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第三章 そして、少年は運命に出会った
二つのお墓と女の子
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[エヴァン視点]
一番遠くの結界道具の側には、二つのお墓らしき物があった。
「……女の子?」
その前には小さな女の子が丸くなって眠っていた。
ピンクがかった銀色の髪が、キラキラと陽に当たって輝いてた。
「……生きてるの?」
そっと近づいて顔を覗き込んでみると、可愛い顔をしてピスピスと寝息を立てていた。
「…生きてる。でも、こんなとこでこんな小さな子が一人?」
周りを見渡したが、誰かがいるようでもない。
「ねえ、起きて。ここで寝てたら危ないよ?」
なるべく乱暴にならないようにユサユサと体を揺らすと、
「ふ…ん……ん?」
と、目を擦りながら体を起こした。
「にいたん?」
私を上げた大きな瞳はとってもキレイな水色をしていた。
「……おにいたん、だあえ?」
こてんと首を傾げたその子は、私と視線が合っているのに普通だった。
「私はエヴァン。ここはたまに魔物が出るから危ないよ。君は一人なの?」
私の言葉に女の子は、キョトンとしている。
「ちぇりあ、あぶやくないお?おとうたん、おかあたんいるもん!」
「…チェリアって言うの?お父さんとお母さんはどこ?」
ニコニコ笑う女の子にそう問いかけると、ピンクのほっぺがまん丸く膨らんだ。
「しぇりあ、ちあう!ちぇりあなろ!」
「え?シェリア?チェリア?」
「ちあうのーっ!!」
ほっぺがどんどん、膨らんでく。
こんなに膨らんだら、つついた時に割れないかな?
なんて思って思わず見てた。
「わんわんおにいたん!」
「わんわん?わんわんって、私の事?私はエヴァンだよ?」
「えわん?」
そんなやり取りを何度も繰り返し、私をヴァン。女の子はリアと呼ぶことで落ち着いた。
「こえ、りあのおとうたん、おかあたん!」
二つのお墓はリアの両親の物だった。
「らーにいたん、かーにいたんとおべんとうなろよ!」
「お弁当?あ、お勉強かな?」
リアには兄が二人いるみたいだ。
ゆっくりゆっくり気長に話を聞いていると、リアは兄達が勉強してる間は邪魔にならないように両親のお墓のところにいるらしい。
「…寂しくないの?」
「たびちい?」
不思議そうにコテンと首を横にすると、スルンとキレイな髪が横に流れてく。
私と目が合っても、一緒に話してても、リアは全然変わらなかった。
「明日も来る?」
気がつけばリアに明日も会いたいと思っていた。
「あい!あちたもくる!」
にっこり笑うリアがとっても可愛くて、胸の奥がじんわりと暖かくなってきたんだ。
「じゃあ、明日は絵本を持ってきて読んであげる」
「ほんと!?」
ぱあっと嬉しそうに笑うリアはものすごく可愛くて、私はそれから毎日、リアに会うためにそこに通った。
※※※※※※※※
[カフィル視点]
「………これはまた、予想外だねぇ…」
落ち込んだ若様の気分転換で訪れた侯爵家の別荘。
着いて早々、オークの群れを魅了してしまったと落ち込んでいた若様が、いつからか明るい表情をしていることに気がついた。
『毎日、オヤツとお茶と絵本を、持って出かけてんですよね…』
ラフィン達はものすごく不思議そうにしてたけど、若様が明るくなったならいいかと安心していた。
僕はといえば、何となーく気になって、ある日こっそり若様の後をつけた。
「ヴァンおにいたん!」
「リアー!」
一番遠くの結界魔道具の側に、ちっちゃい女の子がいて、若様の事を呼ぶと若様は嬉しそうに女の子へと駆け寄っていった。
「え?若様、魔道具付けてないよね?」
女の子はニコニコ笑いながら、若様の足の間に座って絵本を読んでもらっている。
「……《鑑定》っと」
3歳の女の子は加護スキル《守護》を持っていた。
「しかもあの歳でレベルMAX……」
《守護》スキルは《耐性》スキルの上位スキルとも言える。
若様の《魅力》が無効化されているのだろう。
顔を見上げ、喜んで笑いかける女の子に若様はすごく穏やかに嬉しそうに微笑みながら、絵本を読んでいた。
服装から見て、女の子は少し裕福な平民の子供なのだろう。
侯爵家の嫡男である若様と、結ばれることはまずないだろうから、こんな幸せな思い出があってもいいかなと、僕は二人が帰って居なくなった後に、そこにも念の為にと強めの結界魔道具を置いてきた。
