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第2章 王都へ
90 盗賊団③
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「あの囲いからは逃げるのは難しそうね」
「ここにいる盗賊一味をどうするかは後で決めるとして、とりあえず馬車の救出に向かおう」
簡単に逃げ出せないように、壁の高さは10mほどにし、壊されないように丈夫に作っておいた。
盗賊団の人たちも必死で壁をよじ上ろうとしているけど叶わず、悪態をついてるみたい。
万が一壁を乗り越えれたとしても、馬は一緒に連れてはいけないから、仲間に助けを求める前に私たちの方が先に馬車を助けに向かうことができる。
「ロンさんっ!高度を下げてもらえるっ?アランを回収したら、そのまま馬車の救出に向かうわっ!」
シーラさんがロンさんに向かって声をかける。
「わかった!」
ロンさんは首に下げてあった笛を吹くけど、私には音が全く聞こえなかった。
なのに、フェリシアは耳をピクピクっと動かしたあと高度を下げる。竜にしか聞こえない特別な笛なのかな?
「アランっ!」
マーヴェイさんはアランさんに向かって必死で呼び掛ける。
ある程度高度を下げたところで、フェリシアの影が街道を覆い、アランさんがこちらに気づく。
盗賊団の人たちもフェリシアに気づいて、悲鳴をあげて逃げようとするけど、壁に囲われ逃げることが叶わず、必死で壁によじ登ろうとする人や命乞いをする人などで囲いの中は大騒動だ。
フェリシアは大人しいのになんでそんなに怯えるのかな?
「マーヴェイ!」
「今からお前を回収して馬車の救出に向かう!こちらに戻れるか?」
「ああっ!」
アランさんは風魔法を使い、ここまでかけ上がってくる。
「よっとっ!」
あっという間に近づくと、最後に大きく飛び上がり、私たちの目の前に着地する。
「もうっ!このバカっ!」
シーラさんはアランさんにかけ寄り、アランさんの胸元を思いっきり叩くと、お説教を始める。
マーヴェイさんはそんな二人に構わず、進行方向をじっと見ている。
馬車の状況を確認しているみたい。
盗賊の人たちはいまだにフェリシアに怯えて、錯乱状態だ。
可哀想になったので、屋根を取り付けてフェリシアが見えないようにしてあげる。
これで盗賊の人たちも怖くないだろう。それに、屋根を取り付ける前に忘れずに怪我人にヒールをかけてあげる。
悪い人たちだけど、怪我しているのをそのまま放置するのも可哀想だもんね。
一人で満足していると、リードに『姉さんは想像を軽々と越えて来るぜっ』と言われた。
ちょっと意味がわからないけど、目をキラキラさせて言われたから、誉められてるんだよね?
フェリシアは高度を下げたままあっという間に囲いから遠く離れる。
こんなにすぐだったら、屋根はいらなかったかな?
「あんたが考えなしで飛び込むから、こっちは尻拭いで大変だったのよ?なんで少しの時間ぐらい待てないのっ!」
「すまんっ。俺が悪かった!後でいくらでもお説教は聞く!でも、今は馬車の救出が先だ。馬車の状況は?」
シーラさんのお説教はまだ続いていたけど、馬車の様子が気になったアランさんが遮る。
「お前のお陰で盗賊の数が減ったからな。まだ護衛が頑張って持ちこたえている。だが、あちらに手練れが向かったようで、今のままでは倒されるのも時間の問題だな」
拘束した盗賊たちは全部で10人。
20人ほどが馬車に向かったわけだから、数を考えてもまだ盗賊団の方が有利だ。
そうやって話している間に馬車との距離が近づき、ついには馬車の間近に到着する。
高度を下げたためか、盗賊団たちがフェリシアに気づき、動きを止める。
「このまま下に降りるぞ!」
「ええ!サラちゃん、ここから回復魔法をお願いしてもよいかしら?」
「はいっ!」
「えっ?サラちゃん?」
「行くわよ!」
アランさんは今になって私の存在に気づいたようで驚いていたけど、すぐにシーラさんに蹴飛ばされてそのまま飛び降りる。
だ、大丈夫かな?
