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ぬくもり
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伸二の傷ついてヌルついた手のひらは、私の手首を掴んで離さない。
少し伸びた伸二の爪が手首に食い込んで、どこか現実じみてない感覚の中、ぴりっと熱い痛みを伝えた。
「ね、痛いってば……」
弱々しい声が、地下駐車場で木霊した。わずか数ヶ月前、晩秋まで過ごしていた──伸二と暮らしていた、マンションの地下。
車を降りて、伸二に引きずられるように、仄暗いそこを歩く。声と足音がコンクリートと鉄骨に、ボワンと響く。
「うん」
伸二が穏やかに目を細める。それがかえって怖くて、ぐっと唇を噛んだ。
せめてもの抵抗で、身体を捩る。けれどそんなのなんの意味もなさなくて、ひくついて泣きそうになるのをグッとこらえた。
(なんとか連絡を……)
謙一さんに……なんとか。
そう思うものの、伸二は全く油断してくれなくて。
(私の、ばか!)
色々後悔するけれど、……でも今は、そんな時じゃない!
伸二がなにをするつもりなのかは分からないけれど、とにかく彼の精神状態が良くないことだけは分かる。
(絶対に、大丈夫)
ことここに至って──やっと私は思考がクリアになってきた。
(絶対、謙一さんは私を責めたりしない)
ましてや、嘘をついていたと疑うなんて──絶対に、絶対にそんなことしない。
(だって、だって)
奥歯を噛み締める。泣きそうなのを我慢して、足に力を入れてぐっと踏ん張った。
(だって、私たち、ちゃんと──愛し合ってる!)
面映いけれど。
そんなこと考えるの、めちゃくちゃ、恥ずかしいけれど。他人から見たら、滑稽だったり、するのかもしれないけれど!
(でも!)
血の通った感情が私と謙一さんの間には、たしかにあって。
だから、私がいますべきことは──ううん、もっと前からそうすべきだったことは、ひたすら謙一さんを信じることだった。
離れていても、信じられる。
だって、彼は。彼は、私にとっての──。
(──伸二なんかじゃなくて)
伸二に対する依存とは全然違う、きちんと横に立って受け入れて支えてくれる、謙一さんのことを。
「……麻衣ぃ」
肩越しに振り返って、駄々をこねる子供にするみたいに伸二は眉を下げる。
「わがままだなぁ」
「──っ、そんなんじゃ、ないっ」
伸二の腕を振り切る。爪がガリッと手首を傷つけた。痛みを振り切るように、私は声を絞り出す。
「ごめんねっ、伸二!」
「──麻衣?」
伸二の表情に、やっと意味あるものが浮かんだ気がした。私は間をおかずに続ける。
「ごめん、ごめん伸二。ごめん。私が、ちゃんとあなたを愛せていたら」
「──麻衣」
静かな声だった。
「麻衣、やめろ」
「ほんとに、ごめん。愛してたら、きっと、伸二も、こんな」
「やめよう、麻衣」
さっきまで浮かんでいた表情が、ごっそりと抜け落ちたかのようなカオで伸二は言う。けれど止まらない。
「私が! ちゃんと伸二を愛してたら! そうしたら、きっと伸二も浮気なんて」
「やめろって言ってんだろうが!!」
伸二が叫んだ。
「やめろ、やめろ! なんでそんな言い方するんだ、麻衣。なぁ」
伸二がふらりと身体を傾げる。
「なんで、そんな」
両手で顔を覆い、その隙間から私を見つめて歯を食いしばって──ギリギリと音がするほどに──そうして、続けた。
「そんな、最初から──オレのこと愛してなかったみたいな言い方、するんだ」
「そうなの」
私は足を踏み締めて伸二を見つめる。充血した白目が潤んでいた。
(ごめんなさい)
素直にそう──思う。
「愛してなかった」
「……麻衣」
「恩は、恩だけは、感じてた」
目が熱い。頬が冷たい。多分、私は──泣いている。
「助けてくれて、ありがとう」
あの時、私の手を掴んでくれて。
死ぬなと言ってくれて。
(私たち──)
しゃくりあげそうなのを、我慢する。
(どこから、すれ違ったんだろうね)
伸二は私を支配して、所有して。
私はそれを容認して、卑属して。
2人の中だけで完結して、それが幸せだと思い込んで、──もしかしたら、最初からだったのかもしれない。最初から、間違っていたのかもしれない。
本当は、私はあそこで死ぬべきで──伸二は私を見捨てるべきだったのかも、しれない。
(でも、生きてる)
私も、伸二も。
だからやり直すべきだ。
別々の道で、別々の生き方で。
「……麻衣」
「ほんとうにほんとうに、……ありがとう」
伸二がだらりと両手を下ろした。俯いて、その手を握りしめて。
「……そっか」
その声には、たしかに理性があった。
考えて発声された、声だった。
ほっとして、伸二を見つめる。
伸二は顔を上げて、にこりと笑った。少年時代のように。
そして口を開く。
「じゃあやり直そう」
「──やり直し」
奇しくもそれは、私も思っていたことで。だから微笑んで頷こうとした私は、次の言葉で固まった。
「いちから。今度は愛してくれたら──それで、いいから」
脳がその言葉をきちんと理解する前に、目の前に伸二が立ち塞がるように私を見下ろしていた。
穏やかに、笑って。
理知的な目線で──背中が、震えた。
だって、それは──伸二が、あくまで理性的に考えて出した結論が「それ」だったって、ことで──。
「帰ろう、麻衣。オレたちの家に」
「無理、伸二、聞いて。私、あなたのこと、愛せない。あの不倫も許せないし、それに、そもそも──」
「いいんだ」
伸二は笑う。
「いいんだ、もう。済んだことは忘れよう? 麻衣」
「伸二──?」
自分が言ってることがめちゃくちゃだって、その自覚はないんだろうか。
あの不貞行為は「済んだこと」で済まされることなの?