ーーまあ、あの子の《守護》スキルなら、ボクの結界魔道具なんて、意味が無いかもしんないけどね…。
一番遠くの結界道具の側には、二つのお墓らしき物があった。
「……女の子?」
その前には小さな女の子が丸くなって眠っていた。
ピンクがかった銀色の髪が、キラキラと陽に当たって輝いてた。
「……生きてるの?」
そっと近づいて顔を覗き込んでみると、可愛い顔をしてピスピスと寝息を立てていた。
「…生きてる。でも、こんなとこでこんな小さな子が一人?」
周りを見渡したが、誰かがいるようでもない。
「ねえ、起きて。ここで寝てたら危ないよ?」
なるべく乱暴にならないようにユサユサと体を揺らすと、
「ふ…ん……ん?」
と、目を擦りながら体を起こした。
「にいたん?」
私を上げた大きな瞳はとってもキレイな水色をしていた。
「……おにいたん、だあえ?」
こてんと首を傾げたその子は、私と視線が合っているのに普通だった。
「私はエヴァン。ここはたまに魔物が出るから危ないよ。君は一人なの?」
私の言葉に女の子は、キョトンとしている。
「ちぇりあ、あぶやくないお?おとうたん、おかあたんいるもん!」
「…チェリアって言うの?お父さんとお母さんはどこ?」
ニコニコ笑う女の子にそう問いかけると、ピンクのほっぺがまん丸く膨らんだ。
「しぇりあ、ちあう!ちぇりあなろ!」
「え?シェリア?チェリア?」
「ちあうのーっ!!」
ほっぺがどんどん、膨らんでく。
こんなに膨らんだら、つついた時に割れないかな?
なんて思って思わず見てた。
「わんわんおにいたん!」
「わんわん?わんわんって、私の事?私はエヴァンだよ?」
「えわん?」
そんなやり取りを何度も繰り返し、私をヴァン。女の子はリアと呼ぶことで落ち着いた。
「こえ、りあのおとうたん、おかあたん!」
二つのお墓はリアの両親の物だった。
「らーにいたん、かーにいたんとおべんとうなろよ!」
「お弁当?あ、お勉強かな?」
リアには兄が二人いるみたいだ。
ゆっくりゆっくり気長に話を聞いていると、リアは兄達が勉強してる間は邪魔にならないように両親のお墓のところにいるらしい。
「…寂しくないの?」
「たびちい?」
不思議そうにコテンと首を横にすると、スルンとキレイな髪が横に流れてく。
私と目が合っても、一緒に話してても、リアは全然変わらなかった。
「明日も来る?」
気がつけばリアに明日も会いたいと思っていた。
「あい!あちたもくる!」
にっこり笑うリアがとっても可愛くて、胸の奥がじんわりと暖かくなってきたんだ。
「じゃあ、明日は絵本を持ってきて読んであげる」
「ほんと!?」
ぱあっと嬉しそうに笑うリアはものすごく可愛くて、私はそれから毎日、リアに会うためにそこに通った。
※※※※※※※※
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「………これはまた、予想外だねぇ…」
落ち込んだ若様の気分転換で訪れた侯爵家の別荘。
着いて早々、オークの群れを魅了してしまったと落ち込んでいた若様が、いつからか明るい表情をしていることに気がついた。
『毎日、オヤツとお茶と絵本を、持って出かけてんですよね…』
ラフィン達はものすごく不思議そうにしてたけど、若様が明るくなったならいいかと安心していた。
僕はといえば、何となーく気になって、ある日こっそり若様の後をつけた。
「ヴァンおにいたん!」
「リアー!」
一番遠くの結界魔道具の側に、ちっちゃい女の子がいて、若様の事を呼ぶと若様は嬉しそうに女の子へと駆け寄っていった。
「え?若様、魔道具付けてないよね?」
女の子はニコニコ笑いながら、若様の足の間に座って絵本を読んでもらっている。
「……《鑑定》っと」
3歳の女の子は加護スキル《守護》を持っていた。
「しかもあの歳でレベルMAX……」
《守護》スキルは《耐性》スキルの上位スキルとも言える。
若様の《魅力》が無効化されているのだろう。
顔を見上げ、喜んで笑いかける女の子に若様はすごく穏やかに嬉しそうに微笑みながら、絵本を読んでいた。
服装から見て、女の子は少し裕福な平民の子供なのだろう。
侯爵家の嫡男である若様と、結ばれることはまずないだろうから、こんな幸せな思い出があってもいいかなと、僕は二人が帰って居なくなった後に、そこにも念の為にと強めの結界魔道具を置いてきた。
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