私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

文字の大きさ
261 / 278
第4章 王立魔法学校一年目

295 お茶会からの帰り道②

しおりを挟む
「サラ、何をっ!?」
『サラ様!?』

 ジークとモスが驚きの声を上げる。私は首元から例のお守り袋を取り出すと、ジークの目の前に差し出した。

「これ!」
「お守り、ですか?」
「そう!お母さんに作ってもらったの。この中にはジークのイヤーカフが入れてあるんですっ」
「僕の?」
「うん!!」

 不思議そうに尋ねるジークに勢いよく頷くと、お守り袋の口を開いて、中にあるイヤーカフを見せた。

「このイヤーカフを私に渡してくれた時のこと覚えていますか?あの時、ジークは困った事があったら、イヤーカフを持って、会いに来てって言ってくれました。会ったばかりの私に親身になってくれて、すごくうれしかった」
「サラ…」
「お守り袋の上からイヤーカフをぎゅっと掴むとね、すごく安心するんです。だからね、ジークは私を助けてくれてるんだよ!!」
「……」
「えっと!だから、その……」
 
 自分でも何を言っているのか、途中からよくわからなくなってきた。感謝しているのは本当なのに、うまくそれを伝えれなくて、情けなくなってくる。
 でも、私の思いはジークに伝わったようだ。
 
「…ありがとう」
「っ!!こちらこそですっ!!」

 さっきまでとは違う本物の笑顔に、うれしくってこちらも笑顔になる。良かったと胸を撫でおろしつつ、お守り袋を再び服の中に戻していると、前方からコホンと咳払いが聞こえた。わざとらしい咳払いにジークを見れば、当人はなぜか熱心に外を見つめていた。

「外に何かありました?」

 一緒になって外を覗いて見るけれど、特に珍しいものは何も見えなかった。

「いえ、何も…。えーと、サラ?」
「はい」
「あのですね、僕のためにしてくれたことは十分理解しているんです」
「?はあ…」

 回りくどい言い方に首をかしげる。結局、何が言いたいのかな?

「理解しているのですが…、それでも異性の前で服の中に手を入れるのは…」
「服?…はっ!!」
 
 私ったらジークの目の前でとんでもないことをっ!?
 学校につくまでの間、とても気まずい思いをしたのは、まさに自業自得だろう。


◇◇◇


「…まいったな」

 サラを学校に送っていた後の馬車の中で、ジークは一人呟いた。
 ジークが情けないと呟いた本当の理由は、実のところ別にあった。
 お茶会の席で、リュミエルの口からランディー・ダフィルの名前を聞いた時、すぐにサラ親子の因縁の相手であるジェームズ・ダフィルのことが脳裏をよぎった。それでも、なんとか動揺を押し殺すことに成功できたと思っていた。まさか、それをリュミエルに悟られるとは思いもよらなかった。あの場では何とか誤魔化すことに成功はしたが、自らの未熟ぶりをジークは情けなく感じていた。
 それがつい言葉に出てしまったのだ。それをサラに聞かれてしまうとは、まさに痛恨の極みであった。
 だが、マーブルに口止めされている以上、サラに言うことはできない。それに、ジェームズの息子と良好な関係を築いているのであれば、波風を立てるのは望ましくない。悩んだ末、出てきた言葉があれだった。
 だが冷静になった今ならわかる。あれもまた自分の本心であったのだと。
 要は、自分は拗ねていたわけだ。だから、サラにそんな事ないと反論され、沈んでいた心が容易く浮上した。

『ジーク、大丈夫か?』
「セヴィ様、僕はまだまだですね」

 ジークは心配げに見つめるセヴィに苦笑いで答える。だが、その瞳の中にはある決意が宿っていた。
しおりを挟む
感想 264

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。