20 / 182
2020年、感染拡大前夜 20
しおりを挟む
午後6時を過ぎる頃になると、だんだんテーブルが埋まってきた。大体6割くらいになり、私たちの動きも活発になってきた。だが、忙しくなっても動きながら会話に聞き耳を立てていた。これまではそういうことはなかったし、本来は失礼なことだ。だからプライベートと思われるような話には素通りするつもりで耳を傾けていた。
するとチラホラ新型ウイルス関連の話が耳に入ってきた。ダイヤモンドプリンセス号の乗客の件だ。次々に感染者の数字がテレビなどで発表されていたので、これが日本国内に広がらなければ、といった心配の声だった。国内でも少しずつ感染者の数字が増えていたが、身近な感じではない。その分、すごく心配するといった感じは見受けられなかったが、それでも少しずつ関心を持つ人が増えているんだと感じた。
居酒屋という、人が本音を口に出す機会が多い場所にいて、会話に聞き耳を立てないというのは仕事の暗黙のルールとして守っていたが、新型ウイルスのことをきっかけにその封印をちょっと解いてみたら、同じように心配する人がいたことに変な安心感を覚えていた。
というのは、今回、マスクやアルコール消毒液を多めに買い込むことで、心配のし過ぎではという思いもあったからだが、薬局の様子を合わせて考えると、それほど方向性は外していなかったのでといった思いが湧いてきた。
ただ、それは同時に感染拡大が起こり、自分や身近な人が罹患したら、といった懸念があるからだ。今朝、美津子と以前観た映画のことを話したことも関係あるかもしれないが、ウイルスの性質によっては一気に広がるかもしれない、という気持ちがあった。同時にそれはあくまでも映画の中の話と思うようにしているし、日本の医療システムにもそれなりの信頼を持っている。その根拠はと言われるとはっきりしているものはないが、日本という国の力を信じていたのだ。
だが、それが自分は感染しないという保証にはならない。感染者と非感染者の数を比べる時、後者のほうが多いとすれば人は自然にそのほうに自分も入ると期待する。
しかし、その逆もあるわけで、その場合、数字は意味を持たない。自分にとっては100パーセントになるからだ。
店内での話に聞き耳を立てていると、ついそういうことを考えてしまう自分がいたが、すぐにその場の現実に引き戻される。オーダーが入るからだ。
当然のことだが、だんだん人が増えてくると、身体を動かすことに集中するため、少しずつ新型ウイルスのことは頭から離れていった。
するとチラホラ新型ウイルス関連の話が耳に入ってきた。ダイヤモンドプリンセス号の乗客の件だ。次々に感染者の数字がテレビなどで発表されていたので、これが日本国内に広がらなければ、といった心配の声だった。国内でも少しずつ感染者の数字が増えていたが、身近な感じではない。その分、すごく心配するといった感じは見受けられなかったが、それでも少しずつ関心を持つ人が増えているんだと感じた。
居酒屋という、人が本音を口に出す機会が多い場所にいて、会話に聞き耳を立てないというのは仕事の暗黙のルールとして守っていたが、新型ウイルスのことをきっかけにその封印をちょっと解いてみたら、同じように心配する人がいたことに変な安心感を覚えていた。
というのは、今回、マスクやアルコール消毒液を多めに買い込むことで、心配のし過ぎではという思いもあったからだが、薬局の様子を合わせて考えると、それほど方向性は外していなかったのでといった思いが湧いてきた。
ただ、それは同時に感染拡大が起こり、自分や身近な人が罹患したら、といった懸念があるからだ。今朝、美津子と以前観た映画のことを話したことも関係あるかもしれないが、ウイルスの性質によっては一気に広がるかもしれない、という気持ちがあった。同時にそれはあくまでも映画の中の話と思うようにしているし、日本の医療システムにもそれなりの信頼を持っている。その根拠はと言われるとはっきりしているものはないが、日本という国の力を信じていたのだ。
だが、それが自分は感染しないという保証にはならない。感染者と非感染者の数を比べる時、後者のほうが多いとすれば人は自然にそのほうに自分も入ると期待する。
しかし、その逆もあるわけで、その場合、数字は意味を持たない。自分にとっては100パーセントになるからだ。
店内での話に聞き耳を立てていると、ついそういうことを考えてしまう自分がいたが、すぐにその場の現実に引き戻される。オーダーが入るからだ。
当然のことだが、だんだん人が増えてくると、身体を動かすことに集中するため、少しずつ新型ウイルスのことは頭から離れていった。
33
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる