセスと攻撃とコード攻略を交互に繰り返しているようだった。ボーゲンは強固な防御スキルを持っているようで敵を跳ね返している。
ローズとセルシスは思った通り、攻撃の瞬間に転移してコード攻略を続けている。
押しているように見える。相手が徐々に減り始めている。このまま行ければ俺たちの勝ちとなりそうだ。
「情けないな。この程度で」
なんだ!?あたりを見回すが近くには誰もいない。そう。誰もいない。ヘルエスさんもジェシカさんも居なくなってる。
「くっそ!クソガキ!耳を塞げ!」
モモにそう言われて咄嗟に耳を塞ぐ。
「なにが!なにが起きてるんだ!」
モモはローズにこっちに来いとジェスチャーをしている。二人はこちらに転移してローズに防御スキルの発動を急がせている。
「あの野郎……、ガルの野郎!遠隔スキルの持ち主だ!通常のコード攻略可能範囲を無視して、見える範囲全てを攻略可能範囲にするスキルだ。やつの声を聞かなければ攻略対象から回避出来るはずだ!」
モモはそう叫ぶとセルシスにも耳を塞ぐように指示をしている。防御スキルを展開中のローズさんはどうなるのだろうか。耳を塞げていない!そう思ってモモにどうすればよいか来聞こうとしたら先にこう言われた。
「ローズは問題ねぇな。何しろ耳が聞こえねぇ」
「ねぇ!ジェシカさんとヘルエスさんは!?」
セルシスが不安そうな顔でモモに確認している。恐らくはガルに攻略されてしまったのだろう。あの瞬間から姿が見えない。
「なにやってるんだ。ガルがここに出てきたってことは、ローラインはノーマークだ。転移スキルで一気にローラインを奪還するぞ!」
モモにそう言われてセルシスが手を繋ぎ転移スキルを発動させた。
「ローライン!」
俺たちは無事にローラインの元に転移、奪還して闘技士の主人、ウォルスの屋敷に戻ってきた。雫とセス、ボーゲンは大丈夫なのだろうか。
「無事だったようだね。ローライン」
「ウォルスさん!ジェシカさんとヘルエスさんが!」
「分かっている。サーチスキルで君達のことはずっと見ていたからね。残念なことだ。だが、どうにもならない。私たちは私たちで出来ることを続けるのが、彼女たちを報いることにになる」
ウォルスさんは落ち着いている。すごい胆力だ。娘が亡くなったというのに。
「そうね。トゥワイスが切れる頃ね」
トゥワイス、300秒間、スキルレベルを倍増させるスキル。そうか。あの3人の尋常じゃない強さは、このスキルの恩恵なのか。切れてしまったらどうなるのだろうか。苦戦し始めるのだろうか。
「ヘルエスさん、もう一度トゥワイスを使うことは出来ないのでしょうか?」
「出来ないわね。2人で発動するインペアーズスキルは日に一度限りなの。代わりに私がストレングスをかけるわ。体力が多ければ多いほど攻撃力が上がるわ」
この調子なら、ヴェリントンのマスター、ガルのところにたどり着くまでそう時間はかからないだろう。
「ヘルエスさん、ジェシカさん。ガルはみんなのスキルでぶちのめしてローラインを奪還する、って感じで良いんですよね?で、私はお二人に近づく者をぶん殴るって算段で」
「そうね。あなたが殴り飛ばした相手をヘルエス姉さんが攻略、IDを剥奪してご退場頂く流れになるわね」
IDを剥奪?攻略?どういうことだ。このスキルを使って肉弾戦を行うのではないのか?