(こわ、い)
さっきより、──狂気じみていたさっきまでの伸二より、いまの穏やかな彼の方が、よっぽど。
伸二が手を伸ばす。かつて何度も繋いだはずのその手のひらが、傷だらけになった私の手首を掴む。
「麻衣、愛してる」
「私は、愛してない!」
渾身の力を振り絞って、私は手を振り切る──と、その勢いが余ってバランスを崩してしまった。
パンプスのヒールがから回る。
(あ、こける──)
けれど、いつまで経っても冷たいコンクリートの感覚は訪れない。
かわりに私の身体を支えてくれて、いたのは。
「──っ、間に、合った」
息急き切って、肩で息して、掠れた声でそう言って。
ぐっと私の身体を支えて、それから包み込んでくれたのは。
私はしゃくり上げる。
堪えていたものが、溢れ出した。
「……っ、謙一、さんっ……!」
世界一安心するぬくもりの中で、私はただ、私の最愛の名前を呼んだのだった。
少し伸びた伸二の爪が手首に食い込んで、どこか現実じみてない感覚の中、ぴりっと熱い痛みを伝えた。
「ね、痛いってば……」
弱々しい声が、地下駐車場で木霊した。わずか数ヶ月前、晩秋まで過ごしていた──伸二と暮らしていた、マンションの地下。
車を降りて、伸二に引きずられるように、仄暗いそこを歩く。声と足音がコンクリートと鉄骨に、ボワンと響く。
「うん」
伸二が穏やかに目を細める。それがかえって怖くて、ぐっと唇を噛んだ。
せめてもの抵抗で、身体を捩る。けれどそんなのなんの意味もなさなくて、ひくついて泣きそうになるのをグッとこらえた。
(なんとか連絡を……)
謙一さんに……なんとか。
そう思うものの、伸二は全く油断してくれなくて。
(私の、ばか!)
色々後悔するけれど、……でも今は、そんな時じゃない!
伸二がなにをするつもりなのかは分からないけれど、とにかく彼の精神状態が良くないことだけは分かる。
(絶対に、大丈夫)
ことここに至って──やっと私は思考がクリアになってきた。
(絶対、謙一さんは私を責めたりしない)
ましてや、嘘をついていたと疑うなんて──絶対に、絶対にそんなことしない。
(だって、だって)
奥歯を噛み締める。泣きそうなのを我慢して、足に力を入れてぐっと踏ん張った。
(だって、私たち、ちゃんと──愛し合ってる!)
面映いけれど。
そんなこと考えるの、めちゃくちゃ、恥ずかしいけれど。他人から見たら、滑稽だったり、するのかもしれないけれど!
(でも!)