「じゃあ、行ってくる」
「行ってきます。なるべくロンさんのそばにいてね」
「行ってらっしゃい!」
シーラさんとマーヴェイさんは私に挨拶すると、次々と飛び降りていった。
すぐに下を覗きこむと、アランさんは風をクッションにして軽やかに馬車の前に着地する。
二人の着地先にも同じように風のクッションを作ると、マーヴェイさんたちも体制を崩すことなく着地した。
馬車の護衛たちは突然の闖入者に警戒するも、アランさんの姿を見て、剣を向けるのをやめる。
「あなた方は」
「俺たちは冒険者です。あなたたちの助太刀に来ました」
「おおっ。ありがたいっ!」
アランさんの言葉に護衛の人たちは表情を明るくする。よく見ると護衛の人たちは全身傷だらけで、立っているのが不思議なくらいだ。
盗賊団は一度馬車から距離を取り、アランさんたちの様子をうかがっていた。
フェリシアを怖がる様子もないのは、マーヴェイさんが言ってたように手練れだからなのだろう。
「お前はさっきの…」
盗賊団の人たちの中で、一際体格が良くて、大きな剣を背中に背負った男の人がアランさんを見て、盗賊団の後方から前に進み出る。
その際に周りを固めていた盗賊団の人たちが一斉に脇に寄り、道を作った様子から、彼がこの盗賊団の首領なのがわかった。
「お前がこの盗賊団の首領か?」
「ああ、そうだ。突然現れたと思ったら、さっきも竜に乗ってたんだな。お前を倒すために置いてきたやつらをどうした」
「俺にも良くわからんが、生きてはいるよ」
アランさんには詳しい説明をしていないから、わからないのも仕方がないんだけど、シーラさんたちまで首をかしげてるのはなんでだろう。
「ふざけたこと言いやがって。俺を馬鹿にしてんのかっ!」
馬鹿にされたと思った首領が吠える。
とてつもない声量にアランさんたちは顔をしかめ、馬たちは興奮したように暴れる。
首領は馬を落ち着かせることなく、部下たちに命令を下す。
「野郎共、こいつらの一人だけ生かして仲間の居場所をはかせるぞ。後のやつらは馬車の護衛たち同様に殺して構わん」
「「「「「「へいっ!」」」」」」
「いけっ!」
ついに盗賊団との最後の戦いが始まる。
「ここにいる盗賊一味をどうするかは後で決めるとして、とりあえず馬車の救出に向かおう」
簡単に逃げ出せないように、壁の高さは10mほどにし、壊されないように丈夫に作っておいた。
盗賊団の人たちも必死で壁をよじ上ろうとしているけど叶わず、悪態をついてるみたい。
万が一壁を乗り越えれたとしても、馬は一緒に連れてはいけないから、仲間に助けを求める前に私たちの方が先に馬車を助けに向かうことができる。
「ロンさんっ!高度を下げてもらえるっ?アランを回収したら、そのまま馬車の救出に向かうわっ!」
シーラさんがロンさんに向かって声をかける。
「わかった!」
ロンさんは首に下げてあった笛を吹くけど、私には音が全く聞こえなかった。
なのに、フェリシアは耳をピクピクっと動かしたあと高度を下げる。竜にしか聞こえない特別な笛なのかな?
「アランっ!」
マーヴェイさんはアランさんに向かって必死で呼び掛ける。
ある程度高度を下げたところで、フェリシアの影が街道を覆い、アランさんがこちらに気づく。
盗賊団の人たちもフェリシアに気づいて、悲鳴をあげて逃げようとするけど、壁に囲われ逃げることが叶わず、必死で壁によじ登ろうとする人や命乞いをする人などで囲いの中は大騒動だ。
フェリシアは大人しいのになんでそんなに怯えるのかな?
「マーヴェイ!」
「今からお前を回収して馬車の救出に向かう!こちらに戻れるか?」
「ああっ!」
アランさんは風魔法を使い、ここまでかけ上がってくる。
「よっとっ!」
あっという間に近づくと、最後に大きく飛び上がり、私たちの目の前に着地する。
「もうっ!このバカっ!」
シーラさんはアランさんにかけ寄り、アランさんの胸元を思いっきり叩くと、お説教を始める。
マーヴェイさんはそんな二人に構わず、進行方向をじっと見ている。
馬車の状況を確認しているみたい。
盗賊の人たちはいまだにフェリシアに怯えて、錯乱状態だ。
可哀想になったので、屋根を取り付けてフェリシアが見えないようにしてあげる。
これで盗賊の人たちも怖くないだろう。それに、屋根を取り付ける前に忘れずに怪我人にヒールをかけてあげる。
悪い人たちだけど、怪我しているのをそのまま放置するのも可哀想だもんね。
一人で満足していると、リードに『姉さんは想像を軽々と越えて来るぜっ』と言われた。
ちょっと意味がわからないけど、目をキラキラさせて言われたから、誉められてるんだよね?