「あの、IDを剥奪というのはどういうことなのでしょうか」
「てめぇ、そんなことも知らずにこの作戦に参加してるのかよ。敵の集団のリーダーはほぼID持ちだ。じゃないとこちらを攻撃できないからな。この世界の真の攻撃ってのはスキルを使った肉弾戦じゃねぇ。肉弾戦スキルを使って相手の攻略コード入力を阻害するツールに過ぎねぇ」
モモにあきれ顔で言われる。攻略コード……そうか、あのブルーやイエロードッグでやっていた攻略がこの世界で対人攻略に使われるのか。このことはセルシスは知っているのか?隊列編成的には中衛のローズ、セルシスの二人はローズがID持ちで攻略を行うのだろう。でもまぁセルシスの転移スキルがあれば攻撃なんて受けることはないだろう。
「というわけで新海くん?私は敵のID攻略に集中したいからジェシカとモモで敵を寄せ付けないようにしてね。あと、あなたのスコーチングヒートで相手を焼き尽くしてもコード攻略しなければ死なないから安心して殴り飛ばしてね」
「あの、ヘルエスさん。コード攻略された相手は一体どうなっちゃうのでしょうか?」
これは当然の疑問だ。肉体を焼き尽くされてもコード攻略されなければ死なない。だとしたら攻略された人間はどうなるのか。虚無に落ちるのだろうか
「正直、それは私も知らないの。その場で消えちゃうから。どこに行ったのか分からないの。虚無に落ちるって説が有力だけれども。誰も確認した人は居ないって聞くわ。さて、この辺からはヴェリントンメンバー多分ほぼ全てがID持ちよ。コード攻略されそうになったら全力で相手をぶちのめして妨害しなさい。イエロードッグ程度のコード攻略スキルじゃ対抗することなんて難しいと思うから!行くわよ!」
ヘルエスさんはそう言うと前をゆく雫たちを追いかけ始めた。くそっ!なんだよ、全員走りのスキル持ちかよ!行くわよったって走れないんじゃ追いつけない!
「なんだよクソガキ、走れないのか?」
モモにそう言われるが矢先に首の後ろを捕まれて宙に舞う。襟元で首が締まってく゛る゛し゛い゛……。なんとかモモに獲物のように捕まれて前線に追いついた。当然、落とされてお尻が痛い。
前線では凄まじい応酬が繰り広げられていた。腕に巻いたホログラム通信機からコンソールが投影され、それに攻略コードお打ち込みながら敵の攻撃に対応している。スイッチ!と叫びながら雫はセスと攻撃とコード攻略を交互に繰り返しているようだった。ボーゲンは強固な防御スキルを持っているようで敵を跳ね返している。
ローズとセルシスは思った通り、攻撃の瞬間に転移してコード攻略を続けている。
押しているように見える。相手が徐々に減り始めている。このまま行ければ俺たちの勝ちとなりそうだ。
「情けないな。この程度で」
なんだ!?あたりを見回すが近くには誰もいない。そう。誰もいない。ヘルエスさんもジェシカさんも居なくなってる。
「くっそ!クソガキ!耳を塞げ!」
モモにそう言われて咄嗟に耳を塞ぐ。
「なにが!なにが起きてるんだ!」
モモはローズにこっちに来いとジェスチャーをしている。二人はこちらに転移してローズに防御スキルの発動を急がせている。
「あの野郎……、ガルの野郎!遠隔スキルの持ち主だ!通常のコード攻略可能範囲を無視して、見える範囲全てを攻略可能範囲にするスキルだ。やつの声を聞かなければ攻略対象から回避出来るはずだ!」
モモはそう叫ぶとセルシスにも耳を塞ぐように指示をしている。防御スキルを展開中のローズさんはどうなるのだろうか。耳を塞げていない!そう思ってモモにどうすればよいか来聞こうとしたら先にこう言われた。
「ローズは問題ねぇな。何しろ耳が聞こえねぇ」
「ねぇ!ジェシカさんとヘルエスさんは!?」
セルシスが不安そうな顔でモモに確認している。恐らくはガルに攻略されてしまったのだろう。あの瞬間から姿が見えない。
「なにやってるんだ。ガルがここに出てきたってことは、ローラインはノーマークだ。転移スキルで一気にローラインを奪還するぞ!」
モモにそう言われてセルシスが手を繋ぎ転移スキルを発動させた。
「ローライン!」
俺たちは無事にローラインの元に転移、奪還して闘技士の主人、ウォルスの屋敷に戻ってきた。雫とセス、ボーゲンは大丈夫なのだろうか。
「無事だったようだね。ローライン」
「ウォルスさん!ジェシカさんとヘルエスさんが!」
「分かっている。サーチスキルで君達のことはずっと見ていたからね。残念なことだ。だが、どうにもならない。私たちは私たちで出来ることを続けるのが、彼女たちを報いることにになる」
ウォルスさんは落ち着いている。すごい胆力だ。娘が亡くなったというのに。
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