血の通った感情が私と謙一さんの間には、たしかにあって。
だから、私がいますべきことは──ううん、もっと前からそうすべきだったことは、ひたすら謙一さんを信じることだった。
離れていても、信じられる。
だって、彼は。彼は、私にとっての──。
(──伸二なんかじゃなくて)
伸二に対する依存とは全然違う、きちんと横に立って受け入れて支えてくれる、謙一さんのことを。
「……麻衣ぃ」
肩越しに振り返って、駄々をこねる子供にするみたいに伸二は眉を下げる。
「わがままだなぁ」
「──っ、そんなんじゃ、ないっ」
伸二の腕を振り切る。爪がガリッと手首を傷つけた。痛みを振り切るように、私は声を絞り出す。
「ごめんねっ、伸二!」
「──麻衣?」
伸二の表情に、やっと意味あるものが浮かんだ気がした。私は間をおかずに続ける。
「ごめん、ごめん伸二。ごめん。私が、ちゃんとあなたを愛せていたら」
「──麻衣」
静かな声だった。
「麻衣、やめろ」
「ほんとに、ごめん。愛してたら、きっと、伸二も、こんな」
「やめよう、麻衣」
さっきまで浮かんでいた表情が、ごっそりと抜け落ちたかのようなカオで伸二は言う。けれど止まらない。
「私が! ちゃんと伸二を愛してたら! そうしたら、きっと伸二も浮気なんて」
「やめろって言ってんだろうが!!」
伸二が叫んだ。
「やめろ、やめろ! なんでそんな言い方するんだ、麻衣。なぁ」
伸二がふらりと身体を傾げる。
「なんで、そんな」
両手で顔を覆い、その隙間から私を見つめて歯を食いしばって──ギリギリと音がするほどに──そうして、続けた。
「そんな、最初から──オレのこと愛してなかったみたいな言い方、するんだ」
「そうなの」
私は足を踏み締めて伸二を見つめる。充血した白目が潤んでいた。
(ごめんなさい)
素直にそう──思う。
「愛してなかった」
「……麻衣」
「恩は、恩だけは、感じてた」
目が熱い。頬が冷たい。多分、私は──泣いている。
「助けてくれて、ありがとう」
あの時、私の手を掴んでくれて。
死ぬなと言ってくれて。
(私たち──)
しゃくりあげそうなのを、我慢する。
(どこから、すれ違ったんだろうね)
伸二は私を支配して、所有して。
私はそれを容認して、卑属して。
2人の中だけで完結して、それが幸せだと思い込んで、──もしかしたら、最初からだったのかもしれない。最初から、間違っていたのかもしれない。
本当は、私はあそこで死ぬべきで──伸二は私を見捨てるべきだったのかも、しれない。
(でも、生きてる)
私も、伸二も。
だからやり直すべきだ。
別々の道で、別々の生き方で。
「……麻衣」
「ほんとうにほんとうに、……ありがとう」
伸二がだらりと両手を下ろした。俯いて、その手を握りしめて。
「……そっか」
その声には、たしかに理性があった。
考えて発声された、声だった。
ほっとして、伸二を見つめる。
伸二は顔を上げて、にこりと笑った。少年時代のように。
そして口を開く。
「じゃあやり直そう」
「──やり直し」
奇しくもそれは、私も思っていたことで。だから微笑んで頷こうとした私は、次の言葉で固まった。
「いちから。今度は愛してくれたら──それで、いいから」
脳がその言葉をきちんと理解する前に、目の前に伸二が立ち塞がるように私を見下ろしていた。
穏やかに、笑って。
理知的な目線で──背中が、震えた。
だって、それは──伸二が、あくまで理性的に考えて出した結論が「それ」だったって、ことで──。
「帰ろう、麻衣。オレたちの家に」
「無理、伸二、聞いて。私、あなたのこと、愛せない。あの不倫も許せないし、それに、そもそも──」
「いいんだ」
伸二は笑う。
「いいんだ、もう。済んだことは忘れよう? 麻衣」
「伸二──?」
自分が言ってることがめちゃくちゃだって、その自覚はないんだろうか。
あの不貞行為は「済んだこと」で済まされることなの?
(こわ、い)
さっきより、──狂気じみていたさっきまでの伸二より、いまの穏やかな彼の方が、よっぽど。
伸二が手を伸ばす。かつて何度も繋いだはずのその手のひらが、傷だらけになった私の手首を掴む。
「麻衣、愛してる」
「私は、愛してない!」
渾身の力を振り絞って、私は手を振り切る──と、その勢いが余ってバランスを崩してしまった。
パンプスのヒールがから回る。
(あ、こける──)
けれど、いつまで経っても冷たいコンクリートの感覚は訪れない。
かわりに私の身体を支えてくれて、いたのは。
「──っ、間に、合った」
息急き切って、肩で息して、掠れた声でそう言って。
ぐっと私の身体を支えて、それから包み込んでくれたのは。
私はしゃくり上げる。
堪えていたものが、溢れ出した。
「……っ、謙一、さんっ……!」
世界一安心するぬくもりの中で、私はただ、私の最愛の名前を呼んだのだった。
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