先輩たちの心の声に翻弄されています!

七瀬

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第2章

第13話

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三連休が終わり、学校に登校した。

足首はまだ完全には治っていなかったが、ルカが「大丈夫」と言ってくれたので、学校に来ることにした。

昨日の夜、ルカは「学校で無理はするなよ」と何度も言ってくれた。その過保護さに、少し照れながらも、嬉しく感じていた。

教室に着くと、いつもと違う空気を感じた。

何故か、みんなが俺を見ている。
いつもは、そこまで露骨ではなかったのに。

居心地の悪い教室で少し過ごしたあと、昼休みが近づいてきた。

食堂へ向かう途中。
廊下で、何人かの男子に止められた。

「綾瀬。ちょっと時間ある?」

1年生の男子が言った。

「……何ですか?」

「いや、その……」

男子たちは、俺を囲むような形で立ちはだかった。

その時、背後から声がした。

「どこいくんだ、遙真?」

不破先輩だ。

「あ……」

不破先輩が、さっと俺の前に立った。

その動きは、自然で、でも明確な意思が込められていた。

「何か用かな?」

橘先輩も、いつの間にか俺の隣に立っていた。

その時、男子たちの顔色が変わった。

一気に重たい空気が流れて、男子たちは一瞬で散り散りになった。

「大丈夫か?」

不破先輩が、心配そうに俺を見る。
その瞳には、深い怒りが隠されていた。

「はい。ありがとうございます」

心の中では、何が起きているのか、理解できていなかった。

でも、不破先輩がいてくれて、安心した。

「食堂に行くんだろ?俺たちも」

橘先輩が言った。

さっきの出来事でまだ心臓はバクバクしている。怖いというか、緊張というか。身体は無意識に反応していたのだ。だから、橘先輩の申し出はすごく嬉しかった。

「…はい、ありがとうございます」

三人で食堂に向かう。

到着すると、千隼と奏多が既に席に着いていた。
千隼は手を振って、奏多は何か複雑な表情をしていた。

五人で座ると、テーブルが満杯になってしまったが、誰もが俺を中心にして座った。

無言のうちに、俺を守るような配置になっていた。

昼食を食べ始めると、奏多が重い口を開いた。

「遙真。俺たちのこと、許してくれるかわからないけど……」

「何?」

奏多の表情は、いつもと違っていた。
いつもの冷静さではなく、深い自責の念があった。

「親衛隊のことだ。俺たちは、お前がこんなに行き過ぎてるとは思ってなかった」

千隼が続ける。

「本当にごめん。昨日、階段から落ちたじゃん。その時に、何か変だなとは思ってたけど……まさか、こんなに酷いとは思ってなくて」

千隼の声には、後悔と怒りが入り混じっていた。

「…親衛隊?」

俺は、その言葉を聞いて、頭がクラクラした。

「入学してからずっと、お前を『守る』という名目で、お前に近づく男子を遠ざけてきた奴らだ」

奏多が説明した。

その説明は、冷静だけど、その奥には深い怒りが隠れていた。

「3年生から1年生まで、30人以上いるらしい」

30人以上。

俺を守るために。

その言葉が、ゆっくりと俺の心に沁み込んでいった。

「本当に申し訳ねぇ」

不破先輩が言った。

その声には、深い怒りと、強い後悔が込められていた。

「俺たちも、親衛隊に邪魔されてた。俺が放課後に待ってたのも、何度も邪魔されたし。昨日だって、遙真を迎えに来たあの外国人のことで、あの連中が集まって……」

不破先輩は、言葉を続けた。

その表情は、怒りで歪んでいた。

「あの外国人をお前の彼氏だと思い込んで。遙真の周りに、さらに厳しく、壁を作ろうとしてた」

ルカが彼氏だと思われてるのか。

「えっ、そんなことが」

「それだけじゃない」

橘先輩が言った。

その声には、冷たい怒りが込められていた。

俺は、何度も遙真に会いに行った。放課後、昇降口で待ってた。でも、毎回、『先輩、急いでますよね』って理由をつけて、邪魔される。同級生や3年生に」

橘先輩は、握った拳を机の上に置いた。

「昨日だって、遙真を見かけたから、何か言おうとしたら、その直後に親衛隊の連中が集まってきた。で、いろいろ指示してた。『もう、あの外国人と一緒だから、遙真には近づくな』って」

千隼が怒った。

「本気で腹立つ。何の権利があって、そんなことするんだよ。遙真はお前らのものじゃねぇぞ」

千隼の言葉は、叫びに近かった。

奏多も、いつもと違う、冷たい顔をしていた。

「親衛隊の連中は、遙真のことなんか本当は考えてない。ただ、自分たちの欲望のために、遙真を縛ってるだけだ」

奏多の言葉は、鋭かった。

「俺と千隼は、お前の親友だから、親衛隊から『許可』を得てる。だから、いつも会えた。でも、それ以外の誰も……」

「そうだ。遙真は何もしてない。ただ、入学してきただけ。それなのに、こんなことをされてる」

不破先輩の言葉には、深い怒りが込められていた。

その怒りは、俺に向けられたものではなく、親衛隊に向けられたものだった。

「俺たちで、親衛隊に対抗しよう」

橘先輩が提案した。

その声には、強い決意があった。

「遙真の自由を取り戻す。そのためなら、何だってする」

「そうだな」

不破先輩も同意した。

「もう、親衛隊の好きなようにはさせない」

その言葉を聞いたとき、俺の心の中に、複雑な感情が生まれた。

怒り。

困惑。

そして、不破先輩たちへの感謝。

でも、同時に、自分がここまで支配されていたという事実に、ショックを受けていた。

親衛隊。

その言葉が、何度も何度も、頭の中で反響した。

俺は……誰かに支配されていたのか。

それなのに、そのことに気づかなかった。

「遙真。大丈夫か?」

千隼が心配そうに声をかける。

「……うん。ただ、ショックで」

俺は、自分の気持ちをどう表現していいのか、わからなかった。

「もう何もされることはない」

奏多が言った。

その言葉には、強い約束があった。

「俺たちが守る」

不破先輩も頷いた。

「もう、二度と、お前を勝手に支配させたりしない」

その言葉に、俺は何も言えず、ただ頷くしかできなかった。

親衛隊に対する怒りと、今ここにいる四人への感謝が、心の中で混在していた。


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