人生和歌集 -風ー(1)

多谷昇太

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海を渡る風

アムステルダム

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波はるか酔ひどれ船を見ましかばいつしか乗りぬおのづからなり
※ランボーにあこがれて横浜からソ連客船ジェルジンスキー号に乗り、シベリア鉄道経由でヨーロッパに旅立ちました。48年前のことです。

若人のメッカなりしかオランダはアムステルダムに我は居りしも

集ひ来て寝ばや此処にし若人らフンドルパ―クは自由開放地
※夏の間だけ世界各国から来る若者たちに市が公園を宿泊地として開放していたのです。

男女別よに設けぬユースありその名を云はばアダム&イブ
※1.よに:絶対に
※2.寝室もシャワーも男女皆いっしょです。いいんですかね?

銭盗られ無一文なる我にさへ食住たまひし人類の祖や
※財布を盗まれました。ただトラベラーチェックだったので再発行してもらえましたが、それまで無一文だった。しかし親切にも後払いの約束で人類の祖は私を養ってくれたのです。

「ヘイ、ユー!」と我さし怒る黒人は街角我を抱きし者ぞ
※街角でいきなり見知らぬ黒人の青年に抱きつかれました。「おお、何と哀れな…」とか英語で私を評しながらです。私の様子がしょぼくれていたからでしょう。慰めてくれようとしたのだと思います。しかし私は驚いて彼を突き飛ばしてしまいました。アムスには当時そんなコミュニティ的雰囲気があったのですが…。

飾り窓に立ちし女の寂しげに我(わ)を招きしはなんのこころぞ
※通りすがりの、粗末なヒッピースタイルの私を客とは見ないでしょうに、なぜ女は私に手招きしたのでしょうか?

             【飾り窓の女のイメージ】
by Nika Akin 
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