フェリシアは高度を下げたままあっという間に囲いから遠く離れる。
こんなにすぐだったら、屋根はいらなかったかな?
「あんたが考えなしで飛び込むから、こっちは尻拭いで大変だったのよ?なんで少しの時間ぐらい待てないのっ!」
「すまんっ。俺が悪かった!後でいくらでもお説教は聞く!でも、今は馬車の救出が先だ。馬車の状況は?」
シーラさんのお説教はまだ続いていたけど、馬車の様子が気になったアランさんが遮る。
「お前のお陰で盗賊の数が減ったからな。まだ護衛が頑張って持ちこたえている。だが、あちらに手練れが向かったようで、今のままでは倒されるのも時間の問題だな」
拘束した盗賊たちは全部で10人。
20人ほどが馬車に向かったわけだから、数を考えてもまだ盗賊団の方が有利だ。
そうやって話している間に馬車との距離が近づき、ついには馬車の間近に到着する。
高度を下げたためか、盗賊団たちがフェリシアに気づき、動きを止める。
「このまま下に降りるぞ!」
「ええ!サラちゃん、ここから回復魔法をお願いしてもよいかしら?」
「はいっ!」
「えっ?サラちゃん?」
「行くわよ!」
アランさんは今になって私の存在に気づいたようで驚いていたけど、すぐにシーラさんに蹴飛ばされてそのまま飛び降りる。
だ、大丈夫かな?
「じゃあ、行ってくる」
「行ってきます。なるべくロンさんのそばにいてね」
「行ってらっしゃい!」
シーラさんとマーヴェイさんは私に挨拶すると、次々と飛び降りていった。
すぐに下を覗きこむと、アランさんは風をクッションにして軽やかに馬車の前に着地する。
二人の着地先にも同じように風のクッションを作ると、マーヴェイさんたちも体制を崩すことなく着地した。
馬車の護衛たちは突然の闖入者に警戒するも、アランさんの姿を見て、剣を向けるのをやめる。
「あなた方は」
「俺たちは冒険者です。あなたたちの助太刀に来ました」
「おおっ。ありがたいっ!」
アランさんの言葉に護衛の人たちは表情を明るくする。よく見ると護衛の人たちは全身傷だらけで、立っているのが不思議なくらいだ。
盗賊団は一度馬車から距離を取り、アランさんたちの様子をうかがっていた。
フェリシアを怖がる様子もないのは、マーヴェイさんが言ってたように手練れだからなのだろう。
「お前はさっきの…」
盗賊団の人たちの中で、一際体格が良くて、大きな剣を背中に背負った男の人がアランさんを見て、盗賊団の後方から前に進み出る。
その際に周りを固めていた盗賊団の人たちが一斉に脇に寄り、道を作った様子から、彼がこの盗賊団の首領なのがわかった。
「お前がこの盗賊団の首領か?」
「ああ、そうだ。突然現れたと思ったら、さっきも竜に乗ってたんだな。お前を倒すために置いてきたやつらをどうした」
「俺にも良くわからんが、生きてはいるよ」
アランさんには詳しい説明をしていないから、わからないのも仕方がないんだけど、シーラさんたちまで首をかしげてるのはなんでだろう。
「ふざけたこと言いやがって。俺を馬鹿にしてんのかっ!」
馬鹿にされたと思った首領が吠える。
とてつもない声量にアランさんたちは顔をしかめ、馬たちは興奮したように暴れる。
首領は馬を落ち着かせることなく、部下たちに命令を下す。
「野郎共、こいつらの一人だけ生かして仲間の居場所をはかせるぞ。後のやつらは馬車の護衛たち同様に殺して構わん」
「「「「「「へいっ!」」」」」」
「いけっ!」
ついに盗賊団との最後の戦いが始まる。
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